断腸亭料理日記2017

浅草・洋食・ぱいち

2月13日(火)夜

栃木から例によってスペーシアで浅草に帰ってきた。

道々、なにを食べようか考えてきた。

洋食。

久しぶりに[ぱいち]に行こうか。

浅草で洋食というと、私は[ヨシカミ]が
多いのだが、次はというとここかもしれな。

浅草は洋食やが多い。
観音様界隈以外で言問い通りを渡った
観音裏にもなん軒かある。

東武浅草駅から観音裏まで歩くのは少し面倒となると
観音様界隈。ちょっと気分を換えて今日は[ぱいち]に
決めた。

[ぱいち]の創業は戦前の昭和11年。

元々は洋食やではなく、
呑みやで“一杯”をひっくり返した
パイイチが店名の由来らしい。

ペーイチ、と発音した方が江戸弁でそれっぽい
かもしれぬ。

確か、落語「あくび指南」でこのフレーズが
出てきたと思う。

「堀からあがって、ペーイチやって、

夜はナカへでも行って、、、」

なんという件(くだり)。
“ペーイチ”。よく使われていたのであろう。

そんなわけで[ぱいち]。

場所が毎度書いているが、ここ私には
なぜかわかりずらい。

オレンジ通りとすし屋通りの間。
食通街。
食通街というのは、雷門通りの一本北の通り。

オレンジ通りは仲見世とすし屋通りのちょうど
真ん中あたりの南北の通りなのだが、この
オレンジ通りの仲見世側であったか、すし屋通り側
であったか、がいつもわからなくなる。

この両側、街並みがかなり似ているのである。
ともあれ。

6時半頃到着。

一人、といって、カウンターに。

ウイークデーはやはり馴染の方が
多そうである。

カウンターにニ、三人。
テーブルに既に盛り上がっている
3〜4人組。
どちらも、顔馴染のよう。

瓶ビールをもらって、なににしよう。

ここの看板はビーフシチュー。
むろんなん度も食べたことがある。
下町らしいというのか、さっぱり系の
デミグラスソース。

今日は、ハンバーグにしてみようか。
うん、そうだ。
ポテサラを別にもらおう。

竹篭入りの柿の種とスーパードライ。

そして、ポテサラ。

ポテサラはごくノーマル。

手前にマヨネーズが添えられているのだが、
これが、なぜだかちょいと甘い。

腹も減っているので、ポテサラをばくばく。

ハンバーグもきた。

ナツメグの香りがよい。

ん!。

ポテサラがここにも付いていた。
まあ、よいか。

ハンバーグを切る。

やはり、ごくノーマルではなかろうか。

ノーマルで、うまい。

そう、ここ、ノーマル、なのである。

特段、とがったところがあるわけではない。
従って、びっくりもしない。

浅草の洋食やでは名の知られた老舗なので、
さぞ、と思って訪れる向きには、拍子抜けであろう。
こういう味の店なのである。

馴染んだ味で、馴染のお客が訪れる。
安心できる味。
肩の張らない、居酒屋のような民芸風の店内。
これが落ち着ける。

ネットの口コミ盛んな昨今、
技にしても、味にしても変わった、
とがったものを出すのが話題になり、よい店と、
考えがち。

しかし、もちろんそんなことは
ないのである。

ここはノーマルが個性。

うまかった。

ご馳走様でした。





台東区浅草1-15-1
電話 03-3844-1363





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