断腸亭料理日記2015

讃岐うどんのつゆ

3月15日(日)第一食

突然ではあるが、讃岐うどんの“つゆ”である。

香川県というのはうどん県と名乗っているが
やはり、それだけのことはある。

讃岐うどんは、うまい。

日本一うまいのか、というと、
そこまではわからないのだが、かなりの水準であろう。
なんといっても県民の方々の力の入り方、愛し方、愛され方が、
尋常ではない。

本当は、うどんを例によって小麦粉からパン焼き器のコネ機能を使って、
打とうと思ったのではあるが、今日は、つゆにフォーカスしてみよう
ということで、麺の方は乾麺ですますことに決めた。

さて。

なぜつゆか。

今まで関西風のうどんつゆは、しょうゆは薄口なのだが、
出汁(だし)は鰹削り節を使っていた。

讃岐うどんのつゆというと、鰹ではなく、
煮干し、関西でいうところのいりこが、主であるのに
最近気が付いた。これは少し前に、BSで本広克行監督の
映画「UDON」を何度目かではあるが、観ていて気が付いたのである。

なぜそれまで鰹を使っていたのかよく覚えていないのだが、
自分では讃岐うどんは鰹だと思い込んでいたのである。

いりこ、煮干しで出汁を取る。

以前に煮干しでも大きなものを買ったのだが、
流しの下に置いておいたら、かびてしまった。

しょうがないので、見なかったこと(?!)にして
袋のまま、冷蔵庫へ突っ込んでおいた。
実はこの処理、というのが今日の隠されたテーマ。

煮干しの袋を出してみると、
冷蔵庫に入れている間に、カビは見えなくなっている。

まず、洗おうか。

ボール一杯分。
水を換えて2〜3回。

それから、レンジに2分ほどかける。

煮干しを煮る前に、から煎りするというやり方がある。
あれは、生ぐささをなくすという意図なのであろう。
私のレンジ加熱は、そうではなく、レンジにかけると、
煮干しが膨らみ、出汁が出やすくなる
ような気がしているのである。

さて、ここから。
問題は、頭と腹を取るのか、で、ある。

和食の基本では、煮干しの出汁の取り方は
頭と腹は取る。苦くなるから。

ただ、先の映画「UDON」では、香川のどこかの
うどんやなのであろうが、頭も付いたままであった。

これで、ああ、取らなくともいいのかと、思ったのである。

そこで、今日はそのまま水を張った鍋に入れ、
煮立ててみる。

煮立ったら弱火。

ふやけて、つゆに色が付いてくるまで。

10分〜15分くらいか。

讃岐のレシピでは、さらに昆布、鯖節、
追い鰹なども書かれているが、魚介系の
出汁には、植物系の昆布は補い合う関係になるので
昆布も入れてみよう。

昆布をこれも多めにという意図で、5cmほどのものを4枚
入れ、再沸騰直前に火をとめて置いておく。

30分ほど。

もうよいであろう。濾す。

おっと!。ビックリ。
濾そうとして動かすと、色がついているどころではない。
焦げ茶色。

出すぎ?!。

出汁だけで、味見。

うひゃっ。

出汁は濃く出ているのだが、苦味が、、、。
やはり、煮干しの頭と腹をそのままにしたためであろう。

が、ここまできたら、仕方がない。

そのまま味付け。

薄口しょうゆと、塩、のみ。

そして、混ぜるだけで、煮立てないという。

煮立てないというのは、しょうゆくささというのか、
香りを残すということであろう。

味見。

気のせいか、苦味が薄らいでいるような、、。

また、色も、薄口しょうゆの色に同化しているのか、
焦げ茶色だと思っていたのが、普通の関西風のうどんの
つゆの色になっている。意外に、いけるかも、、。

乾麺のうどんを一把茹でて、水洗い。
湯通しして温め、ここで味付けをしたつゆを
温めて、丼に入れ、うどんと生玉子、ねぎを刻んで
入れて、出来上がり。


苦味はむろん多少はあるのだが、気にはならないくらい。

やはり、煮干しは頭、腹を取るのが、でき得れば
望ましいのであろうが、取らなくとも致命的ではない。
こういう味として、うまい。

さて。

どうなのであろうか。
今まで使っていた鰹削り節と今日の煮干しと。

やはり、鰹の方が、澄んだきれいな味であろう。

讃岐のレシピでは鯖節なども使うという。

やはりそれぞれ味は違ってくる。
香川でも店毎に、家庭毎に違っているのかもしれない。






 

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