断腸亭料理日記2009

稲荷町・串かつ

暑中お見舞い申し上げます。
毎日、暑い日が続きますが、皆様にはお元気でおすごしでしょうか。
ご健勝をお祈り申し上げます。

断腸亭

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7月18日(土)夜

連休、で、あるが、別段予定はない。

骨休め、と、いえば、まあ、聞こえはよいが、
ダラダラすごすだけ、そんなところである。

夜は、内儀(かみ)さんと、最近できた、稲荷町の串カツやへ、
いこうということになっていた。

稲荷町、と、いうのは、今は、銀座線、上野から浅草に向かって、
一駅目の駅名で、ある。

また、稲荷町といえば、現落語家、林家正蔵師の前、彦六を名乗っていた、
先代の正蔵師が長屋に住まわれ、稲荷町の師匠と呼ばれていた、
なんというのが、昔の落語ファンの記憶であろうか。

稲荷町とは、むろん、旧町名で、お稲荷さんである下谷神社、
があったので、江戸の頃から呼ばれていたもの。

江戸の地図を出してみよう。


(これよりも少し上野駅寄りの地図もご参照。)

今、稲荷町の交差点は浅草通りと清洲橋通りが交わっている。

江戸の地図と現代で、一番違っているのは、
この清洲橋通りがない、ところであろう。


より大きな地図で 断腸亭料理日記/浅草・上野界隈うまい店 を表示

現在の浅草通りは江戸の頃は、新寺町通りと呼ばれており、
また、清洲橋通りができたのは震災後。

関東大震災の後、下町一帯は、大規模に区画整理がされた。
火事などにも強い町造りを目指し、江戸の頃の細い路地を広げたり、
昭和通りなどができたのも、この頃、で、ある。

この地図を見ると、ほとんどがお寺である。
このうちいくつかは現代も残っている。

交差点南東側の、ビルに埋もれるようにある唯念寺。
このお寺さんは、とっても立派な本堂で、江戸の頃のものという。

下谷神社あたりから、元浅草の北側のこの一画、
戦災でも焼け残ったところで、この唯念寺以外にも
震災後に建てられたと思われる長屋などが今でも残っている。

現在の地図と比べると、清洲橋通りは、
この唯念寺と、西隣の成就院の間を斜めに通されているように
見える。

旧町は、この清洲橋通りができる前の区画で、
この唯念寺のある一画は、以前は南稲荷町で、今も、
町内会は、元浅草でありながら、
鳥越神社の氏子範囲ではないようである。

ともあれ。

その、串カツやは、清洲橋通り沿い、南に下がった
左側にある。
この店は、少し前までは、ラーメンやであったのだが、
黄色い看板はそのままで、気が付いたら、串カツやになっていた。

家の郵便ポストに「土曜日子供ドリンク無料!」
なる文言が入ったこの店の宣伝ポケットティッシュが
入れられていた。

私自身は、一度入ってみたことがあり、
土曜日もやっているのなら、一緒にいってみようと
いうことになった。

若いお兄ちゃんが一人で切り盛りをしているが、
一本なんでも100円。なかなかうまい串カツを揚げている。

私が入ったのは、ウイークデーの夜だが、
カウンターだけの店内は、近所のサラリーマンで一杯であった。

6時前、まだ明るいが、私は雪駄を突っ掛けて、
内儀さんときてみる。

さすがに土曜日のこの時間、まだお客さんはなし。

生ビールをジョッキでもらって、
串カツとレバカツ、それからタルタルソースのかかった
サーモン。




キャベツが出て、ソースは茶色の小さな甕(かめ)に入れられて、
ほぼ一人に一つある。
(お約束の、二度づけ禁止、ではあるが、
店には、デカデカとは書かれていないようである。)

洋食屋仕込みのタルタルソース、などと
看板には書かれているが、このお兄ちゃんは
洋食屋にいたのであろうか。

タルタルソースもうまいのだが、
串カツは、薄い衣で、カリッと揚げられており、
いわゆる関西風の串揚げでうまい。

ビールから、ホッピーに。


続いて、椎茸。


椎茸、と、いうのも、こうして串揚げにすると、
ホカホカに火が通り、うまい。

うずらと、鶏肉。


鶏肉はソースをつけてしまったが、塩でもどうぞ、と
いってくれる。柔らかく揚げられ、うまい。

いか。


ホッピーは中身を二回お代わり。

仕上げに、前にきた時にも気になっていた、
冷やし茶漬け、肉みそ、なるもの。



ここ、串揚げとしては、そうとうに、うまいのではなかろうか。

お兄ちゃん一人でやられているのは、
少したいへんそうだが、仕事帰りに、
ちょいと寄れる、よい店、であろう。


(しかし、この店の名前、こくみんエール稲荷町本店と
先の配られたポケットティッシュには書かれている。
“こくみんエール”とはなんであろうか?
稲荷町本店というが、支店はあるのか?
疑問、では、ある。)


台東区元浅草2−7−10





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