断腸亭料理日記2018

五反田・讃岐うどん・

路麺・おにやんま

5月29日(火)朝

火曜日、朝。
五反田のオフィスへの通勤途中。

ちょっと早めに出て、といっても10分ほどだが、
讃岐うどんの路麺[おにやんま]に寄ることにした。

ちょっと久しぶりである。

冷やしの季節。
8時ちょうど。

改札口を出て、西口。

左側に出て駅前の通りを渡る。

[おにやんま]は左手のJRのガードの脇なのだが、
ガードの通りはなかなか渡れない。

この通りは、かのソニー通りであり、川崎まで続いている
古街道であり、東海道の脇街道としても活躍した、
中原街道の起点といってもよいような場所。

少し先の信号のある横断歩道まで行って、渡る。
再び、ガード近くまで戻って[おにやんま]の前までくる。

この時刻であれば列はない。
ただ、店前の券売機にはこれから買わんとしている
30代のガタイのいいサラリーマンの兄ちゃん。

後ろについて、待つ。
待ちながら考える。

冷やしは、ぶっかけと、おろし、の二種に
大別される。

東京ものの私にはまったく理解できないのだが、
ぶっかけのおろし、というのは存在しない。

おろしというのは、しょうゆだけをかけて食べるもので
いわゆるつゆはまったく入っていない。

これはこの店だけのルールではなく、どうも、
讃岐うどん共通のルールのよう。
([丸亀]にもないようだが[はなまる]にはあるよう。)
つまり、香川県ではあたり前のことで、東京にこようとも
変える筋合いのものではない、ということ?。

なんでこんなことが起きているのか。

想像するに、うどんにしょうゆだけをかけて食べる、
という食べ方がまずは基本にあった。
そこに、おろしを入れるという食べ方が一般化、
おろしとしょうゆがセット化した。
(おろししょうゆという言い方もあるよう。)

ぶっかけ、というのは、もともとあった、ざるうどんの
つゆをぶっかけた、というもので順番としては、しょうゆだけ
をかけて食べるものとは生まれ方が違っているようなのである。

讃岐の方、当たっていようか。

こういう出自なので、ぶっかけとおろしは断じて一緒には
ならない。そういうことか。

なにか、おもしろい。

東京人の感覚では、しょうゆだけをかけるというのは
ちょっと、さびしい感じがするのである。
やはり、ざるのつけ汁をかけたい。
そこにおろしを入れればすむ話ではないか、と思うのである。

ちなみに、名古屋にもコロといって、ぶっかけに近いものが
ある。うどんころ、きしめんころ、などという。
ここにはごく一般的に、海老おろし、なんというものが
あって、この場合は、海老天とおろしが入る。

讃岐でもぶっかけに、おろしを入れてほしいのだが。
なかなか頑強そうではある。

ともあれ。

どうしても、しょうゆだけ、というのは
ボタンを押す気にはならず、ぶっかけのとり天(並)、
420円也。

中の様子を見る。
あいているスペースは少なそう。
それでも、立つスペースのありそうな
右側の扉を入る。

この朝の8時すぎは、ワンオペの時間帯。

天手古舞(てんてこまい)の坊主頭のお兄さん。

ちょっとこないうちに、少し様子が変わっているような。
わからぬが、調理場がきれいになっている?。

ややあって、きた。

ぶっかけのとり天。

ゴロゴロっと、熱々の揚げたてとり天。

うどんがまた、各別にうまい。

ぶっかけのつゆは、半透明だが、塩分濃度は高め。
いりこなのか、鰹なのか、ダシ感も強め。
ツルツルと胃袋に入れる。

食べ終わり、水を一気に飲んで、
ごちそうさまぁ〜、といいながら、扉を押して、出る。

やっぱり、この店はいい。

さて。

この店、知らぬ間に、増えていた。

中目黒、青物横丁、新橋、人形町。
元祖の五反田を加えて、計5店舗になるのか。

私自身は、五反田の店しか行ったことはない。

各店舗の評判をちょいと見てみたのだが、けっこう
凸凹あるようである。

あまりにも五反田の評判が高く、五反田を知らない人が
期待を膨らませて行ってみると、ちょっと違っていた、
なんということもあるのかもしれない。

この店、くせがあるといってもよいだろう。
つまり、馴染める人と馴染めない人がいる。
万人受けしない、のかもしれない。

うどんは、もちろん、うまい。だが、決してきれいではない。
(洒落ていないという意味で。)
自然体というのか。これがよくもわるくもくせにあたるかもしれぬ。

そして、五反田の店は、洒落ておらずごく狭いがお客も多く、
とにかく活気、ライブ感がある。五反田はこれがよい。
いずれにしても、味のある路麺・讃岐うどん店である。






おにやんま
品川区西五反田1-6-3




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