断腸亭料理日記2007

元浅草から、人形町そば好へ

3月1日(土)第一食

10時過ぎ起床。

今日はなにを食べようか。
久しぶりに、人形町の路麺、そば好へいってみようか。

毎度のようだが、稽古がてら、歩いて、で、ある。

元浅草から、春日通りを渡ると、小島町。
小島町は、前に、「銀座から」で、書いた。

その後、少し、調べてみると、この小島町や、佐竹商店街のある
旧竹町あたりは、戦災で焼けなかった、という。

小島町も以前から気が付いていたのだが、
古そうな家が残っている。

浅草區小島町、などという古い住居表示が家の柱に残っている。

これらの家々は、関東大震災後に建てられたもの。
地震の後のため、太い梁が特徴で、頑丈に造られているという。

また、この震災後は同時に江戸以来の細い路地を広げ、
区画整理も行われたという。

当時、このあたりも、職人の町。
親方がいて、何人もの小僧を抱え、
金属加工などをはじめ、様々な仕事をしていたようである。

鳥越一丁目、おかず横丁を突っ切って、
蔵前橋通りを渡り、浅草橋五丁目。
任天堂の東京支店のビルなどがあったりする。

路地裏を行く。なぜか、コンゴ大使館がある。
旧町名は向柳原。江戸の頃は、ほとんどが武家屋敷。
今、都立忍岡高校のあったところは、
肥前平戸、松浦壱岐守屋敷。
九代藩主の松浦静山(清)は先日の大田蜀山人とも
面識があったようである。

柳原は、神田川の南側の土手のこと。
古くは、この土手に古着屋などがあった、などということが
落語にも出てくる。
(あるいは、圓生師の「ちきり伊勢屋」では、
露天の占師などが出ていた、などともいう。)

総武線をくぐると、千代田区になる。
東神田三丁目。

美倉橋を渡って、さらに靖国通りも渡る。
古くは、豊島町。
このあたりから、人形町までは、大名屋敷はほとんどなく、
江戸からずっと、町屋。

清洲橋通りは靖国通りを渡ると左にカーブする。

神田川の北、浅草側と、南側、では同じ碁盤の目のような通りなのであるが、ちょっとずれているのである。

浅草側はほぼ東西南北の碁盤の目。
馬喰町、人形町側は、それが45度ずれているのである。

車で知らずに走っていると、東西に走っているつもりが、いつのまにか、南北になってしまう。

原因は隅田川がこのあたり、蛇行しており、それに合わせて斜めになっているのである。

さて、清洲橋通りの南側、路地裏を歩くと、旧岩井川(浜町川)、のあったところに出る。

川のあったところには今は家が建っているが、両側の路地が近いので、以前はここが川であったことがわかる。

この川は、大川(隅田川)浜町、中洲から浜町川、明治の頃には、さらに靖国通りを越えて、神田川まで流れていたようである。

今のこのあたりは、広く、繊維関係の問屋さんが集まっている。
土曜日でも店は開いているところが多い。

江戸通りに出る。
ここの岩井川に掛かっていた橋は、鞍掛橋。
交差点の名前に残っている。

南側が小伝馬町、北側が馬喰町。
小伝馬町は、ご存知の通り、江戸の頃は、有名な牢屋敷などもあったところ。
そして、馬喰町は、今の江戸通り、が旧奥州街道であり、また、浅草橋の手前、西側に、関八州の郡代代官屋敷があり、関東一円から、いわゆる、訴訟にきた人々が宿泊する便で旅籠が軒を連ねていたという。(落語「宿屋の富」の宿屋は、このあたりであった。)

そして、隣の横山町も合わせて、今も繊維関係の問屋街であるが、これは、江戸から変わらない。江戸の頃も、小間物問屋など。

通旅籠町、田所町、長谷川町。
今の町名は人形町通側が堀留町、隣が富沢町。
その間の通が、大門通り。
これは、明暦まであった、元吉原の大門の通り、からきている。

このあたりは、問屋街というよりは、オフィス街。
ハリオガラス、ガラス食器の会社の本社などある。
(このビルはなかなか、古そうである。)

長谷川町、お稲荷さんのある、三光新道、を抜け、
人形町の通りに出る。三光新道も、落語に出てくる。
「百川」では、ここに常磐津の師匠が住んでいた。

左に曲がって、交差点の手前、そば好、にたどり着く。
ちょうど、お昼になった。

店は満席。
なかなかの、人気である。

天玉そば。

ほろほろと、くずれる、かき揚げに、
細い麺。鰹節問屋の路麺だけあり、濃い出汁。

うまかった、うまかった。


そば好人形町店
TEL 03-3664-5978
〒103-0013 東京都中央区日本橋人形町3丁目9−2


玄冶店と路麺・そば好


富沢町あたりのこと


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