断腸亭料理日記2009

おでん

1月22日(木)夜

京都、名古屋の出張から戻り、仕事。

だが、さすがに、疲れた。
7時前、早めに帰る。

京都も名古屋も、なにか暖かく感じたが、
東京に戻ると曇っており、寒い。

なにを食べようか、考える。
寒いので、煮もの。

おでんでも作ろうか。

帰りがけ、ハナマサに寄って、種を買う。

たくさん作っても仕方がないのだが、
大根はかかせない。

ハナマサは、業務用、を標榜しているので
切ったものはないのだが、100円と今日は安いし、
よいか。一本買う。

練りものは、ごぼう巻きやさつま揚げなどが
セットになっているもの。

それから、好物のすじ、ちくわぶ。
この二つも、私のおでんにはなくてはならない。
それから、つみれ。
ここまでは必要、で、ある。

今シーズンになってからだと、11月に作っている。

この時も、少し歴史のようなものを書いた。

簡単にいうと、煮込みのおでん、の、そもそもの発祥は
江戸(東京)のようだが、これが一度関西へ行き、
関東煮(かんとうだき)と、なり、屋台から、料理屋としての
おでんやが成立し、それが大正の頃、東京に逆移入してきた。
推測も含まれているが、おそらく、さほど間違っては
いないと思われる。
大正時代というのは、それ以前からあった、八百善のような
江戸料理に代わって関西から京料理が入り込み、
一気に、東京の和食料理屋が塗り替えられた頃でもあった。
おでんの関西からの逆移入は、
そういう背景とも一致しているように思われる。

そして、今日はもう一つ、発見。

今買った、ちくわぶに、ちくわぶの発祥、のようなものが
書いてあった。
これによると、なんでも、やはり、大正の頃、
東京の豆腐やが、生麩にヒントを得て、ちくわぶを
発明した、と、いう。

これが、奇妙に、今述べた、東京でのおでんやの広まりと
時期が一致している。偶然であろうが、ちくわぶは、
この頃発明され、おでんに入れられるようになった。
そう考えるのは自然なことであろう。
東京のおでんと、ちくわぶは、私も切っても切れないもの、
と、考えているが、そういう意味では、実際には、さほど
古いものではない、ということである。

(余談だが、これも以前に江戸、東京の伝統の生麩、つと麩
というもののことを、書いたことがある。

作っているのは、ご近所にある、大原本店というところだが、
ここは、同時に、ちくわぶ(ついでに、うまい白滝)も作っている。

宮内庁御用達で、おそらく、ここは、古くからつと麩を作っていたと
思われる。豆腐やが発明したということならば、
本物を作っていたこの店が、逆に、一般的になったイミテーションを
逆に作るようになった、ということ、なのか、、。)

ともあれ。

帰宅。

作る。

火が通りにくい大根とちくわぶ、の下煮から。

大根は半分ほど、切って、皮をむく。
ちくわぶも、切る。

今日は圧力鍋でやってみる。
切った大根とちくわぶに水をヒタヒタに入れ、ふたをして、
加熱、加圧。

圧が上がって、弱火にし、10分ほど。
火を止めて、圧が下がるまで、30〜40分ほど放置。
これで、煮える。

おでんといえば、燗酒。

この間に、炭を熾し、火鉢にいけ、鉄瓶を熱くしておく。



圧が下がっているのを確認し、開ける。

OK。
大根も柔らかくなっていそうである。

ここに、残りの材料を全部入れ、酒、しょうゆ、水を、
ひたひた、まで入れる。
むろん、味は、濃い目。

ふたをし、加熱。
多少、圧を上げ、弱火で5分ほど。
火を止め、再び放置。

10〜15分ほど。

ふたを開ける。

色を見ると、なかなかよさそう、で、ある。

鉄瓶に徳利を入れ、燗をつける。


大根もいい色。

食べてみる。

大根というのは、よく煮えた方が、よさそうなものであるが、
こうして、煮え立て、それも味も染みている、
この状態が、最もうまい、のではなかろうか。

おわかりになろうが、大根の煮え立て、というのは、
池波先生の大根鍋、などもそうだが、
なんといっても、香りがよい。
みずみずしい、大根本来の香りというのか。
そういうもの、で、ある。
翌日になどなってしまうと、
味は染みているが、煮え立てのこの香りは
なくなってしまう。

香りがありながら、しょうゆの味は
確かに染みている、というこのタイミング。
ここが最良であろう。

うまい、うまい。

大根を二つも食ってしまう。

むろん、すじも、ちくわぶも、つみれも、うまいし、
この濃いしょうゆ味には、菊正宗の燗酒。
これも最良の組み合わせ。

圧力鍋を使ったが、1時間程度で、うまい
東京風おでんができた。
満足、で、ある。







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