断腸亭料理日記2011

蕎麦・室町・砂場

6月2日(木)夜

さて。

大阪出張から7時すぎ、
東京駅まで帰ってきた。

昼間の大阪は天気がよく、日差しが強く、汗ばむほどであったが、
帰ってくると、打って変わって、肌寒く、
朝出たときと同じように、雨。

さ〜あ。

なにを食べよう。

鮨。

東京駅だし、日本橋の吉野鮨
とも思ったが、待てよ。

蕎麦。

そうそう、室町の砂場。

『浅草並木、神田連雀町、池の端、浜町の〔藪〕に、

室町の〔砂場〕。いろいろという人もいようが、

わたしにとっては、これらの店が、いかにも蕎麦屋らしい

風格を残していることを感じないわけにはいかない。』

池波正太郎・食卓の情景「蕎麦」



室町砂場も、池波レシピ、なのであるが、
どうしたわけか、いったことがなかった。

ここの最寄駅は、神田、であろうが、
東京駅からも、歩ける距離である。
雨は降っているが、いい機会だ、いってみようか。

今、東京駅は北側にも、日本橋口といって、
出入り口がある。

最近、再開発ビルが建っているところ、で、ある。

そこから出て、永代橋通りを渡り、新日鉄の脇を抜ける。
旧常盤橋を渡ろうと思ったのである。

常盤橋の前の公園を抜けると、地震の影響か、わからぬが、
入れないようになっている。

しかたなく、回って、江戸通りに出て、
新常盤橋を渡る。

常盤小学校があって、路地を左に入る。

おっと、もう一本、中央通り寄りであったか、
右に折れて歩くと、右の角に、あった。

玄関はさらに、右に折れたところ。

建物は比較的大きい。
玄関脇に、柳の木などが植わっている。

雨が比較的強かったので、ほっと一息。

傘を閉じて、格子をあけて、入る。

店の中は、静かな印象。

そして、広い。
むろん、お客はなん組もいるのだが、
落ち着いている。

入口に近いテーブル席を案内され、座る。

まずは、ビール。


お通しは、子持ち昆布。

つまみは、っと?。
品書きを見る。

さっぱりと、おひたし。
それから、焼鳥。

おひたし、から。


小松菜。

あれ、しょうゆがこないのかな?。

あやうく、聞きかけてしまった。
まさか、そんなことはあるまい。

味はおそらく、ついてる。

食べてみると、案の定、しょうゆの色はついていないが、
なにかは、わからぬが、むろん、味はついてる。

おひたしを、つまみながら、ゆっくり、
キリンラガーの大瓶を呑んでいると、焼鳥もきた。


神田まつやもそうだが、こういう老舗で
焼鳥があれば、まず、間違いなく、うまい。

山椒の香りがうまそう。

食べると、濃い味で、焼き具合もよく、
うまい焼鳥、で、ある。

呑み終わり、食べ終わり、蕎麦。

ここは、創業は明治2年といい、天ぷらそばの
発祥の店、などというが、やっぱり、砂場お得意の、
白い盛り蕎麦にしよう。


しゃっきりと、堅めに茹でられ、うまい蕎麦。

蕎麦湯も飲んで、ご馳走様。

立って、勘定。
再び傘をさして、玄関を出る。
出たところに、灰皿があったので、一服。

なぜ、ここに、こなかったのか。

ここは、日本橋でも、神田でもない、
いや、正確には、旧竜閑川の脇なので、道一本で、
神田鍛冶町になる、日本橋室町の端っこ。

なんとなく、盲点になっていたような、気もする。


だが、室町砂場、やはり、静かでよい蕎麦や、
である。


2011年11月・天ざるそば




ぐるなび



中央区日本橋室町4-1-13
03-3241-4038






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