断腸亭料理日記2018

鱸(すずき)昆布〆

11月22日(木)朝

さて。

いきなりだが、初めて昆布〆をしてみた。

昨日、内儀(かみ)さんが買ってきた鱸(すずき)の刺身、
私は、大阪出張で新幹線の車内でビールやらつまみやら
仕込んでしまい、食べなかったのである。

そこそこ量があったので、もったいないので、
昆布ではさんでおいたら、と、内儀さんにいっておいた。

昆布は少し前に買った利尻のもの。
そこそこよいものであったと思う。

朝、冷蔵庫にあったので開けてみた。

通常は鯛や平目などの白身の切り身をそのまま
はさむのだと思うのだが、刺身に切られたものを
一枚ずつ、はさんである。

開けてみる。

昆布からちょっと粘りが出ていたりして、よい感じ。
見た目には色も少し黄みがかっているようにも見える。

基本昆布〆というのは、刺身から水分を抜き、
昆布の旨みを魚に移す、といわれる。

どうであろうか。
冷ご飯があったので、温めて、朝飯に食べてみることにした。

(いくらはたまたまあったので。)

わさびはなしで、しょうゆをちょいとつけて食べてみる。

ん!。

これはこれは。

かなりうまい。

昆布〆というのは、江戸前鮨やで、にぎりとして
食べているのと、北陸で、カジキ、ブリなどを食べたことが
ある程度ではある。
北陸は別にしても、江戸前鮨の白身の昆布〆は確かに
生とはまた違ったうまさがあることはある程度
意識はしていたが、格別大好物というレベルでは
なかった。

水分が抜けて、うまみが増しているのは想定内としてだが
もう一つ、大きなポイントに気が付いた。

他の白身とは違って、鱸というのは、内湾の魚で
ものにもよるが、それなりに独特のくさみがあるものが多い。

これが、で、ある。
昆布〆をしたものは、ほぼなくなっている。

それでかなりうまくなっていると思われる。

なるほど。
こういうことであったか。
まったく別物である。

これを肴に酒を呑んでも、もちろんよかったので
あろうが、白い飯に合うこと、夥(おびただ)しい。

こんなことであれば、もっと前からやってみるのであった。
昆布ではさむだけ。
まったく簡単である。

今回は利尻のよいものを使ったが、安いものだと
どんな風になるのか。

昆布〆というと、江戸前の技。
あるいは富山など北陸では、白身以外にも多用されている。
そのぐらいの認識ではあったが、昆布締めをちょっと調べてみた。

すると、ウィキには元は富山の郷土料理などと書いてある。
本当であろうか。

富山発祥だとすると江戸前鮨の技というのは、伝播してきたのか。
一説では、江戸前仕事でもそう古くない、などともいうので
あるいはそうかもしれぬ。
ではそれはいつ頃からのことなのか。
知りたくなる。
よし。それは宿題として、昆布〆、もっと多様しても
よさそうである。

またまた、調べてみると、我が国の昆布の消費量というのは
ご多聞に漏れず、年々減っているようである。(ついでだが
鰹節削り節なども減っているよう。海苔は微減で踏みとどまっているのに
である。これはコンビニおにぎりがささえているのか。)

出汁用の高価なものでなくとも機能を果たすのであれば、
一般の家庭でもどんどんやるべきではなかろうか。
はさむだけであるし。

ちょっと目から鱗。

余りものでなくとも、最初っからやってみてもよいかもしれぬ。
白身の昆布〆。

断腸亭、大推薦である。

私も、もちろん、またやってみよう。

 

 

 

 

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