断腸亭料理日記2012

浅草・イタリアン・リストランテ・
ジャルディーノ その2

9月30日(日)夜

さて。

引き続き、西浅草のイタリアン、ジャルディーノ。

昨日は前菜まで。

次は、パスタ。


私の
「生シラスとカラブリア産ウンドゥーヤ(辛口ソーセージペースト)、
オクラのソース スパゲッティ」。

生シラス、というので、白いものを想像していたら赤いのが
出てきたので、ちょっとびっくり。

シラス、らしいものも、見えることは見える。

食べてみる。
ちょっと、辛味があって、うまい。

シラスは目には見えるが、食べた感じの存在感というものは
あまりなく、出汁のようなものかもしれない。

こういうものの味の組み立て方、というのは、
文字にしずらいが、なんともいえず、うまい。

これがシェフのセンス、ということなのであろう。

あとで『カラブリア産ウンドゥーヤ(辛口ソーセージペースト)』
なるものを調べてみた。

イタリア版ウィキペディア

カラブリアというのは、シシリアの対岸
イタリア半島の南端の西側(ブーツのつま先)の州。
 ウンドゥーヤ('NDUJA)というのは、辛味のある
ソフトサラミで、カラブリアの名物。
東京などではサルバトーレ・クオモなど、ピザの具として
食べられるよう。

ソフトサラミをほぐして、使っているのか。

内儀(かみ)さんの「信州サーモンと北海道産ホタテ
フェンネル(ういきょう)のソースリングイネ」


ちょっと、味見をしてみた。
このサーモン、前菜でもあったが、スモーク。
完全に好みの問題だと思われるが、スモークが強いのか、
香りが強く、苦手であった。

酒を、ハウスワインの白、ハーフにする。

メイン。

私の魚。
「伊予灘産 鮮魚のソテー、かるいクリーム仕立ての魚介スープ
椎茸を添えて」。


魚は鯛。

まわりのソースにある黒いのは椎茸、緑はブロッコリーと、
もう一つは勿忘草(わすれなぐさ)のつぼみ。(中華では金針菜。)

これぞ、日本のイタリアンシェフの真骨頂というべきであろう。

見た目にもわかるとおり、塩をした鯛の皮目がパリパリ。
芸術的といってもよいほどであろう。

イタリア人やフランス人、中国人はいざ知らず、
日本人であれば、焼き魚、鯛の塩焼きの皮はパリパリであるのが
最もうまい、というのは、食通でなくとも、誰もが知っていること。

和食の料理人であれば常識で、基本ではなかろうか。

従って、イタリアンのシェフであっても、日本人ならば
このパリパリを第一番に目指すことになろう。
いや、むしろ、和食の料理人同様、これは最低限、
クリアいなければいけないポイントと考えるかもしれない。

そして、ソース。
これもなんだか、得もいわれぬうまみがある。
鯛などの魚介類と椎茸などの野菜類のうまみを
出しているのであろう。

内儀さんの、ラム。


レアだが、においなどもほとんどなく、実にうまい。

デザート、ドルチェ。


桃づくし。

ジェラートと、ジュレと果肉。

特別、凝ってはいないが、シンプルにうまい。

コーヒー。
マカロンとビスコッティー。


ビスコッティーはコーヒーにひたして。


たいへんおいしゅうございました。

会計をして、立つ。

シェフ含めて、総出でお見送り。
(結局、他のお客はこずじまい。)

ご馳走様でした。

さて。

問題の天気。

いよいよ、台風接近か。
出ると強い風雨。

風はそれでも傘が飛ぶほどではない。


仁丹塔交差点まで出て、タクシーを拾って、
帰宅。


さて。

今日、食べながら、イタリアで食べた、イタリアンと比較して、
考えてみた。
おそらく、今日のジョルディーノのシェフの腕くらいのシェフは
東京にはそれこそ、100のオーダーでいる、のであろう。
改めて、東京の料理人のレベルの高さを実感する。

ローマでも考え、書いたと思うが、決して引けは取らなかろう。
ただし、それが例えばイタリアで、ウケルのかどうか。
これはまだ別の問題のようにも思われる。

イタリア全土を上から下まで食べ歩いたわけではないので、
むろん、断定的なことはいえないが、彼らのベースの味は、
マンマ(お母さん)の味で、日本人のシェフの作る
繊細な味は、違う、とはいわないが、頻繁に食べるもの
ではない、と感じるようにも思われるのである。
(むろん、値段の問題はあるが、日本人なら、毎日食べても
よい、と、思うのではなかろうか。)

いわば、日本人のシェフが日本で作るイタリアンは
ある種ベツモノの、完全に日本人向けの料理、といって
よいのではなかろうか。
なんとなく、そんな気がする。

まあ、仮説。
また、考えてみたい。

 

 

ジャルディーノ


 


 

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