断腸亭料理日記2015

森下・やきとん・山利喜

7月1日(水)夜

ビッグサイトから帰宅。
今週は今日から金曜までビッグサイトである。

7時前。

帰り道は、ゆりかもめで豊洲、
有楽町線で月島、大江戸線というルート。

今日は久しぶりに森下の居酒屋[山利喜]に
寄ってみようか。

[山利喜]は東京でも銘居酒屋といってよかろう。

居酒屋といっても大衆酒場、やきとんという看板を掲げている。

創業は大正14年、現在は三代目。

この方がフレンチの修行をしたということで
つまみがうまい大衆酒場。

なかでも、赤玉ポートワインなど洋の味も加えた
煮込みが目玉であろう。

森下で降りて、地上に上がる。

あがったところが森下の交差点。

清澄通りと新大橋通りである。
清澄通りは清澄公園の脇を通っているので
この名前なのであろうが、本来は、二つ目通りであろう。

今でも三つ目、四つめ通りはある。
これは江戸からの呼び名で、竪川にかかる橋の名前で
大川(隅田川)からいくつ目ということである。

鬼平に出てくる軍鶏鍋や[五鉄]は“本所二つ目”の
橋の袂にあり、つまり、この森下から、今いっている清澄通り
(二つ目の通り)を北上すればすぐである。

[山利喜]は新大橋通り沿いの北側、森下交差点から東へ行った数軒目。
並びには、桜鍋の[みの家]もある。

数年前に改築し、今はちょっとお洒落なビル。

玄関からすぐに階段になっており、中二階のようなところが一階。

入って、小母さんに一人、という。

天気もよくないせいか、パラパラと空席もある。
混んでいるときには、居酒屋であるが、列になることもある。

ちょうど、やきとんを焼いている真ん前のカウンターに座る。
(ん!、ちょっと暑かった、か。)

座って。やっぱり、ここだと、ビールではなくて、
最初っから、レモンサワーであろう。

注文も一気にしてしまう。

煮込み玉子付き、それにガーリックトースト。
この二つを食べなければ、ここへきた意味はない。

それからやきとん。
白、レバ、ハツ。全部たれで。

レモンサワーから。


お通しはひじきの煮たの。

ここもやはり“キンミヤ”の焼酎。
東京のやきとんやではもはや定番である。

拙亭でも“キンミヤ”が定着している。

煮込み玉子付き、ガーリックトーストがきた。


ニコタマ?、どこかのやきとんやでそう略していた。

煮込みに玉子を入れるのはそう珍しいことではないと思うが
どこが元祖であろうか。
自作をしても玉子は必ず入れるが、ここでも外せなかろう。
うまいもんである。

ここの煮込みがうまいのはやはりこのつゆである。

そして前にも書いていると思うが、脂の多いマルチョウが
必ず入っているのもポイントである。
これでコッテリ感が増すと思われ、私も自作をするときには
真似をするようになった。

ガーリックトーストはつゆにつけて食べる。
これもまた、うまい。

続いて、やきとん。


特段変わったものではないが、十分にうまいやきとん。
むろん、レバーは半生。

また、添えられている溶きからしが絶妙である。

ちょっとゆるめなのだが、このゆるさ加減が、
妙にやきとんに合うようである。

追加で、塩らっきょも頼む。


なぜであろうか、やきとんには、塩らっきょ。

(らっきょう、ではなく“う”を発音しない。
これは江戸弁であろうか。下町だからか。わからぬが、
やはり“う”をいわない、らっきょ、の方が、それらしい。
この家でも、らっきょ、である。)

下町の居酒屋、やきとんやには、塩らっきょは
ほぼあるのではなかろうか。
以前、葛飾の四ツ木に住んでいた頃には、立石仲見世の
惣菜やで、いつも買っていた。

やきとんに、レモンサワーとくれば、塩らっきょ。

これしかなかろう。

レモンサワーをもう一杯。

よい感じに酔っぱらった。

一人なので、このくらいでよかろう。

ご馳走様でした。

お勘定は3000円ちょい。

森下[山利喜]、やはりよい居酒屋、で、ある。




山利喜





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