断腸亭料理日記2014

日本橋吉野鮨

5月12日(月)夜

東京駅八重洲口に隣接している、
グランドトウキョウノースタワーで仕事終了。

ここからだと、早いが久しぶりに吉野鮨へいってみようか。

日本橋でお仕事をされている方には当たり前のことであろうが、
私などは、オフィスが新宿区の田舎にあり、
日本橋にはあまり縁がなかったので、東京駅と日本橋というのは
以前は“別”の場所、と、考えていた。

しかし、実際には東京駅から日本橋というのは目と鼻の先。
東京で生まれ育っても、普段行かないところは
まるで知らないのである。

考えてみると、八重洲口のすぐ前を走っている外濠通り。
むろん、以前は外濠であったわけである。

渡る橋で最も近いのは呉服橋。濠の内と外で、
区域としては明らかに別で、外濠の外側、今は八重洲といっているあたりも、
日本橋と呼ばれていたわけである。

ともあれ。

八重洲口から真っ直ぐに東へ抜けて、丸善の脇から
中央通りを渡って、高島屋の脇を通り、右。

吉野鮨到着。

暖簾を分けて入る。

いつもこの白木の硝子格子(ガラスごうし)を開ける時には
ちょっとドキドキする。

吉野鮨というのは、これは親方のキャラクターなのであろう、
店としてやはり多少の緊張感がある。
それから、席が空いているかなぁ〜、という危惧。

開けると、さすがに早い時刻、まだお客は数組。

よかった。

一人、というと、どこへどでもどうぞ!、というので、
入ってすぐ、カウンターの角に座る。

瓶ビールをもらって。
さて、つまみだ。

光物を聞いて、鯵と、さよりを切ってもらう。

私の場合、かなりの頻度でこの組み合わせである。

つまんで、ビールは1本でやめる。

お茶をもらって、にぎり。

最初は白身。

なにがあるか聞くと、かんぱち、鯛、鯛昆布〆。

かんぱちと、昆布〆、
それから、いか。

いかはもうすみいかの時期ではないか。

かんぱちも、鯛昆布〆もどちらもうまい。

次は鰹と中トロ。

鰹は今年は不漁と聞く。

しかし、味はみずみずしく、実にうまい。
つまみでもらってもよかった。

また、今日の中トロはうまい。

ん!そうだ。

光物を忘れていた。

別段、だからどうだ、というほどのことはないのだが、
私は、鮨やで、頼む順番は一応のところ、決めている。

白身・いか、光もの、まぐろ、甘い種。
私は、貝類は普通あまり頼まないのでこんな感じ。

で、鰯と小肌。

鰯も、ものがよいのであろう、プリプリとした食感と
鰯らしいうまみが、よろしい。

季節的にはもう小ぶりのものは少ないのであろうが、
小肌もうまい。

ここの小肌の〆具合はいつもは、もう少し強めの記憶があったが、
今日は強くもなく、浅くもなく、ちょうどよい加減に感じる。

そろそろ終盤。

海老とたこ。

たこはたれつき。

毎度書いているが、ここの海老はうまい。
いや、まっとう、といった方がよろしかろう。

もっと高額な店では、ゆでたてを少し冷ましてからにぎる。
ここはゆでたてではないようだが、限りなく、それに近い。
プリプリで、あまい。
これがほんとうの海老のにぎり、で、ある。

そして、たこも違う。

同様に、茹でたものを買ってくるのではなく、
生を店で茹でているのであろう、独特の江戸前仕事が
されたたこは、食感も味も香りもまるで違う。

いつもはこのあたりで腹一杯。

巻物でお仕舞いだが、今日は、穴子を頼んでみる。

ここで頼むのは初めてかもしれない。

ここも穴子は炙ってにぎる。

煮穴子自体の色は薄め。

とろけるほど柔らかく煮たものがホカホカかつ、
軽く焦げ目が付き、香ばしく、
これがたれと相まって、まさに堪えられない。

これでお仕舞い。
(もう少し、なにか食べたような気もするし、
これだけだったような気もするが、一週間経って、
ちょいと忘れてしまった。)

やっぱり、池波先生ではないが、混む前のこのくらいの
早い時刻がよい。

なにしろ、くつろいで頼める。

うまかった、ご馳走様でした。

お勘定は、7,500円也。

格子を開けて、ありがとうございます、の
声に送られて出る。


まだ早い。高島屋の地下で甘いもんでも買って帰ろうか。





中央区日本橋3-8-11
03-3274-3001




 


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