断腸亭料理日記2014

親子丼

4月13日(日)第二食

親子丼が食べたくなった。

いや、正確には先にかつ丼を食べたい、と思った
のであるが、鶏肉も冷凍の買い置きがあり、
親子の方が簡単なので、親子でもよいか、と
なったのである。

まあ、いずれにしても甘辛の玉子とじ丼であれば
よかったということである。

さて。

親子丼のこと。

私自身は外で食べることはあまりない。
そばやなどで両方あれば、かつ丼の方を選ぶ。

今は親子も有名なところ、看板にしている
鶏や、なども少なからずある。

親子丼というのはいつ頃からあるのか。

かの人形町[玉ひで]などは明治24年、出前用から
始めたといっており、親子丼の元祖を標榜してもいる。

[玉ひで]が元祖なのかはわからないが、
鬼平に登場する[五鉄]ではないが、江戸の頃から下町に
数多くあった軍鶏鍋、鶏鍋やが始めたというのは
間違いなかろう。

以前に読売新聞の記事から、丼ものの歴史を
調べたことがあった。

親子丼が新聞に最初に登場するのは大正5年。
これは記事ではなく、神田の鮨やの広告。
[玉ひで]とは30年弱の開きがある。

おそらく、軍鶏やなどで丼飯の上に親子煮をのせたものが
明治中期に生まれ、大正の初め頃には他の業態でも
出すくらい一般的になっていた、と考えるべきであろう。

ちなみに、かつ丼はというと、親子よりも後。
洋食やのカツレツが、明治末頃に独立(あるいは、
一般化)しトンカツとなり、さらに、かつ丼に
なっており、誕生は大正の震災前後と思われる。

ともあれ、親子丼を作る。

少し前から、片手の持ち手が付いてる
テフロンの丼鍋を合羽橋で買って、主として
かつ丼であるが、作っている。

が、これがなかなかむずかしいのである。
むろん、こんなものなので、食べられぬものが
できてしまうということではないのだが、
見栄えよいものがなかなかできていないのである。

まずは、鶏肉をレンジで解凍、一口に切る。

玉ねぎ1/4個ほど、スライス。

鶏卵は2個、ゆるめに割りほぐしておく。

親子やかつ丼の場合、完全に腰を切らない
というのが決まりになっている。

この腰を切らないというのはなぜか。
鍋料理のあとのおじやに入れる玉子などでも
かき混ぜるのかどうか、問題になる。

玉子(この場合卵白になるのか)の腰を切らないと
硬めの弾力がある仕上がりになる。
これを、よしとしている、のである。

逆に腰を切ると、より柔らかになると思われる。

どちらがうまいのか。
まあ、実際には好み、であろう。
私はほんとうはどちらもありであると思っている。

丼鍋に、切った鶏肉と玉ねぎを入れ、
桃屋のつゆを入れ、酒を少し入れて、伸ばす。


実はこの時のつゆの量がポイントになるのだが、
底の浅い丼鍋は、どのくらいの量が入ったか
意外にわかりずらい。

同時進行で、冷や飯をレンジで温める。

煮立てて肉と玉ねぎに火が通ったら、
溶いた玉子を入れる。


ここでつゆの量が多かった、というのが実はわかる。
が、もはや調整はきかない。

ふたをする。

様子を見ながら半熟に固まるまで。


半熟に固まってきたが、やはりつゆが少し多めか。

親子、かつ丼専用の、かの、丼にご飯を盛って、
丼鍋から親子煮を移す。

この工程もいつも問題になる。
かつ丼で、かつが大きいと、まず間違いなく、崩れる。

今日は?。

ん!。うまくいった。

具の量の問題であろうか。


この写真は、実にうまそうに、またきれいに盛り付けられている
ように写っている。

見た目にはわるくない。

玉子の半熟加減もかなりよいところにきている
と、いってよろしかろう。

そばやの親子、かつ丼などでは半熟ではなく、
完全に固めてしまうところもあり、個人的には
それでも十分にうまいとは思ってはいるが。

比較すればやはり半熟くらいが親子にしても、
かつ丼にしてもよりうまいであろう。

では、なにが問題かというと、途中で気が付いているように
つゆが多かったのである。

が、しかし。

これ、いわゆるつゆだく、というやつである。

つゆだくは半熟の玉子とあいまって、シャバシャバ
なのだが、これはわるくないどころではなく、
十二分にうまい。

まあ、結局、どこを目指すのが。
自分が最もうまいであろうという状態にきちんと
コントロールしてたどりつけているか、で、ある。

そういう意味では、今日はたまたまの結果。
やはり、これではいけなかろう。
むずかしい。







 


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