断腸亭料理日記2015

ラーメン・大宮・蕾 煮干分家

5月22日(金)昼

大宮で昼。

ゴールデンウイークからなんとなく続いているのだが
ラーメン、で、ある。

ちょいと探してみる。

最近は東京だけでなく首都圏各地にうまいラーメンの
店が広がっている。

横浜などは、むろん“家系”の発祥の地で、今始まったことではないし、
東京も多摩地区、埼玉は、大宮、千葉県の柏などなど。
やはり学生の多い街であろうか。
いずれにしても、もう、どこということはできなくなっている。

こういう流れは、ここ10年、15年くらいのこと、
なのであろうか。私などが若い頃からみると
まさに隔世の感がある。

大宮駅西口から近そうなところで[蕾 煮干分家]というところを
見つけた。

なかなか人気がありそう。

名前も、煮干し。

どうも昨今、どこも煮干し。
煮干し、煮干し。

煮干し豚骨、豚骨煮干し。

西口の丸井脇を抜けていったところ。

まだ真新しい。

表の列は二人。
中にも、2〜3人。

人気店ならば昼時でこのくらいの人数なら御の字であろう。

列に付く。

ん?。

お姐さんが出てきて、食券を買ってくださいとのこと。
買ってから、並ぶのね。

ここはメインがつけ麺。

「濃厚魚介つけ麺」というのもあるが、濃厚の煮干し系には
少し懲りているので、ノーマルな「本日の煮干しつけ麺」
780円也を買って、再び外の列に付く。

店の前はひなたで直射日光がもろにあたり、暑いこと
この上ない。もうそんな季節になっている。

中はカウンターだけのよう。

お客は学生らしいのもあるが、近所のサラリーマンのお昼
という人もいる。

なるほど。
東京などにいるとなかなかわからぬが、大宮などは
オフィスも最早少なくないのであろう。

しばし待って、中へ。

中では3人ほど。

トータルの待ち時間15分ほどであろうか、座れた。

つけ麺はすぐにくる。

麺の量はレギュラー。

太めであろう。

どこもそうであるが、麺はきれいに盛り付けるものである。

食べてみる。

つゆはやはり、かなりこってり系の豚骨煮干し。
多少の酸味があり、全体として濃厚。

肉は小さめに切った豚ばら肉の煮たもので、
柔らかく、うまい。

腹も減っているが、箸がとまらないほど、どんどんと食べられる。

瞬く間に食べ終わる。

こんなことなら、大盛りにでもすればよかった、
などと思うのは、年齢を考えて、やめねば。

スープ割りししてもらう。

ご馳走様でした。

丼を、カウンターの上にあげて、出る。

やはり人気の店。
みな、そこそこ以上の味であることは
間違いない。

ほんとうにレベルが上がったものである。

先日、東池袋[大勝軒]の創業者である山岸さんが
亡くなっている。

山岸氏がつけ麺(もりそば)をメニューにしたのは
1955〜6年であろうか。
そこから数えれば、60年。

当初は冷やし中華のタレがヒントで、酢を入れる
というのはここから始まっているのだろう。

今の[大勝軒]のつけ麺のつゆも、基本的には
同じ味なのであろうか。

山岸氏が亡くなったニュースを聞いて、近所の上野[大勝軒]へ
いって食べてみたが、今となってはあまりにもシンプル。

もう一つ。

最近大流行りの魚介、あるいは煮干し系のこと。

いろいろな出自はあるのであろうが、
ヒットさせたのは、やはり、中野の[青葉]なのであろう。

どうであろうか。
15年、20年前には、煮干しといえば[青葉]以外には
ほとんどなかったのではなかろうか。

これに年を追って、背脂チャッチャ(?)&濃厚豚骨が合体し、
さらにそこに煮干しを強調しているのが今の姿なのか。

確実に、実に確実に、新しいものが生まれ、それを踏まえて、
また新しい味が生まれている。

そしてそれは東京から面的にも広がってもいる。

こういう東京、首都圏のラーメン類の進化はおそらく、
食文化として世界でもまれにみるものであろう。
ここに立ち会えているというのは、やはり愉しいことであり
誇らしいことであると思う。

 


さいたま市大宮区桜木町2-159-2


  

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