断腸亭料理日記2008

天ぷら・山の上(日本橋三越)・天丼

3月23日(日)第一食

さて、日曜日、第一食。
昨晩から決めていたのだが、山の上ホテルの
天ぷら、山の上で、天丼。

これは、チューボーですよ!で、やっていたから、ということである。
(TVでは六本木の店。)

神田駿河台の、山の上ホテルといえば、
池波先生の定宿というのか、よくこもって仕事をされていたところ。
このため、その天ぷら・和食処の、天ぷら山の上は、
泊られている時には朝晩と食事をされていた。

この時の、板長、近藤氏が、銀座で天ぷら店、その名も、近藤、を
開かれていることは、あまりにも有名。
ついでに、氏について、少し書いてみると、
池波作品に登場する料理の再現なども
されているのも、池波ファンの間では知らない人は
いないであろう。(剣客商売包丁ごよみ)
さらに、昨年発売のミシュランで、一つ星。
東京の天ぷら職人の中でも、もう既に、巨匠、と呼ばれる
一人となっている。
山の上ホテルの天ぷらの、周辺情報、というと
こんなところであろう。

ちなみに、お気付きかもしれぬが、筆者は、
同じように先生行きつけで、個人的なお付き合いもされていた
銀座の「いまむら」は、なん度か行っているが、「近藤」にはいったことがない。

前置きから、脱線してしまったが、天ぷら山の上。
やはり、こちらには、一度は行ってみなければ、と、思っていた。

で、あるが、いきなり、駿河台へいくのは
敷居が高そうなので、出店にいってみようか、で、ある。
調べてみると、六本木以外にも、日本橋三越にも
入っていることがわかった。
ここがよかろう。

日本橋三越の地下一階。
レストラン街ではなく、食料品売り場で、ある。
脇のイートインコーナー、というような
位置付け。
三越の地下には、こういう有名店のイートインは
そういえば、いくつもあった。

朝起きて、開店直後というのも、なんであるから、
10時過ぎに、元浅草の拙亭を出る。
稲荷町から、銀座線で三越前、まで。

三越前駅の地下からそのまま、三越のB1に入る。
入口で店の幹部と思われるような方が頭を下げていたりし、
まだ、開店後、間もないという状態である。

どこにあるのか分からず、聞いてみると、
地下の正面口というのか、筆者の入ってきた
神田寄りの入口から入って直進、すぐ右側にあった。

と、きてみると、あれま。
持ち帰りは、三越開店の10時から一緒にやっているが、
イートインは、11時からであった。

時間をつぶさねば。

一先ず外に出て、コーヒーでも飲もう。
向かい側、日本橋が見える、角にあるスタバに入る。

毎度お馴染みの、首都高のお陰で、日蔭者に追いやられている
日本橋、で、ある。
今日気が付いたのだが、日本橋、京橋地区を走る無料の地域バス、
メトロリンクには、正確な文言は忘れたが、
「日本橋に光を!」のようなスローガンが書かれていた。

実に、その通り、で、ある。(毎度、毎度で恐縮である。)
日本の道路の起点、江戸時代から、江戸、東京の名実ともに
中心であり、江戸東京の街を象徴するもの
といっても過言ではなかろう。

なぜ、こんな首都高の作り方をして
疑問に思わなかったのか、まったく理解に苦しむ。
建設官僚やらに、こういうセンスがまったくなかったのか。
自分達で、自分達の歴史を踏みにじっていることに
気が付かなかったのか!

歴史よりも大事なことだ、と思ったのであろうが、
それこそ、おごり、というものではなかろうか。
万事に、開発優先、歴史などどうでもよい。
そんな国が世界で尊敬されようか!

この首都高が取り払われるまで
いつまでも、筆者はこの件について、
書き続けなければならないと、思っている。

と、また、脱線してしまったが、
こればかりは、しかたがない。
ある種、江戸から続く、東京という街が、
跡形もなく壊されていった象徴と考えているのである。

ともあれ。

11時少し前、三越に戻り、
少し先に、店内をぶらぶらしてみる。
三越を見て回るのは久しぶりかもしれない。
特段、おもしろいものもなく、地下へ。
生鮮売り場を先に見る。
鮮魚売り場は、随分前には、三越直営で、値は張るが、
食指をそそるものがあったと思われる。
今は、どこやらにまかせており、スーパーのよう。

野菜売り場。
ちょっと、おもしろいものを、発見。
「のびる」で、ある。
春の山菜。
子供の頃には、土手で採って食べた記憶がある。
ぬた、にでもできよう。買ってみる。

そして、やっと、天ぷら山の上。

イートインコーナーで、入ってみると、むろん
さほど広くはない。
テーブル席が空いていたので、座る。

エビス小瓶をもらい、
天丼、3,360円也、を頼む。

なかなか、よい値段で、ある。

ビールを呑みながら、待つ。

きた。


さいまき海老、二本。
キス、しし唐、と、いかの入ったかき揚げ。
お新香に、赤だし。

食べてみる。

天丼というと、天つゆをくぐらせてあるので、
普通は、衣が柔らかくなっているものであるが、
ここのものは、やはり、さすがというべきであろう。
味は染みていながら、どれもカラッとしっかりしたまま。

お新香にしても、赤だしにしても
定番のものであるが、十分に吟味されているのがわかる。

これだけの値段を取るだけのことはある、ということか。

満足。

勘定をして出る。

天丼というのは、下町を中心として、昔からの江戸前天ぷらの
看板のようなもので、「お塩でどうぞ」式の最近の天ぷらとは
やはり一線を画すものではあろう。
拙亭のある、浅草界隈には老舗で天丼を売りにしているところも多い。
それゆえ、ある程度、こんなもの、と、思っても、いる
ことは確かである。

こうして、コテコテの江戸前ではない有名店で、
天丼を食うというのは、ちょっと、新鮮であった。



天ぷら山の上、三越店





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