断腸亭料理日記2010

カンパチとマグロのあら

9月12日(日)夕

『講座』の浅草北部下見から、
旧猿若町から、馬道、浅草寺二天門、三社様、
伝法院脇を通り、六区まで戻ってきた。

浅草寺境内、仲見世はいつもの日曜同様、観光客で
ごった返している。

汗だくなので、六区のドトールに入って一休み。

35℃を越える一時期の酷暑よりは、少し気温は
下がっているようには思われるが、それでも汗は
滝のように流れる。

蕎麦やにでも入って、ということも
頭をよぎったが、そんな気分でもない。
家へ帰って呑もう。

ドトールで汗が引くまでしばらく涼み、
再び興業街の通りから、すしや通りへ。

赤札堂にでも寄って、なにか酒の肴をみようか。

きてみると、秋刀魚が少し安くなって並んでいた。
実は、秋刀魚は、昨日の夜内儀(かみ)さんが、吉池だったか、で、
買ってきて、塩焼きで食べた。
値段は、赤札堂でもまだ一本100円を超えているが、
獲れ始めたようである。

だが、やはり脂は今一つに感じた。
やはり、不漁のものを無理やり食べるのは、
ナンセンス、であろう。
どうも、こういうところが日本人はイケナイように
思うのである。

いくら季節の風物詩とはいえ、相手は自然である、
年によって違うのは当たり前ではないか。

旬を大切にするのは、日本人の大切な文化ではあるが、
たくさん獲れて、且つ、うまいから、旬というのである。
高くて、イマヒトツのものは、旬でもなんでもないではないか。
味などわからず、有名産地ブランドだから無条件で
高い金を出す、というのに、にかよった考えであろう。

今年はたくさん獲れて、安い鰯を食べればよいのである。

で、目に付いたのは、[あら]。
ここでも、三筋のヤマザキでも、必ず魚のあら、の、
コーナーは見るようにしている。

魚のあらは、その店舗で刺身などにおろして出た
ものであろう。

私などは、あら、は、安くてうまい
酒の肴の筆頭ではないかとすら、思っている。

焼く、煮る、汁にする程度で、手をかけなくとも
十分にうまいのも、よいところ。

今日は、カンパチと、メバチバグロ、鯛もある。
カンパチはむろん養殖ものだが、脂がありそう。
メバチマグロは見た目には脂はさほどでもなさそうだが
好物ではある。

鯛は鱗(うろこ)取りが手間なので、やめて、、
カンパチと、バチマグロ、どちらも¥150。
両方買おうか。

カンパチは、塩焼き。
マグロは、酒を入れた生姜じょうゆで辛めにつけ焼き。

ふむふむ、うまそう、で、ある。

ビール(第三の)も買って、、。
菊屋橋の交差点を渡って、えっちら、おっちら
元浅草の拙亭まで帰宅。

カンパチの方は塩をして焼くだけ、なので、
マグロから。

生姜をおろし、酒としょうゆの漬け汁をボールに作る。
バチマグロは、血合いなどもある。
洗って、一口に切り、漬け汁に絡めておく。

カンパチは、洗って、塩をし、ガスレンジの魚焼きグリルで
焼くだけ。

焼けた。


これを肴に呑み始め、マグロの方も引き続き、焼く。
カンパチは、いわゆる皮付きの縁側の部分。
それから、腹骨の表面の身を刺身にした残りの部分。
そういったところ。
こういう骨のそばは、脂も多いし、いわゆる、セラチン質も
多く、塩だけで十二分にうまい。

大体において、私など、魚の好きなものは、普通の焼き魚でもなんでも、
骨から、頭、舐(な)めるように食べてしまう。

むろん、魚は、本来の身の部分を食べるのが主であるのだが、
それと負けず劣らず、こうした骨の周り、縁側も、うまい。
よって、こうした、あら、は私には宝の山、といってもよいのである。

マグロも焼けた。


見た目通り、脂はさほどない。
だが、脂が少なくとも、マグロ、と、いうのは、
こうして生姜じょうゆで、付け焼きにすると、
それなりに、うまいものである。
(ただし、焼きすぎないのが、肝要ではあろう。)

あら、の、二品。
こんなもので、幸せな気分になれるのは、
まあ、安上がり、では、ある。











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