断腸亭料理日記2009

天ぷら、ぎんぽ、すみいか

4月11日(土)夜

夕方、歩いて、御徒町、アメ横方面まで、ぶらぶら出る。

天気もいいので、アメ横を突っ切って、昨夜も花見で
ウロウロした、不忍池まで、出る。
よくここでは、古道具の市だったりやっているので、
なにか、イベントでもやっていないかと思ったが
今日はなにもやっていない。

一回りして、ABAB(アブアブ)前の
三橋の交差点まで戻ってくる。

特段の理由はないが、今日は先に、アメ横ではなく、
吉池を回ってみようかと考えた。

この界隈、いつものこと、で、あるが、
たいへんな人出、で、ある。

掻き分けて、歩く。

吉池にたどり着き、売り場を見る。
そろそろ、春から初夏の魚になりつつつあるのか。
少し前とは様変わりしている、

お。

ぎんぽ、がある。
ぎんぽ、とは、天ぷら用の魚。

毎年、この時期から初夏、ここ、吉池には並ぶ。
これは、買わねば。

それから。
天ぷらであるから、、、いかは、なにがあるかな?

おお、すみいかがあった。鹿児島産。
2杯で500円。

これでいこう。

天ぷらは、少し、久し振り、かもしれない。

なぜだか、天ぷらは、冬は作りたいと、あまり思わない。
やっぱり、この時期から、初夏、で、ある。

帰宅。

ぎんぽ。

石川県産、と、書いてある。
昔は、江戸前天ぷらのねたとしては、
普通だったと思われる。東京湾でも獲れた、のであろう。

もともと、特段、高級魚、ではなかったと思われるのだが、
まとまって獲れない。または、天ぷら職人も、さばくのが、面倒、
などの理由で、市場にはあまり出回らなくなったらしい。

見た通り、あまり、見栄えのする魚ではない。
短い、うつぼ、の、ような、、。

これを、さばくのは、目打ちといって、うなぎなどと同じように、
錐(きり)のようなもので、俎板に固定する。

昨年、この目打ちも、合羽橋で買って、四苦八苦した。

今年は、もう少し、うまくやりたいもの、で、ある。
事前に、少しまた、調べてみる。
逆さ包丁、などといって、難しいことが書いてあるのも
あるのだが、簡単そうなものを見ながら、やってみる。

頭を右、腹を上において、目玉のすぐ後ろに、目打ちを打ち込み、
俎板に固定する。前びれのすぐ後ろ側、中骨に向かって、直角に
包丁の刃を入れる。

ここから、斜めから、真横に包丁の刃の向きを変え、
中骨に沿って、上側の身を切り離していく。

むろん一気には切れぬが、なん回かに分け、背びれ側、
腹側と、刃の向きも変えながら、尻尾まで切る。

この時、はらわたを潰さないように、などというが、
これはなかなか、難しい。
はらわた側に刃が触ると、はらわたはすぐにつぶれてしまう。

以前にやってみたときにもそうだったのだが、
この、ぎんぽ、という魚のはらわたは、やけに、匂う。
特に、今日のものは、鮮度の問題なのか、わからぬが
ひどい匂い。

上の身を取ると、俎板ごと、蛇口の下に持っていき、
流水で洗うが、なかなか、においが取れない、ぐらいである。

ともあれ、上の身を取り、背開きの状態まではできた。
昨年は、この後、中骨を外すのがなかなか会得できなかった。

今年は、がんばろう。
やはり頭側の中骨に直角に刃を入れ、そのまま、中骨の
今度は下側に刃をあてながら、外す、、、

ん?、、、
なんとなく、わかった。
あまり、中骨に刃をあてすぎると、中骨を切ってしまうのだが、
少し、浮かせ、かつ、まわりの骨、つまり、中骨に付いている
枝のような骨、で、ある、これを切りながら切る。
は、はー、、、切れてきた。

それでも一気にはいかないが、中骨が外せた。

よし。
残り全部、6〜7本あったが、全部すます。
(あいかわらず、どれも、くさい、、ので、よく洗う。)


結局、それでも1時間弱はかかってしまった、、。

ともあれ。


今度は、すみいか。
これはもう、簡単。

足と内臓をきれいに引き抜き、甲羅を外し、これをきっかけに、
えんぺらから皮をむく。

ぎんぽ、すみいかとも、冷蔵庫へ。

ここまでで、準備は完了。

つぎは、天ぷらの準備。

まずは、揚げ鍋に、ストックしてある天ぷら油を用意。
胡麻油主体、で、ある。

次に、玉子冷水を作る。
ボールに、全卵、よく割ほぐし、冷水を混ぜ、氷も一かけら入れ、
今日は、ボールごと、一度、冷蔵庫に入れておく。

ぎんぽ、すみいかを、揚げやすい、食べやすい、大きさに切る。

まずは、いかから。
ぎんぽ、は、もう一度、冷蔵庫へ。

ここで、内儀(かみ)さんに、大根おろし、天つゆ、皿、その他の
準備を始めさせる。

さて、いよいよ揚げる態勢。
油に点火。

とにかく、いつも、最初は油温が低いのあらかじめちゃんと、上げておこう
というのである。

そこそこ、上がるのをゆっくり待つ。

上がってきたのを見計らい、衣づくりに入る。

先ほどの、玉子冷水を冷蔵庫から出し、別のボールに、すみいか分
だけ入れる。ここに、小麦粉を入れていく。

今までと、どう違うのかというと、揚げるたびに、衣を作り直す、
ということである。これは、実は、この前、三筋のてんぷらや
みやこし、で、親方のこういるのを見ていて、なるほど、
と、思ったのである。
衣を作りためてから、ではなく、揚げる直前に作り直す。

すみいか、は、多少ゆるめ、薄衣でよいだろう。
きちんと、混ぜきらなくともよい。

すみいかを、衣に入れ、軽く混ぜる。

油温をみる。

180℃、高温でよいだろう。

3枚ほど、一気に投入。
衣が固まるまで、10秒。

OK。

後は、頻繁に返しながら、50秒程度であろうか、
今日は、だいぶ、余裕があった。
音も聞こえるようになってきた。

上げる。

内儀さんの、皿まで、持っていき、置いて、またすぐに
油に戻る。

残り、全部、揚げる。

揚げながら、内儀さんの、プリプリして、おいしい、という声。

揚げ終わり、今度は自分の皿まで運び、自分も食べる。


ふむふむ、なるほど、ものも、よいのだろうし、
よく揚がっている。

とりあえず、ビールは一杯だけにし、いかは全部食べ、
ぎんぽ、に、戻る。

こちらも、高温だが、やはり、じっくり完全に熱は通した方が、
よかろう。


ぎんぽ、と、いうのは、白身。
穴子のようなもの、で、ある。

なかなか、うまい、のだが、今日は、匂い、、、。
自分でさばいたせいかもしれぬが、なにぶん、強烈だったため、
手にもなんとなく、匂いが残っているような気がし、、、。

まあ、そんな感じであった。

原因はわからぬが、むずかしい、もの、で、ある。





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