断腸亭料理日記2012

平成中村座

五月大歌舞伎夜の部 その1

5月6日(日)夜

さて、昼に引き続いて、今日は夜の部の中村座。

今日は、内儀(かみ)さんも同道。

天気予報は夕方から雨、といっていたが、
昼間は日が出てよい天気。

とても雨など降りそうにない。
じゃあ、着物で行こうか、と準備をはじめた。

16時半開演なので、16時には着いておきたい。

15時15分には着物を着始めた。
そこそこ着慣れていはいるが、着終わるまでに、
やはり、30分くらいはみないといけない。

着物もまだ衣替えは、六月。
いわゆる袷(あわせ)、で、冬物で、ある。

すっかり着物を着終わって、まさに出ようとする直前、
一転俄かに掻き曇り、と、いうのは大袈裟だが、
稲光がしたかと思うと、ザアッと、雨が降ってきた。

こうなっては、もう遅い。
このまま、行こう。

マンションの玄関に出るともっけの幸い、
タクシーが前の路地から出てきて、反対に曲がるところを
内儀さんに止めさせ、乗ることができた。
(内儀さんは洋服、で、ある。念のため。)

が、、、。
なんと、雨は、、、、。
旧山谷掘河口、平成中村座に着く前に、
ものの10分もかからずに、やんでいた。
へんな天気、で、ある。

ともあれ、着いて、いつものように
弁当とビール、お茶を買って、入る。

今日も前回と似たような場所。
1階、右前。
内儀さんなどは、そうとうな近さに、驚いている。
平成中村座は、昔の芝居小屋の雰囲気を再現する
という目的もあって、国立劇場などの常設劇場と
比べると、小さく、その分、舞台と客席の距離も短い。

さて。

夜の部の、演目と配役を書き出しておく。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

一、歌舞伎十八番の内 毛抜(けぬき)

                粂寺弾正  中村 橋之助

                腰元巻絹  中村 扇 雀

                 秦民部  中村 錦之助

         小原万兵衛実は石原瀬平  市川 男女蔵

                小野春風  中村 国 生

                 錦の前  坂東 新 悟

                八剣玄蕃  片岡 亀 蔵

                秦秀太郎  市村 萬次郎

                小野春道  坂東 彦三郎


二、志賀山三番叟 上演口上(じょうえんこうじょう)

                      中村 勘三郎

  江戸随一 志賀山三番叟(しがやまさんばそう)

                 三番叟  中村 勘九郎

                  千歳  中村 鶴 松


三、梅雨小袖昔八丈(つゆこそでむかしはちじょう)

  髪結新三(かみゆいしんざ)

                髪結新三  中村 勘三郎

               家主長兵衛  中村 橋之助

                下剃勝奴  中村 勘九郎

                車力善八  片岡 亀 蔵

                 娘お熊  坂東 新 悟

              加賀屋藤兵衛  市川 男女蔵

                後家お常  市村 萬次郎

              弥太五郎源七  坂東 彌十郎

                手代忠七  中村 梅 玉

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

私の目当ては、最後の『梅雨小袖昔八丈』
通称『髪結新三』。これは落語家もやる噺。

だが、これも含めて、すべて私は初見。

まず、一つ目。

『毛抜』。上に書いてある通り、歌舞伎十八番。

歌舞伎十八番、というのは、天保の頃、
七代目市川團十郎が初代、二代目の頃の團十郎が
得意とした演目十八番をまとめたもの、で、市川團十郎家の
お家芸、ということになっている。
(が、実際は、今回の中村座のように、他の家でも演っている
ということのよう。)

また、歌舞伎には荒事(あらごと)と和事(わごと)といって、
その芸風というのであろうか、二種類に分けられ、上方が和事、
関東が荒事。その荒事を代表するのが團十郎家で、そのまた
代表がこの歌舞伎十八番、と、いうことになっている。

十八番もあるが、実際によく上演されるのは決まっており、
『助六』『勧進帳』『暫』の三つといい、
この内、私が観たことがあるのは『助六』と『勧進帳』。

『毛抜』はこれら三つほどではないのであろうが、
それでも、有名なものは、観ておかねば、で、ある。

主役は粂寺弾正で中村橋之助。

例によって、筋は、長い話の一部なので、複雑なのだが、
この幕だけ取り上げると、眼目はとってもわかりやすい。

結論からいえば、わかりやすすぎて、むしろ、
退屈してしまった、というのが正直な感想、で、ある。

ある種、落ちのわかったコントを観ているような、
と、までいうのはいいすぎかもしれぬが、現代に
これが通ずるのか、という気もしたのだが、
いかが、で、あろうか。

昔、こういう芝居がありました、というような、
博物館的な興味、で、観るしかないのであろうか。


と、いうことで、今日はここまで。

つづきまた明日。





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