断腸亭料理日記2015

お茶のこと。


さて。

今日はお休みなので、ちょっと趣向をかえて
お茶のこと。

皆さまは、お茶はお好きであろうか。

お茶といってもいろいろあるが
いわゆるお茶。

日本茶、緑茶である。

私は、そうとうに好きなのではないかと思う。

ウイークデーは昼間はむろん仕事をしている。
外へ出る機会も多いが、昼間であれば、緑茶の
ペットボトルの500mlを持ち歩き、夏ならば
3〜4本は飲むし、冬でも2本は飲む。

家にいれば、夏は冷たい麦茶を作って飲み、
冬は熱いお茶を入れて、ほぼずっと飲んでいる。

どんなお茶が好みかといえば、
濃いもの。

ペットボトルでは伊藤園の「濃い茶」があれば
まずこれを買っている。

家で飲むのは静岡の掛川の「静岡茶通信直販センター」
というところの深蒸し茶を通販で買っている。


いわゆる普通の煎茶は薄くてだめ。
深蒸し茶というのは濃い、というのを聞いて
ここのものを買い始め、気に入って続けて買っている。

お茶がうまい、と、思うようになったのは
いつ頃であろうか。さすがに子供の頃ではないだろう。

ティーンエージの頃であろうか。
当時は回転ずしだと思うが、その鮨やのお茶が
うまい、と思ったのが最初であった。

他の地方は知らぬが、東京の鮨やのお茶は、
熱くて、濃い。
このあたりのお茶の味が私のお茶のスタンダードに
なっている。

以前はたくさんあったと思うが、今、個人営業の
お茶専門の小売店、お茶やさんというのは、ほぼ姿を消して
お茶を買うとすればスーパーであろう。

しかし、スーパーで売っているお茶というのは、
はっきりいって、価格以外に選択肢はない。

スーパーのお茶っ葉には、ほぼブランドはない。

いや、なんとか園というのがあるのであろうが、
山本山などは別としてCMなどをやっているわけではなく、
一般人にはわからない。

それでまあ、私も、結局財布に合わせて売っているものを
買っているという状態であった。

従って、味も鮨やのお茶が好みなのだが、
選択の余地もなく、あるものを飲んでいるだけであった。

多くの方がそうなのではなかろうか。

また、ある時たまたま「寿司屋のお茶」と書いているものを
見つけ、粉状のお茶であったが、買って飲んでみたこともあるが
これもまあ、濃いことは濃いのだが、今一つで
続けて買うことはなかった。

玉露などの一番高いお茶と茎だけの茎茶など一番安いお茶の
価格差は10倍?。このくらいの差があれば、むろん味も大差がある
ということは、わかる。
しかし、その間にはかなり細かい値段帯が分かれているではないか。

例えば、100g800円のお茶と1000円のお茶とがあるが、
この200円の差はなんなのか。普通の人間が飲んでわかるのか。

結局、お茶の値段がどういうところでついているのか、が
わからない。いや、私だけでなく、
あまり一般に認知されていないと思う。
また、売り手側もあまりそういうことを消費者へ
知らせていないようにも思われる。

また、そういった売り手側の評価と、鮨やのお茶がうまいと
思っている自分のお茶の好みが一致しているのか、
いないのか、それもわからない。
ようはどんな種類のお茶にどのくらいのお金を出せば
自分がうまいと思えるのか、まったくわからない。

それで、今のところの結論が、冒頭に挙げた
掛川の深蒸し茶である。

上の写真のものは100gで1080円。
まあ安くはない。

深蒸し茶というのは、製法として一般の煎茶よりも
茶葉を蒸す時間が長めだそうだが、確かに濃く出るお茶である。

この上は1620円。下は864円、648円、540円、
さらに200g入り648円とある。

このそれぞれを試したが648円より下のものは
確かに違いがわかり、あまりうまくはない。
一方、普段ガブガブ飲むお茶に、1620円は出せない。

それで、864円か1080円のものなのだが、この二つの違いは
正直のところわからない。

それでまあ、どちらかを、5000円以上頼むと
送料がかからぬので、まとめて買っている。

ここ数年ずっとここのものを買っているので味はわかっており
スーパーで買うよりも、納得感があり一先ずは
満足してはいる。
(スーパーでは基本薄い煎茶ばかりで、この深蒸し茶は
あまり見かけないようにも思われるが。)

しかし、お茶というのは、わからないものである。

落語「お若伊之助」に出てくる一節。

「俺ぁ、恩にゃぁかけねえ、いいか、恩にかけるわけじゃねえが、

 そうじゃねえか。いつまで家に置いてもしゃぁねぇと思うから

 ばあやぁを付けてこうして一軒の家を持たせてやって、

 旦那体(てい)のきたときには“渋い茶”の一杯(いっぺぇ)も

 くんで、羊羹の三切れでも出せば二分の祝儀がもらえるように

 なったのは手前(てめぇ)誰のおかげだ・・」

辞書を引くと、渋茶というのは安い茶のこと、と、出てくる。

この「お若伊之助」に出てくる渋い茶とは
文脈からするに、安い茶とは思われない。

一緒に羊羹の三切れも出すのだから、よいお茶であろう。

江戸・東京では昔から、渋いお茶が好まれていた
のだと思っている。

渋いお茶とは、おそらく濃いお茶と
言い換えてよいのだろう。

それで鮨やでは昔から濃いお茶を出している。
いかがであろうか。




 


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