断腸亭料理日記2017

大阪・ニューハマヤ北浜店

たまにはここも書かねば。

1月31日(火)昼

大阪出張。

昼は淀屋橋。

と、なると愉しみは[ニューハマヤ]。

なぜであろうか。
とても魅力的。
大ファンである。

初めて行ったのは、2011年であった。

淀屋橋付近で洋食の店がないかと探して見つけたわけである。

場所は北浜。

大阪は中心部を船場(せんば)という。
北は土佐堀川、東は東横堀川、南は長堀川(長堀通)西は西横堀川に
囲まれた範囲である。
(毎度のことだが、大阪も通りに「り」を送らない。)

その一番北。
土佐堀通というのが東西に土佐堀に沿ってあるが、
その一本南の通。
通の名前は内北浜通。

大阪の場合、南北の通を筋と呼ぶ。
ちょうどこの店は、通と筋の交差点にあって、筋はの名前は
三休橋筋。
(しかし、京都と違って大阪ではこういう通と筋で
場所を指す使い方はあまりしていないようであるが。)

北浜というと、大阪の商業の中心。
それこそ、江戸の頃は土佐堀沿いに大名家の蔵屋敷がびっしりと建っていた
わけである。
今も、一丁目に大証、大阪証券取引所がある。
淀屋橋の西側、四丁目は住友村。住友グループのビルが林立している。

また、このあたりを歩いて目立つのは日本生命。
やはりこれも村といってほいほどであろう。
いくつものビルがあるが、御堂筋沿いから東にワンブロックほどは
皆、日生のビル。
我国の生命保険というのは日本生命が先駆けであり、生まれは大阪。
昨年のNHKの朝ドラ「朝が来た」のモデルの加島屋→大同生命も
このあたり。(今の大同生命大阪本社はもう少し西の肥後橋。)
生命保険については、今でも大阪の存在感が大きいのかも
しれない。

ただし、銀行や證券会社については、東京の兜町あたりに
比べれば、規模感というのかにぎわっている感じは、やはり
小さい。(いや、もはや、東京でも兜町といっても、以前ほどの
にぎわいはないかもしれぬ。取引は電子であろうし、
兜町に本店のない証券会社も少なくないのではなかろうか。
(野村は日本橋一丁目、大和は丸の内(東京駅)))

もう一つ、おもしろいのは[ニューハマヤ]の一軒はさんで西隣。

適塾がある。
正確には、適塾跡であろうが、幕末、緒方洪庵の
私塾、適塾、である。

幕末ファンの方はむろんご存知であろう。
長州の大村益次郎をはじめ、福沢諭吉も塾生。
復元でもなく、寺社でもない幕末の木造の建物が
そのまま残っているのであるがこれはなかなかすごいことである。

大阪も第二次大戦で空襲に遭っているはずだが、
焼けなかったのであろう。

そしてさらにその隣には大阪市立の愛珠幼稚園という
やはり古そうな木造の大きな建物がある。
これは明治の建物で、今も幼稚園として使われている。

東京であれば、関東大震災と第二次大戦があってほぼ
江戸の建物はない。
かろうじて関東大震災後、昭和初期に建てられた建物が、二次大戦で
焼け残ったものが、日本橋人形町だったり、神田須田町あたりなどに
あったが、そんなものもここ数年の再開発でほぼ面影は
なくなっている。
(それだけ東京という街はどんどんと新陳代謝をしながら
変っていく街なのであろう。)

さて。
「ハマヤ」。

お昼少し前、11時半頃到着。
一人なので、一階のカウンター。

既にお客は二人ほどいるが、まだのんびりした感じ。
12時をすぎると、戦場のようになる。

カウンターの一番奥のスツールに掛ける。

掛けると、若主人が、なにしましょ、と声をかける。

いまだにメニューの正確な頼み方がわかっていないのだが、
いつもの、ハム付きダブル、を、頼む。

ご飯の入ったおひつが置かれる。

目の前は厨房の鉄板で、若主人が肉を焼いて玉子を焼いて、
出す。

これがハム付きダブル、なるもの。

肉なのか、玉子なのか、どれがダブルなのか
よくわかっていない。

ダブルの上に、ダブダブというのがあって、
これが玉子もダブルで、ただダブルといえば、
肉だけがダブルか。

味噌汁は、赤出汁。

ご飯は自分でよそう。

ハム付きだと、マヨネーズも添えてくれる。

アップ。

このなにがうまいのかといえば、肉の味付け、
なのである。

基本しょうゆ味なのだが、なにが入っているのかわからぬ。
ただとにかく、濃い。

濃くて、幸せになる味。

大阪だと薄味なのかと思えば、まるでそんなことはなく、
こういうものもあって、やっぱり好きな人も、いるのである。
サラリーマンのガッツリ系昼飯。

歴史があるのであろう、年配から若い人まで。
いや、見るからに引退したと見られる年配の人が、
久しぶり、といって食べにきている姿をみることもある。

飯茶碗も小さいが、お替りもして、満腹。

うまかった、うまかった。

ご馳走様です。

 

ニューハマヤ北浜店
大阪市中央区北浜3-3-11


 





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