断腸亭料理日記2007

瓜の雷干し、、。またまた朝飯

まったく休みぼけ、で、ある。

金曜日は、配信しない日で、あったはずであるが、
ぼんやりと、書いて、配信してしまった。
曜日の感覚が、なくなっていた。

ともあれ、気を取り直して。

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5月5日(土)第一食

例によって、今日も、普通の朝飯。

例の(前々回配信分)、吉兆流(?)で、飯を炊く。

前回は、焦げが少しできてしまったが、
水分が少なくなってきたら、ごく弱火にしてみた。
今度は、ほとんど焦がさず、きれいに炊けた。

やはり、みずみずしい飯、で、ある。

玉子焼きを焼いて、鮭を焼いて。
味噌汁は、鰹で出汁を取り、濃い赤だし。
実は、あしたば。

玉子焼きは、出汁巻き玉子。

四角い、玉子焼き器というのであろうか、
向こう側の面が、丸くなっているもので焼く。

筆者もこの出汁巻き玉子は、さほどうまくはない。
最低、気を付けていることは、
玉子の液をなん回かに分けて入れるが、
そのたびごとに、鍋肌に油を敷くこと。
これを忘れると、くっついてしまい、ぼろぼろになる。
どうも、筆者は、“くっつく”のに弱いようである。

味付けは、ちょっと甘めがよい。

それから、昨日から作っておいた、瓜の雷干し。
金山時味噌と。

金山時味噌といえば、唐突のようだが、
落語、黄金餅を思い出す。

それも、古今亭志ん生師のもの。
(まあ、黄金餅といえば、この人以外に、なかろうが。)


焼き場で、願人坊主の骨(こつ)から、お宝をがめてしまう
主人公の金兵衛は、金山寺味噌や、で、あった。

金山寺味噌やといっても、むろん、金兵衛も貧乏長屋の住人。
店を持っているのでではなく、売り歩く方である。

この噺の聞かせどころ。
下谷の山崎町から、今の中央通りからはじまって、
新橋を通り、麻布まで、道中の町名を言い立てる。

それが終わり、麻布絶江(あざぶぜっこう)釜無村の木蓮寺に着く。
(木蓮寺は架空の寺である。)

金兵衛「お〜い。金山寺やの金兵衛だよ。」

酔払っている和尚が、

和尚「あ〜〜う〜〜?

   金山寺ぃ、持ってきた?」

金「金山寺、持ってきやしないよー。

  山崎町の金山寺やの、金兵衛。」

和「あ〜〜、そうかぁ。金兵衛さんが死んだのかい!?。」

金「そうじゃねぇや。おれゃ、弔(とむら)い持ってきたんだ。」

・・・。

以前に、わさび漬けというと、志ん生を思い出す
というようなことを書いたことがある。

この金山寺味噌も、なにか、
志ん生にぴったりの食い物のような気がしてならない。

胡瓜で、もろきゅうでもよいし、こうして、瓜でもよい。
そのまま、飯でもいいだろうし。
少し甘いが、ちびちびなめながら、呑んでもよかろう。

志ん生師は、飯はあまり食わず、酒一本であったようで、
金山寺味噌自体、好きであったかどうか、
本当のところは、筆者は知らない。
しかし、志ん生のいる風景というのか、
志ん生の座る卓袱台(ちゃぶだい)には
金山寺味噌が、とても合っている。


閑話休題。

瓜の雷干しは池波レシピである。
作り方は、昨年作ったこちら、をご参照下されたい。

お祖母様であったか、曾祖母様であったか、が作られ、
池波先生は、子供の頃から好きなものであったようだ。

そろそろ、瓜の季節である。
今日なども、最高気温が25℃と、もう初夏と、いってよかろう。

白瓜は、近所のスーパーにも出回っている。
これは、鳥越のおかず横丁のそばの、スーパーで買ったもの。

昨日も気温は高いが、湿度は少なく、さわやかな、よい天気であった。
稽古がてら、御徒町から、佐竹、鳥越とまわってみた。

瓜の雷干しを金山寺味噌で食う。
昔からの、東京の初夏の食卓、である。

毎度書いているが、一品でも、こうした季節の、
それも昔から近郊で作られ、
江戸東京で普通に食べられてきたものを、
昔から食べられてきた方法で食べるのは、
東京に生まれた者には、なにか、安心できるのこと、なのである。

できれば、こうした朝飯を毎日食いたいもの、、。

しかし、連休も、もう終わり。
また、気の抜けない日常が、始まるのである。






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