断腸亭料理日記2007

鯵煮びたし

6月20日(水)夜

鯵の煮びたしが、食べたくなった。

梅雨に入ったが、東京は相変わらず、好天で、30℃近い日が続いている。
さっぱりして、冷たくてもよいもの。

鯵を塩をせずに、素焼きにし、しょうゆで煮びたし、に、する。
これは、池波レシピ。池波正太郎先生の作品に登場する。
筆者は、それで覚えた料理、である。

2005年

断腸亭・池波レシピ

鯵は今が旬、で、ある。

原作は鬼平犯科帳、10巻「むかしなじみ」。

おまさが作る、五郎蔵の酒の肴。
紫蘇の葉を刻み込んだ、瓜もみと、鯵の煮びたし。
これで、冷酒(ひやざけ)をやる。

この作品も、五郎蔵が暑熱の日中、江戸中を歩き回っての、
後、で、あった。

最初に作った、一昨年の上のページも5月の20日頃で、
お祭のことなど書いている。

やっぱりこの頃に食べたくなるものである。

仕事帰り、いくつかのスーパーを見てみる。
牛込界隈のスーパーは、鯵はあるが、今ひとつ。

大江戸線に乗って、元浅草まで戻る。

スーパーで魚を買う、と、いうのは、最初っから、
ある程度、あきらめているのだが、
牛込界隈のスーパーは、やはり、と、いうべきか、
コレ、と指名をして探すと、食指が動かない。

ここでいうスーパーとは、いわゆる大手のスーパーではなく
中小の食品スーパー、である。

牛込界隈にあるスーパーは、一つが、神楽坂が本店で
数店、支店がある、ほんとに小さな、食品スーパー。
以前は、地元のいわゆるグローサリー、食料品店と、いうような
業態であったようなところ。

もう一軒は、東京西部が地盤で、電鉄系の中規模、と、いってよいのか、
食品スーパーチェーン。

山手(やまのて)のスーパーと、東京西部のスーパーチェーン。

元浅草まで戻ってくると、向かうのは、三筋のスーパーヤマザキ。

スーパーヤマザキは、あの、パンのヤマザキが経営する
食品スーパーのチェーン、で、ある。

ここの魚は、そこそこ、悪くはない、のではないかと
思っている。

なにがといって、よく、魚のあら、を売っているのが筆者にはよい。

スーパーヤマザキの本部は東京西部の府中市のようで、
下町と山手のスーパーの違い、などと、大雑把な言い方は
あてはまらず、この三筋店だけが違うのかもしれない。

(下町のスーパー、という言い方が文字通りあてはまるのは、
門前仲町が本店の、田原町の、赤札堂の方がそうかもしれない。
赤札堂の魚の品揃えもわるくない。)

東京下町のスーパーは、魚がそこそこ、よい、と、いうのが、
流行る条件ではなかろうか。
山手や東京西部と比べて、下町の人は魚が好きで、
見る目も厳しい、のではないか、と、いうのが
筆者の仮説、なのである。
(よい、悪いは、あくまで、筆者の基準である。
筆者に合っている、と、いった方が公平な言い方かもしれない。)

ともあれ、三筋のヤマザキにきてみると、鯵は一種類だが、
120〜130円で、安い。

魚屋(専門店)であれば、鯵は100円。
スーパーで、あれば、そこまではいわないが、
やはりこのくらいの値段であるはずで、ある。

先の牛込のスーパーでは、大きく、刺身用で、ものもよい、
のかも知れぬが、300円を越えている、ようなものであった。

下町と山手では、品揃えの目の付け所が、違う、のである。

これに、よし悪しの優劣をつけてしまうのは、乱暴の謗(そし)り
免れなかろうが、本来、鯵というのは、安い魚であるはず。
その上、今は旬。客単価を上げるためであるかどうかわからぬが、
300円のものではなく、鯵は、うまくて、安いものとして、
売ってほしい、というのが、下町に住む、筆者の希望、で、ある。

これには、おおかたの下町の魚好きの方は、
賛成していただけるのではなかろうか。

ともあれ。

その120〜30円の鯵二匹と、、、それから、
毎度お馴染み、筆者の好きな、あら。
カンパチのカマ。これも200円ほど、を、買う。

帰宅。

鯵はそのまま。カンパチは塩をし、同時に、ガスレンジで、焼く。

焼き上がった鯵は、そのまま、大きめの鍋に入れ、
酒、しょうゆ、水を入れ、煮立たせ、軽く煮て、そのまま置く。

その間、しばらく、日記書き、ページの更新作業など。

これだけでは寂しいので、冷蔵庫にあった、茗荷。
酢の物に、しよう。

斜めに薄く切って、甘酢で、和える。

それぞれ、盛り付ける。



煮びたしは、ちょっと薄めの味になったが、
煮魚と違って、これでも十分に、うまい。

鯵、と、いえば、普通、塩焼き、で、あるが、
煮びたしを覚えてからは、塩焼きよりもうまい食い方なのではないかと
思うようになった。

カンパチのカマ(と、ハラス)も、脂があってうまい。

茗荷も今が時期、で、ある。

ウイークデーではあるが、なかなか、満足のできる
肴、で、あった。





断腸亭料理日記トップ | 2004リスト1 | 2004リスト2 | 2004リスト3 | 2004リスト4 |2004 リスト5 |

2004 リスト6 |2004 リスト7 | 2004 リスト8 | 2004 リスト9 |2004 リスト10 |

2004 リスト11 | 2004 リスト12 |2005 リスト13 |2005 リスト14 | 2005 リスト15

2005 リスト16 | 2005 リスト17 |2005 リスト18 | 2005 リスト19 | 2005 リスト20 |

2005 リスト21 | 2006 1月 | 2006 2月| 2006 3月 | 2006 4月| 2006 5月| 2006 6月

2006 7月 | 2006 8月 | 2006 9月 | 2006 10月 | 2006 11月 | 2006 12月

2007 1月 | 2007 2月 | 2007 3月 | 2007 4月 | 2007 5月 | 2007 6月



BACK | NEXT |

(C)DANCHOUTEI 2007