断腸亭料理日記2017

上野・洋食・ぽん多本家

2月2日(金)夜

金曜日。

なにを食べよう。

ちょっと久しぶりだが[ぽん多本家]へ行こう。

寒いので洋食だとかフライものにあまり思考がいかない。

6時すぎにオフィスを出て山手線で御徒町まで。
ちょっとまだ早いので、床屋に寄る。
広小路のQB。
土日以外にも時間があけば、床屋へ行くことがある。
やはりQBは便利。
すいているのですぐにやってもらって[ぽん多本家]へ。

松坂屋の南館が再開発され、PARCO_yaとTOHOシネマズ、
上層階はオフィスビルになっている。
御徒町駅側のパンダ広場あたりまれ含めて多少垢ぬけて
きているのか。

[ぽん多本家]の通りはもう一本先。

左に曲がって左側。

重い扉を開けて入る。

お!。
珍しく、一階のカウンターが一杯。

お二階へ、とのこと。

どうでもよいが、“お”二階、のこと。

お三階、お四階とはいわない。
“お”を付けるのは、二階だけ。
考えてみるとただ“二階”で“お”を付けなくとも
なんら問題はないではないか。
だが普通、客商売ではお二階という。
これはどういうことであろうか。

お三階、お四階は言いにくいから、というのもあるのであろうが、
“お二階”にはちょっと特別なニュアンスというのか、使われ方が
昔、あったようなのである。

お二階さん、などと、さんが付く場合もある。
以前の木造日本家屋であれば、三階建てというのはそうは多くなかった、
というのがまずはあったろう。
そして場面とすれば、料理や、というよりは、待合(まちあい)、
あたりがぴったりくる。
待合というのは、花柳界、いわゆる新橋だったり、柳橋、芳町(人形町)
この上野界隈(下谷)といった三業地の、料理を作る料理や(料亭)、
芸者さんが住んでいる置屋、そして、いわゆるお座敷である、お客と会う待合。
この待合の一階は住まいでお客が通る部屋は、普通、二階であった。
まあ、そんなちゃんとした三業地でなく、もぐりの、
浅草六区から千束などにたくさんあったが、銘酒や、楊弓場なんというところも、
一階が一応の店でお二階にお客とお姐さんが一緒にあがって、、という形。
それで“お二階さん”という場合はやっぱり色っぽいことになる
のである。(さんがつくのは、もちろんお客を指すから。
「オイ、お二階さんが呼んでるよ〜」なんて使ったわけである。)

「お二階」にはこんな歴史がある。
もちろん、使っている方も今はそんなことは忘れられていると思うが。

毎度お馴染み与太話は置いておいて。

お二階は、先客が二組ほどですいている。

ここ、値段も高いので、お二階はお上品そうなお食事会然とした男女3人。
それから成金系?銀座であろうか、着物姿の若い同伴お姐さん2人を連れた
ちょっとお下品そうなオジサン2人の4人組。

瓶ビールをもらって、、、、
他のものも考えてきたのだが、やっぱりカツレツに
しようか。
例のよって、ご飯と味噌汁はなし。

お通し。

いか下足のぬた。

味噌は白味噌のからし酢味噌。
また、ねぎ、わけぎではなく、浅葱(あさつき)のよう。
からしがよく効いている。
からし酢味噌のからしの塩梅というのは、ちょっと難しい。
自分で作ると、どうしてもおとなしくなってしまうのだが、
そこそこ強くともよいのだろう。

毎度書いているが、こういう和の酒の肴で、それも
もちろんシロウト仕事ではないものが、お通しで
出てくる洋食やというのは、他にあるまい。

きた。

カツレツ。

アップ。

写真では、なかなかわかりずらいが、切り口がほんのり
ピンク。

ここのカツ、最近は塩で食べることにしている。
色白に揚げられている。
キャベツにのみソースをかける。

この揚げ上がりの白っぽい衣の色で、中はピンク。
そして、この厚みというのは、低温でゆっくり揚げてある、
ということであろう。

ただ、普通、低温で長く揚げると油切れがわるくなる。
そこをすっきり仕上げるのが、技術。
ごくたまにだが、今一つの油切れ、ということが、
ここでもあるのだが、今日は上々。
堅くなりすぎず、豚肉がうまみにあふれている。

ソースでもうまいのだが、塩のみが、よりよくわかる、
と、いうもの。

じっくりかみしめながら、しかし、うまいので、
どんどんと食べる。

技と、うまさを、思いきり堪能。

うまかった、うまかった。

下へ降りて、お勘定。

いつも通り、おいしかったです。

ご馳走様でした。






台東区上野3-23-3
03-3831-2351





断腸亭料理日記トップ | 2004リスト1 | 2004リスト2 | 2004リスト3 | 2004リスト4 |2004 リスト5 |

2004 リスト6 |2004 リスト7 | 2004 リスト8 | 2004 リスト9 |2004 リスト10 |

2004 リスト11 | 2004 リスト12 |2005 リスト13 |2005 リスト14 | 2005 リスト15

2005 リスト16 | 2005 リスト17 |2005 リスト18 | 2005 リスト19 | 2005 リスト20 |

2005 リスト21 | 2006 1月 | 2006 2月| 2006 3月 | 2006 4月| 2006 5月| 2006 6月

2006 7月 | 2006 8月 | 2006 9月 | 2006 10月 | 2006 11月 | 2006 12月

2007 1月 | 2007 2月 | 2007 3月 | 2007 4月 | 2007 5月 | 2007 6月 | 2007 7月 |

2007 8月 | 2007 9月 | 2007 10月 | 2007 11月 | 2007 12月 | 2008 1月 | 2008 2月

2008 3月 | 2008 4月 | 2008 5月 | 2008 6月 | 2008 7月 | 2008 8月 | 2008 9月

2008 10月 | 2008 11月 | 2008 12月 | 2009 1月 | 2009 2月 | 2009 3月 | 2009 4月 |

2009 5月 | 2009 6月 | 2009 7月 | 2009 8月 | 2009 9月 | 2009 10月 | 2009 11月 | 2009 12月 |

2010 1月 | 2010 2月 | 2010 3月 | 2010 4月 | 2010 5月 | 2010 6月 | 2010 7月 |

2010 8月 | 2010 9月 | 2010 10月 | 2010 11月 | 2011 12月 | 2011 1月 | 2011 2月 |

2011 3月 | 2011 4月 | 2011 5月 | 2011 6月 | 2011 7月 | 2011 8月 | 2011 9月 |

2011 10月 | 2011 11月 | 2011 12月 | 2012 1月 | 2012 2月 | 2012 3月 | 2012 4月 |

2012 5月 | 2012 6月 | 2012 7月 | 2012 8月 | 2012 9月 | 2012 10月 | 2012 11月 |

2012 12月 | 2013 1月 | 2013 2月 | 2013 3月 | 2013 4月 | 2013 5月 | 2013 6月 |

2013 7月 | 2013 8月 | 2013 9月 | 2013 10月 | 2013 11月 | 2013 12月 | 2014 1月

2014 2月 | 2014 3月| 2014 4月| 2014 5月| 2014 6月| 2014 7月 | 2014 8月 | 2014 9月 |

2014 10月 | 2014 11月 | 2014 12月 | 2015 1月 |2015 2月 | 2015 3月 | 2015 4月 |

2015 5月 | 2015 6月 | 2015 7月 | 2015 8月 | 2015 9月 | 2015 10月 | 2015 11月 |

2015 12月 | 2016 1月 | 2016 2月 | 2016 3月 | 2016 4月 | 2016 5月 | 2016 6月 |

2016 7月 | 2016 8月 | 2016 9月 | 2016 10月 | 2016 11月 | 2016 12月 | 2017 1月 |

2017 2月 | 2017 3月 | 2017 4月 | 2017 5月 | 2017 6月 | 2017 7月 | 2017 8月 | 2017 9月 |

2017 10月 | 2017 11月 | 2017 12月 | 2018 1月 | 2018 2月 |



BACK | NEXT |

(C)DANCHOUTEI 2018