断腸亭料理日記2018

韓国 その1

4月19日(木)

さて。

急なのだが、木、金と一泊で韓国出張。
韓国は観光も含めて初めて、で、ある。

朝一の羽田、ANAで金浦まで。

まったくもって、韓国は近い。
2時間10分。
沖縄より近いわけである。

機内で、スターウォーズの新作を観たのだが
往復でやっと観終わるほど。

機内食などいらないくらいだが、やはり出てくる。

ANA、オリジナルチキンカレー。

腹もあまりすいていないかったのだが、
オリジナルと胸を張るには、もう一つであった。

機内食で日本人相手にカレーを出すというのは、
考えてみるとむずかしい。

カレーというのは、インドカレーは別にして、
我々が、家庭や社食などで食べるものは
ノーマルな味のものが一番うまいのではなかろうか。
なにか、少し工夫をして、ノーマルから飛び出すと
ほとんどの場合が失敗する。(まあ、カレーに限らず
ほとんどの料理がそういうものかもしれぬが。)

じゃあ、というので、ノーマルなものを出すと
ANAの機内食なのに、なんの工夫もないのか、
とそれはそれでまた、文句をいう人はいるのであろう。
そういう意味でチャレンジであったのではなかろうか。

金浦空港着は11時。

トランジットで、もう30年前になるが、
降りたことはあったのだが、印象は随分変わっている。

意外に小さい。
韓国にはもう一つ、仁川(インチョン)があるが
こちらの方が大きいのか。

入国。

韓国人の同僚と待ち合わせ。
空港を出て、タクシーで訪問先の仁川(インチョン)へ
移動。


金浦空港というのは、ソウル郊外だが
金浦空港から、仁川市までも小一時間。
皆、近いところにある。

沿道、桜の木が目につく。
聞いてみると韓国も桜の木が多いようで、時期的には散ったところのよう。

仁川市というのは、ソウル南西、海沿いの街で
ビジネス用のニュータウンといってよさそうである。
仁川空港は仁川市西の海上を埋め立てて
作られているよう。

仁川の街は道も広く、マンションや
オフィス用のビルが林立している。
ただし、大きな公園などもあり、緑も多い。
計画的に造られた街なのであろう。

マンションもオフィスビルも皆、高層。
韓国は地震が少ないので高く造っていると
聞かされた。
確かに、韓国は地震の話はあまり聞かないような気がする。

昼飯は仁川のチゲ鍋がうまいという店に
連れてきてもらった。

場所は仁川のセントラルパークという公園の前。
店の名前は漢字で書くと[月水金]というよう。


昼時、人気の店のようで、少し店の前で空きを待つほどであったが
回転も速く、数分で入れた。

靴をぬぐ板の間の店。
皆、コンロのあるテーブル。

テーブル数は6〜7もあろうか。
皆、食べているのはチゲ鍋。

座るとすぐに置かれる。

もちろん、人数分を頼んではいる。

そして、韓国料理ではお馴染みのおかずが並ぶ。

手前から昆布の和え物のようなもの、韓国海苔、
もやしのナムル、一番奥の平べったいものは練り物。

この練り物、韓国おでんに入っているものである。
ご存知かもしれぬが、街角に数多くある屋台には
おでんも多い。おでんは、日本語と同じオデンまたは
オムクというよう。

日本でいうさつま揚げやボールのようなものに加えて
このような平べったいシート状になっているものも
かなり一般的なよう。

オデンといっているからには、日本人が持ち込んだものか。

韓国には占領時代あるいは、その後も含めて日本から渡ったものが
意外に多いのは興味深い。

キンパブはご存知であろう。酢飯ではないが海苔巻き(特に太巻き)。

そうである、海苔も日本からのものであろう。
板海苔というのは、江戸期に江戸湾で養殖が始まっているが、
江戸発祥。韓国海苔も日本から渡ったものといってよろしかろう。
海苔を食べるのは、世界中で日本人と韓国人だけ、というのを
韓国人の同僚に言ってみたら、ちょっと変な顔をしていた。
ピンとこなかったのか、不愉快だったのか。

食い物ではないが、花札。「オールイン」という韓流ドラマに出てきたが
日本と同じものが遊ばれている。

インスタントラーメンなどは日本発祥であるが、もはやアジアを
中心に世界中にあって、もちろん韓国にもあるし、辛ラーメンは
私も好きだが日本にも多く入ってきている。また、おでんも最近は
タイなどにもコンビニ文化とともに輸出、定着し始めていると聞く。

しかし、海苔巻きや海苔、花札は日本と韓国にしかない。
それも日本のものとしてあるのではなく、ローカライズされ
きちんと定着している。
このてのもの挙げ始めたらキリがなかろう。

占領という不幸な歴史があって、海苔や海苔巻き、花札その他が
朝鮮半島に持ち込まれ、残ったという背景は否定できなかろうが
違いも多いが、共通点も多い。やはり最も近い隣の国である。



つづく







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