断腸亭料理日記2018

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浅草・弁天山美家古寿司 その1

9月22日(土)夜

少し前から、行こうと思っていたのだけれど
先方が休みだったり、やっていても予約が
できなかったり、行けなかった。

金曜にTELをして、やっと今日の夜の19時半に
予約が取れた。

今、私にとって鮨やといえば、ここである。

弁天山[美家古鮨]。

遠くへ行くのも面倒である。

地元、浅草。

浅草もご存知の通り古い街である。
鮨やの数も多い。

だが、やっぱりここである。

今の私の基準は、
、 いや、少し前からの基準である。

それは、江戸前の技術をちゃんと継承している
ところ。

もちろん、東京の鮨や、鮨職人で、江戸前の技術を
知らない方というのは、おそらくいないのであろう。
東京で鮨職人の修行をすればまず基本として
習うはずである。

だが、時代に合わない、手間が掛かるその他の理由で
その技術を使っていない鮨やがほとんどであろう。

一方で、銀座などの高額な有名店。
星付きの店。
これもご存知のように、たくさんある。
魚も最高のものを手に入れて、江戸前の技術ももちろん、
新しい工夫やアイデアも加え、最高の、世界一の
江戸前握りずしを目指して切磋琢磨している。
うまくて当然ではある。
だがまあ、肩が張る。

ちょいと、というわけにはいかない。

と、いうことで、ここ。
浅草・弁天山[美家古鮨]。

慶応2年(1866年)開店。

若い頃、20代の頃、この店に一度だけ
きたことがある。
だが、とても緊張した。
当時から江戸前の技を律儀に守っていることを
看板にしていた。
頑固そうな親方。
そんな感じで、とても味わって鮨をつまめる
どころではなかった。

30代、40代と経ち、私なども成長した、
まあ、場慣れした、ということか。

東京の鮨やの値段は、1万円が様々な意味で
目安であろう。

超有名店へ行って、酒も呑んで、つまみも
好きなだけ食べれば2万、あるいはそれ以上、
はかかるのであろう。

だがまあ、そこそこ有名なところでも
控えめに食べて呑めば、1万円を少し超えるくらい、
1.5万までみておけば、まあ間に合うか。

[美家古鮨]あるいは日本橋の[吉野鮨]あたりが
その下あたりであろうか。
7〜8千円から、1万円。

この違いは、様々あろうが、大きなものは
鮪(まぐろ)ではないかと思っている。
築地にあがる、最高級の近海生の本鮪を
置いているかどうか。
もちろん、他の種も最高のものを使っている
のであろうが、最高の近海生の本鮪は、
にぎり一つあたりの価格とすれば最も高い。

これを仕入れるためにはそれなりの客単価が
必要になるということであろう。

私などは、そこまで鮪に思入れがない
ということである。
それよりは、小肌だったり、新いかであったり、
江戸前らしい種と技が味わえればよい、のである。

ゴタクが長くなってしまった。

19時半といっていたが、先方からTELがあって
早くあいたので、どうぞ、とのことで
18時頃、家を出て、タクシーに飛び乗る。
春日通りから、江戸通り、東武浅草駅から
馬道通り、伝法院通りのちょい先。
ワンメーターちょい。

暖簾を分けて入る。

名乗って、カウンターに掛ける。

出入口際、親方の前。
ちょっと、緊張である。

おまかせやコースではなく、このところは
好きなものを頼むことにしている。
コースの類は、基本いつきても同じでものなので。

キリンの瓶をもらう。

お通しはとり貝のひも、貝柱。
軽くぽん酢しょうゆで味が付いている。

品書きを見る。

つまみをちょいともらおう。
定番ではなく、手書きで書かれた、もどりがつおと
焼き鯖。

もどりがつお。

からしじょうゆで。

親方はしょうゆにからしを溶いて、という。

脂の多い秋のもどりがつおは、
からしじょうゆで食べるのは、池波先生も
書かれているが、東京下町式であろうか。

つづく

弁天山美家古寿司

台東区浅草2-1-16
03-3844-0034

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はてな版のURLが変わりました。

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です。新規の更新はこちらのみになります。
しばらく古いものもすべて両方に置いておきます。





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