断腸亭料理日記2008

東京のマナー、のこと。

先日、「東京はいいところ、であろうか?」
という文を書いた。

東京に育ち、今、住んで、働いている人間として、
東京という街を、地方からきた人も、皆、我々同様、歴史も含め
自分達の街として、愛し、大切にしてほしい、そして、少しでも
“東京をいいところ”にしたい、というようなこと。

多少関連するのだが、最近の東京で、気になること。
マナーということがある。

二つ。

路上喫煙と、電車内のマナー。

路上喫煙、あるいはポイ捨て、は、今、東京23区のほとんどで、
禁止になっていると、思う。

筆者も喫煙者であるから、当初は驚き、正直、困った。
それまで、いわゆる、くわえ煙草で歩く、ということは
日常の行為であった。

しかし、決められたことは、守る。
まあ、当たり前のことであるが、携帯用の灰皿を持ち歩くようになり、
どうしても吸いたい時には、付近の公園やら、
どこか迷惑にならないところを探し、吸うようになった。

この条例が施行された当初は、やはり、
路上喫煙は減ったのだと思うのだが、最近また、特に朝、
吸って歩いている人を多く見かけるようになった。

むろん、筆者は今でも路上喫煙はしていない。

路上禁煙をしてみれば、吸いがらのポイ捨てもしなくなるし、
歩いて吸えば、他の歩いている人に、灰は飛び、
迷惑をかけていた。
路上喫煙は、いいことが一つもなかったことに気が付く。

今、吸っている人がまた増えてきたというのは、
どういうことであろうか。
見ていると、地方の人が、東京に出てきて、ルールを知らず、
吸っているだけ、の、ようにも思えない。
大方、東京の人間の確信犯のようである。

年齢は関係なく、若いサラリーマンから、50歳以上と
見えるおじさんまで、様々な者どもが吸っている。
また、地域も、拙亭近所の下町、元浅草界隈、
オフィス近所、山手の牛込界隈、どちらにもいる。

ほとぼりが冷めたと思っているのかなんなのか。
まったくもって、なにを考えているのか。
自分が喫煙者であるだけに、余計に腹が立つ。

もう一つ。
電車内のマナー。

筆者の場合、乗るとすると私鉄の郊外電車ではなく、
地下鉄のことなのではある。

腹に据えかねているのは、大江戸線に乗ってくる、
私立中高校生のマナーの悪さ、で、ある。

以前から、ヘッドフォンの音、満員電車での背中のリュック、
などなど、若い人間の迷惑行為は筆者に限らず、
頭にくる人は多く、問題になっていたことではある。

中高校生では、最近、肩掛けの大きなバッグが流行りなのか、
皆、これを持っている。彼らは満員状態の車内の床に
立ったまま、なん人かで、これを置く、のである。
そして、先に筆者が降りたくとも、バッグを置いているので
すぐに動けす、出口も開けない。

まったくもって、満員電車に乗る最低の心得も知らないのか!
東京の電車に乗る者としては、ひどいものである。

先日の「東京はいいところ、であろうか?」で、
東京の持っている、(あるいは、いた)、いいところ、
人気(じんき、気風)として、真摯であること、
他者に対する遠慮と気遣い、というものがある、
と、書いた。

これは、街に住む者が持つ、独特のものであると思われる。
おそらく、これは本来的には東京に限らず、
人の多い街で暮らす、ということで発生してくるものだと思われる。

人が多いということは、それだけ、日常、様々な見知らぬ人々と
接し、必然、ぶつかることも多くなる。
そうすると、そうそう、ぶつかってばかりはいられないから、
譲り合う、人のことを考える、ということが生まれてくる。
(真摯である、は、単なる公衆マナーだけではなく、
もっと、高次なこともいっているのだが。)

大阪では、電車に並ばない、あるいは、高速道路の合流では、
譲り合わない。しかし、東京では、電車はきれいに並ぶし、
高速道路では、行儀よく一台ずつ交互に合流する。
(本来的には、大阪(坂)にも街の文化は存在していた
のだとは思う。しかし、どうしたことか、彼らはそれを捨ててしまったのか
流入してきた人々によって、消されてしまったのか、、。)

電車内のマナーは、東京にはやはり、独特のものが
あると思われる。
長時間満員の電車に乗っているので、必然的に
ルールができないと、とてもやっていられない。

筆者は名古屋に赴任していたこともあったが、電車内の
携帯電話での通話は、名古屋では、比較的やかましくいわなかった。
さほど混んでもいないし、そう長くも乗らないので
まあ、我慢ができるのであろう。

あるいは、東京のサラリーマンの、
満員電車で新聞を読む技術は、かなりのものであった。
筆者の父親もサラリーマンで電車通勤をしていた。
まわりの迷惑にならぬよう、新聞を小さく折って読み、その状態で、
ページをめくっていく技は子供ながらに、手品のように見ていた。

筆者も、毎朝、地下鉄で、日経新聞を縦1/4に折って、読んでいるが
不器用なため、ページをめくるのに今でも、四苦八苦している。
今、若い人を中心に、新聞を読むこと自体が激減しているので
この技も滅んでいく、のかもしれない。

ともあれ。

路上喫煙にしても、電車内の中高校生のバッグ、にしても
人様に迷惑をかけない、決められたルールは守る、
こんなことは、当たり前のことであるし、
人が多い分、最低限、他者へ配慮することが
昔から、東京の人気であり、美風であったはず。

マナーを守るということは、我が街、東京を、愛し、大切にする、
ということに通ずる。

みんな、ちゃんとしようよ!




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