断腸亭料理日記2018

平昌オリンピック・

二人の金メダリスト

さて。

やっぱり、一回くらいは触れておいてもよいだろう。
今回の平昌オリンピック。

メダルラッシュに沸いたが、ご多聞に漏れず、
私も家のTVにくぎ付けであった。

期待通りに取った人。
期待以上に取った人やチーム。

期待に応えられなかった人。

様々であったのであろうが、それでも
全体として、我が国冬季五輪とすれば、史上最多の
メダル数になった。

様々な希望と感動を与えてくれた、我が国はもちろん、
世界のオリンピアンに感謝したい。

メダリスト全員にコメントをする紙数はないが
なん人か心に残った人を書いてみたい。

女子スキージャンプの高梨沙羅選手。
なんだかこの人、卓球の福原愛ちゃんに重なってしまう。

小さい頃から可愛くて、注目され、実績も残した。
ワールドカップでは断トツのNo.1であったが、ソチ五輪では
メダルに届かぬ4位。
今回は、銅。

二本目が終わって、伊藤有希が「おめでとー」と
抱きつくと、思わず涙する。
がんばって、がんばって、耐えて耐えている姿が
オジサンとしてはとても健気で、文句なく応援したくなる。
福原愛ちゃんのように、他国人に取られないでほしい、
などと思ってしまう。

そしてノルディック複合の渡部暁斗選手。

この人は、男を上げた。
白馬の大会で転倒をして、ろっ骨を折っていた状態で
五輪に臨んでいたことが終了後コーチによって明らかにされた。

どのくらい痛い状態であのクロスカントリーを
走っていたのか、素人には知る術(すべ)すらないが、
よくがんばった。そして、まったくそれを口にせず、
なかなかのイケメンで涼しい顔をしていた。
イケメンであるが、なにか野武士というのか、戦国武将というのか
矢玉を受けながら、果敢に敵に立ち向かう雄々しさ。
素晴らしいではないか。

さて、後二人。

一人はやっぱり、60年ぶりという連続金メダルを
獲得した、男子フィギュアの羽生結弦選手。
もう一人は女子スピードスケートの小平奈緒選手。

もちろん、スピードスケート女子高木姉妹をはじめとした
パシュート金の見事にシンクロしたチーム一人ひとりの滑りも
誇らしかったし、カーリング女子の銅もほほえましく喝采を
送りたい。

しかし。しかし、で、ある。
羽生と小平の二人は、ちょっと他の選手とは
異なった印象を持ったのは私だけではない
のではなかろうか。

まず、羽生選手。けがのブランクからほぼぶっつけ本番で

ショートプログラムに登場し、いきなり、
トップスコアで演技終了後リンク中央で「ただいま」
とつぶやく。

まさに、千両役者。

そして、フリー合わせて金。

なにか神々しさ。

流行りの言葉でいうと、まさにネ申ではなかろうか
と思わされた。
おそらく天性の才能もずば抜けているのであろうが、
努力も並大抵ではないのであろう。

なにか、この人をみていると、日本の昔からの
芸能者、歌舞伎役者、舞踊、歌、三味線等々の大大名人の
面影を感じてしまう。
明治、江戸の頃の名人の努力、鍛錬、稽古に対する
気構えなどは、まさに神がかったものであったと聞く。
そして、凡人には達することが不可能な、
まさに芸の上で神の域に達する。
現代でいえば、坂東玉三郎あたり。
こういう伝統が我が国にはあった。
なにか、そんなものをこの人には感じるのである。

そして、もう一人。

小平菜緒選手。

自ら会見で「求道者」と語っていた。

この人は、女性であるが、なにか修行僧のような
イチロー選手に感じるようなものと同じようなものを感じる。
やっぱり「求道者」。

昔の剣豪剣客、宮本武蔵、佐々木小次郎のような。
道に開眼した達人。

この人達も、ある意味常人から飛び抜けた
世界にたどり着いた人々。

武者修行のために単身、オランダに乗り込み、
一回りも二回りも大きくなって、帰ってきて、
はた目には涼しい顔をして、金メダル。
そして、ライバルのイ・サンファ選手を気遣う姿。
まさしく、負けた相手に対する剣豪剣客の姿ではないか。

技術、人格、精神ともに卓越してかつ、自然体。

求道者というくらであるから、

イチロー選手同様、小平選手も、まだまだ道半ば、
より道の高見を目指して、研鑽を積んでいくのであろう。

そんなことで、この羽生結弦選手と小平菜緒選手には、
とても日本的なものを感じたのであった。

素晴らしい。








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