断腸亭料理日記2014

鮨・新ばし・しみづ その2

3月9日(日)夜

引き続き、日曜の新橋[しみづ]。

ここは都心の店としては珍しく、土日も店を開けているいるのが
ありがたい。


先客は奥に二人組。

カウンター真ん中に内儀さんとともに座る。

ビールをもらって、お通しは小鉢に、菜の花おひたし。
辛子ではなくわさびがピリッと利いており、うまい。

例によって薄口の大ぶりなグラスなのでグビグビと呑んでしまう。

坊主頭の丸い目の親方が、なにか切りますか、と。

はい。おまかせで、と頼む。

この親方、口数が少なく、一見柔和な印象だが意外に目が鋭い。

先ずは、平目、縁側つき。

塩も出された。
塩はちょっと赤紫がかっているので、どんな塩かと聞いてみると
瀬戸内の藻塩(もしお)という。
赤紫は海藻からのものであろう。

平目は比較的厚めに切ってある。
白身でも厚めに切った方が、うまみは感じやすい。
縁側はシコシコ。

ほたるいか。
旬のものである。

わさびじょうゆ。

このほたるいか、目が取ってある。
細かい仕事、で、ある。

次は、小鉢に入れられて出てきた、さより和え。
さよりも、春先の今が旬である。

先ほどから右側で若い衆が作っていたので
気になっていた。

細く切って、しょうがも微かに入っていようか、
しょうゆとねぎで和えてある。
鯵のたたきのようなイメージであると思うが、
このようにさよりを出されたのは初めてかもしれない。

さよりというのは、鮨やでは光物に入るが、味としては
限りなく白身に近い。
しかし、こうするとまた、光物らしくなる。
光物好きとしては、堪らないものである。

赤貝と、焼き平貝。

平貝は5mmほどの薄さで炙って海苔ではさみ、
七色唐辛子をちょいとまぶしてある。
鮨やでは定番の肴、つまみ、で、ある。
香ばしくてうまい。

ビールから、燗酒にかえて、今日はつまみも随分と
食べてしまった。

ここからは、にぎり。
引き続き、おまかせ、であるが、内儀さんが
海老と、おぼろを入れてくれ、と、リクエスト。

最初は、きす。

ここはおまかせだと、最初は決まってこれである。

酢〆のきすをにぎるのは柳橋[美家古鮨]系統以外では、
私は見たことがない。

味が濃い赤酢を使った酢飯で、強めに〆られたきすのにぎりは
看板といってもよいのかもしれない。

続いて小肌。

だいぶ大きくなっている。

次は、すみいか。

これも江戸前鮨のいかとしては定番。
そろそろ時期も終わりかもしれない。

まぐろ赤身、と中とろ。

気のせいか、ちょっと水っぽい印象。
今日のははずれか。
まあ、こういう日もあろう。

煮蛤。

正確には今は煮ているところは少なく、
たれに漬け込んでいるのが多いようである。

むろん、にぎりにできるくらいの大きい蛤である。

塗られている甘いたれがまたうまい。
(甘いたれは鮨やではツメというが、これは鮨やの符丁なので
お客は使ってはいけない。1カン2カン、おあいそ、シャリ、
その他、色々、今は若い女の子まで使っている。
おそらくTVの影響であろう。やめたほうがよい。)

リクエストの海老。

茹で立てでにぎり、半分に切って出る。
いつも通り、うまい。
やはり海老はこれでなくてはいけない。

鯵。
(順番がここであったのか、もう少し早かったか、うろ覚え)
なんということはない普通の鯵にみえるが、これがまたうまい。

巻物を残して、おまかせはここで終わり。

追加で、私は春子、鯖。
どうも、光物には目がない。

鯖はべら棒に脂があって、秀逸。

巻物は、かんぴょうも入れた、リクエストの
おぼろ巻。

なんであろうか、内儀さんのおぼろ好きは。
これだけ食べたい、などといっているが。

おぼろというのは、子供の頃はとてもよく見かけたでんぶの
ようなもので、白身などの身をほぐして甘くしたもの。
色は白っぽ。小肌のにぎりにはさんだりもする。
江戸前鮨やでは、置いていたもの。
やはり、ここの系統では、ほとんど用意している。

これで終了。

うまかった。
そうとうに腹一杯、で、ある。

お勘定はビール二本に、酒一合で、34,600円也。
やはり、食べすぎた。

ご馳走様でした。

 


新ばし・しみづ
03-3591-5763
港区新橋2-15-10

 

 

 


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