断腸亭料理日記2013

有楽町・広東料理・慶楽

先週は一週間、歌舞伎「義経千本桜」の観劇記で
終わってしまった。

来月、11月と12月、役者は替るようだが続けて「忠臣蔵」を
またまた通しでやるようである。
これもハードそうである。

だが、どちらかは行かねば。

こうして通しを頻繁に演ってくれるのはトウシロウ観客としては
大歓迎で、ある。

引き続き、観劇後。

10月12日(土)夜

芝居がはねて、歌舞伎座前に出てくる。


真新しい白塗りの壁がライトアップされ、きれいである。

午前11時から夜9時近くまで、10時間弱、さすがに
長かった。

さあ、なにを食べようか。

弁当やら鮨やら、ずっと和食だったので、それ以外だ。

ここの時間、銀座周辺でさっと食べられるところ。

中華。

有楽町の[慶楽]にしようか。

あそこであれば、あいていよう。

町名は有楽町だが、JRの高架の向こう側、南側で
感覚的には、日比谷である。

[慶楽]は池波レシピ。

昔なからのうまい東京の中華料理店といってよかろう。

歌舞伎座から晴海通りを向こう側へ渡って、真っ直ぐに有楽町方向へ。

連休の土曜日、この時刻でも人通りは少なくない。

銀座通りも渡り、数寄屋橋交差点も渡る。

JRのガードをくぐり、高架沿いを左。

[慶楽]は右側。

入ると、帳場にいるオカアサン。
ラストオーダーは9時半、とのこと。

一階の席へ。

さすがにこの時刻、他にお客はいない。

ビールをもらって、注文は?。

牛バラ肉のかけご飯もうまいが、
やっぱり、池波先生御用達メニューがよかろう。

ここでの池波メニューは、
「豚肉ともやしの焼きそば」「スープ炒飯」
それから大きな「春巻」。
この3品、どれもうまい。

この中から、内儀(かみ)さんの希望で「スープ炒飯」を
外してかわりに「水餃子」。

ここの水餃子は、しょうゆ味のスープに茹でた
餃子が入っているというもの。
(なぜか内儀さんはこれが好きなよう。)

「水餃子」。


見た目はオーソドックスな餃子のようだが、
中身は、海老やら椎茸やら野菜やら入った、広東風と
いってよいのか。

ぷりぷりでうまい。

「豚肉ともやしの焼きそば」。


これも見た目は、あんかけでもなく、まったく普通の
もやしの焼きそばであるが、なんのなんの、
さすがの池波メニュー、べら棒にうまい。

こういうまったくオーソドックスな、どこにでもあるものを
うまく作る、というのは、並大抵のことではないだろう。

麺の焼き具合、もやしの炒め具合と、おそらく、
微かに片栗粉で絡められている感じ、絶妙なのであろう。

大きな「春巻」。


ここのものは、太いものを切って出てくる。

これもまた、大きさ以外は普通の春巻であるが、
やはり、左にあらず。

筍やら海老の入った具がうまい。

〆て、大満足である。

ただし、さすがに量が多いので、春巻は半分包んでもらう。

ご馳走様でした。

いつきても、この店ははずれ、ということがまったくない。
(ほぼ同じものを頼んでいるから、というのもあろうが。)

創業は戦後すぐの、昭和25年。

もはや老舗といってもよかろう。
代替わりをしてもいるのであろう。

だが、へんにお高くとまることもなく、
気の置けない、安心できる雰囲気は変わらない。

味も、今の本場の中国料理ではなく、
日本人、東京人の舌に慣れた、オーソドックな
中華料理店の味を続けている。

毎度書いているが、意外に日本国内でも
我々にはとても馴染み深い味だが、こういう中華は、
名古屋、大阪など他の地方には多くない。もはやこの味も、
押しも押されぬ東京名物といってよろしかろう。

ファンとすれば、にぎり鮨、天ぷら、うなぎ蒲焼、
洋食とともに、東京固有の食文化として、東京都の
重要無形文化財として、指定してしかるべきと
思うのである。



慶楽
住所 東京都千代田区有楽町1−2−8 慶楽ビル
電話 03-3580-1948




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