断腸亭料理日記2007

朝飯(かんぱちカマ塩焼き、浦里、

根深汁、キャベツの塩もみ)

4月29日(日)第一食

さて、連休二日目。

昨日は完全に呑んだくれていた。
今日は、少し、シャンとしよう。

と、いっても、呑んだくれないようにしよう、
と、いう程度、で、ある。

だから、というわけでもないのだが、
第一食は、飯を炊いて、焼き魚に味噌汁、という普通の朝飯が
食いたくなった。

考えてみれば、普段の生活では、
こうした普通の朝飯など、滅多に食べない。
それこそ、旧臘(きゅうろう)に箱根の温泉旅館、
福住楼へいったときに食べたのを思い出すくらいかもしれない。

まずは、米を研ぎ、置く。

冷蔵庫に、キャベツがあるので、
これを塩もみ、に、しよう。

ザクザク切る。
ボールに入れ、塩をふり、強く、もむ。
しんなりしてきたら、一度洗う。
塩を多めにすると早いのだが、この場合、よく洗う
ことが肝要になる。

昆布をはさみで細かく切って、一緒に混ぜ込む。
これは、だし、で、ある。
ついでに、昨晩買った、大葉もきざんで、混ぜる。
このまま、置く。

米の様子を見て、炊飯器のスイッチを入れる。

味噌汁。
ねぎのみの、根深汁でよかろう。
だしは、煮干。
7〜8匹を頭と腹を取って、軽くレンジで加熱。
料理の本には、空煎りする、などと書いてある。
意図は、生臭さを抜く、ということであろう。
同じような効果になるのかどうか、はっきりはわからぬが、
筆者は、最近は、レンジで加熱している。
1分程度。軽く、跳ねる(水分が出て爆発する状態。)ので
だしも出やすいのではないかと思っている。
水に入れ、これも置く。

魚。
鮭にしようかと思ったが、昨夜買った、かんぱちのカマがあった。
これを焼こう。

飯が炊き上がるのを待つ。

炊飯器が切れるのを目安に、カマに塩をし、
焼き始める。

煮干のだしの状態を見る。
本当は、一晩つけておく、などというが、
だしが出ると、煮干でも、水に色が付いてくる。
今日の30分程度では、まだまだ足りない。
が、しかたがない。

ねぎをザクザク切る。五分切り、というやつ。
五分とは、一寸の半分で、1.5cmほどである。

煮干の鍋に入れ、煮始める。
味噌汁でもなんでもそうだが、野菜は水から煮るのが
鉄則である。水から煮ると、野菜からの味の出方が
まったく違うのである。

そうである、大根も残っているので、
昨日の浦里も作ろう。
作り方は、昨日同様。
大葉は、先のキャベツに使ってしまったので、なし。
昨日は忘れたが、もみ海苔も入れる。
(これは、内儀(かみ)さん。)

カマの焼け具合を見、ひっくり返す。

ねぎが煮えたら、火を止め、味噌を溶き入れる。
好みであろうが、筆者は、濃い目、
がポイントであると思っている。

それぞれ、盛り付け。

完成。


かんぱちカマ塩焼き、熱い根深汁、浦里、キャベツ塩もみ。
なかなか充実した朝飯である。

かんぱち。
むろん養殖ものであるが、脂があって、うまい。

スーパーでこうしたアラが、よく安くなっているが
十中、八、九、筆者は買ってしまう。
半額で、120〜30円。安くてうまい。

キャベツの塩もみ、今日は大葉が入ってはいるが、
特別かわったものではない。こんなものも、簡単にでき、
うまいものである。

根深汁。
ねぎのみの味噌汁など、定食や、でも、会社の社食でも
今時、あまり、いや、まったくないであろう。
筆者も、池波作品に登場する食い物を作ってみるように
なってからである。
先に書いたが、味噌は濃い目、
熱の通ったねぎの甘みと香り、で、ある。
ねぎだけで、必要十分に、うまい。

さて、この朝飯で、少し思うこと。

なにか高価でかわったもの、珍しいものを日本中はもとより、
世界中から探して取り寄せ、かわった作り方をして食べることだけが、
今、世間では、もてはやされているように思う。

なんでもない普通のものを、普通にうまく(きちんと)作って、食べる。
どちらが大切なことかといえば、議論の余地はない、と、
筆者は思っている。

しかし、これは今の日本人が、
忘れていることではなかろうかと思うのである。

ねぎであれば、有機無農薬の、どこどこの、なんとかねぎを追い求める。
それも、悪いとはいわぬ。

しかし、スーパーで売っている、普通のねぎでもよいではないか。

勘違いをしてはいないだろうか。
うまいものを食う、ということと、金がかかっている、
ということは、必ずしもイコールではないのである。
安いもの、ごく普通のものも、大切にうまく食う工夫があることを、
忘れてはいけない、と思うのである。

珍しいもの、高価なものを否定してはいるのではない。
むろん筆者も、そういう類のものも食べる。
しかし、なんでもない普通のもの、を、うまく食うことの大切さを理解して、
はじめて、珍しいもの、高価なものにたどり着くのではなかろうか。
そうでなければ、高価なものの本当の価値も、
わからぬはずだ、と思うのである。

これが池波先生のいう、一食一食を大切に命を賭けて食う、
ということにもつながるのであろうと思う。



こんなおかずで、飯を二膳も食えるのである。




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