断腸亭料理日記2013

両国・ぼうず志ゃも その2

2月2日(土)夜

今日は、昨日の続き。

両国の軍鶏鍋や[ぼうず志ゃも]

入って、ビールをもらったところまで。

まずは、小鉢。


鶏と玉ねぎのサラダのよう。

次は、これ。


見た通り、レバー。
柔らかくて、うまい。

鶏レバーの煮たのは拙亭でもよく作るのだが、
うまいもんである。

レバーというのは、時間がたてば、堅くなる。
私なんぞは、冷めて堅くなってもうまいと思うのだが、
これは煮え立てが、柔らかく最もうまい。

これは煮え立て、で、あろう。
客がくる度に毎に、煮ているのであろうか。

次は、たたき。


わさびじょうゆで。
これもうまい。

さて。

ここまでは、とん、とん、と、出てきた。

鍋のはずなのだが、いっこうに現れない。

女将(おかみ)さんは、隣のお馴染みさんの座敷に入って、
話し込んでいる。

まさか、忘れられたか。

それとも、準備に時間がかかっているのか。

わからぬが、どうも、ここはそういう店、と、思った方が
よさそうである。

趣味でやってる?。

まあ、そんな感じ。

下町の小さな老舗系にわりによくある。

うちの内儀(かみ)さんなんぞは「ちょっと、文句いってくる」と、
いきり立っているが、なだめる。

これがこの店のリズム、なのである。

女将さんはおいくつぐらいであろうか。
六〇は越え、ひょっとすると、七〇も越えているかもしれない。

そして、お客と世間話をしたい、のである。

どうせ女将さんになにかいうのであれば、
酒の注文でもすればいい。
こっちも忘れないでね、と。

と、いうことで、燗酒を頼む。

酒を呑み始めていると、きた。鍋。


鉄鍋に割り下が張られている。
液体以外のものがなにか、入っているようなので、
聞いてみると、味噌とのこと。
しょうゆと、味噌、ということのよう。

女将さんは鍋と一緒に、底の浅い小判型の飯台にぎっちり詰められた、
鶏挽肉と薄く切った肉を一緒に持ってきた。

女将さんは、挽肉は丸めながら入れ、薄切りの肉はどんどんと入れる。

ザク(野菜)は白滝とねぎのみ。

いさぎよい。

やはり、江戸前の鍋。

ごちゃごちゃ、いろいろ入れない。

これがよい。

煮えてきた。


玉子をくぐらせて、食べる。

軍鶏鍋というと、最近は神田須田町のぼたんへ行くことが多かったが、
ぼたんよりもここは、割り下は薄い。

煮詰まることを想定して、の、ことか。
女将さんはこちらの座敷にきても、話し込む。

「お近くですか?」

「ええ、浅草です」

「にぎやかですね」

そうなのか。
隅田川の向こうからみると、そういう認識になるのか。

「こっちは、スカイツリーができても、ちっとも
にぎやかには、なりませんよ。みんな浅草へ行っちゃうんでしょ」

あ〜、なるほど、そういうことか。
すみません。

「中の施設は潤ってるけど、あの近くも
お客は寄っていないようですよね」

「そうですねぇ。(まあ、業平橋と押上だし。)」

「開業前に招待されてい町内の老人会でバスを仕立てて
いったんですよ。朝の早い時間だからね、ちょうど
葬儀屋のバスが安く借りられて、それでいったんですよぉ。
そうしたら、雨でね。上へあがっても、なんにも見えないし、
他のところはまだやってなくて」

そうそう、そんなの、ニュースでやってた。

子供達も招待されて、
「なんにも見えなかった〜〜〜」と叫んでいたっけ。

たらふく食べて、呑んで、ご馳走様。

勘定は鍋一人、1万円。

帰りは、両国橋を渡り、元浅草まで、
ぶらぶら歩いて帰る。






墨田区両国1丁目9−7
03-3631-7224










  


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