断腸亭料理日記2019

南千住・うなぎ・尾花

2月26日(火)第二食

さて。

今日は、南千住の[尾花]へ行ってみることにした。

夕方は16時から。

自転車で出かける。

南千住まではどういったらよいのだろうか。
正しい道順で行ってみようか。

南千住は江戸期旧奥州街道の千住宿、小千住。
小塚原(こづかっぱら)などともいわれていた。
今もあるが回向院というお寺がある。
刑場があったわけである。
江戸の周縁、ということになろうか。

正しい道というのは、この旧日光・奥州街道で行こうか
ということである。

蔵前通り(江戸通り)を北上し東武の浅草駅の右側を通り、
言問通りの交差点を斜め左。
これが旧日光・奥州街道。

旧山谷堀の吉野橋。
このあたりから山谷。

ちょっとこの先に今日は寄ってみようかと思う
ところがあった。

喫茶店である。
カフェでもよいが、見た目は喫茶店。

この旧日光・奥州街道、今は吉野通りという名前。
吉野通り沿い、左側。
明治通りとの泪橋の交差点がもう見えるあたり。

[カフェ・バッハ]。

1968年開業。
自家焙煎のカフェ。

ご主人の田口衛氏は伝説の焙煎職人でもある。
著書多数。メディア登場も多い。
その割に、この場所だからであろうか、一般には
あまり知られていないかもしれぬ。

自転車をガードレールの脇にとめて、入る。
幸い、空席もある。

始めて入った。以前に一度きてみたことがあったが、
あいにく休みであった。

豆を売りにする珈琲店であるが、ケーキ類も充実している。
だが、この後うなぎなので、コーヒーのみ。
看板と思われるバッハブレンド、600円也。

私自身、酒にしてもコーヒーにしても嗜好品は
入り込まぬようにしてきた。
だがこれは、流石の一杯。
明らかに、家で淹れるものとも違うし、そんじょそこらの
コーヒーとは違っている。

飲みやすいのだが、深い。
バランスが取れているという、いい加減な
表現にしかならぬのが、かなしい。

小一時間、読書。

4時目指して、出る。

ここはいわゆる山谷の中心といってよいところであろう。
いわゆるドヤ街であった。
「あしたのジョー」の舞台。

今はきれいなもの。

泪橋の交差点から鉄道のアンダーパスを潜った左が回向院。

この線路の左土手脇を入って少し先、右側が尾花。
4時少し前、閉じられた門。一組、待っている人もいる。
ちょっと時間調整。
付近の入り組んだ路地を自転車でまわってみる。

16時、戻ってくる。
門の扉が、開いている。

自転車を土手沿いの電信柱の脇にとめて、門を入る。
玉砂利。

長い紺の暖簾を分けて入る。

いらっしゃいませ、とにこやかに微笑む下足番のお姐さんに一人、
といって、あがる。

札をもらう。

先ほどの一組だけ。
右手奥のテーブル。

去年からここはテーブル席になっている。

お酒お燗。
やっぱり、アツカンですか?と聞かれたが、
熱くしないで、と頼む。(アツカンはやめてくれ!)

それから、焼鳥、1200円也。
いつもは、好物、鯉の洗いなのだが、さすがに
この季節は寒い。うなぎやの焼鳥はうまい。

それから、うな重小さい方、5300円也。
別注文の肝吸い、400円也。

お酒。

一つ二つ呑みながら、読書。
ゆっくり待つ。
この時間も大事。

少しして、焼鳥。

うなぎやの焼鳥というのは、どこもそうだが、たっぷり、
びっしりと串に刺して焼いてある。
肝焼きなどはそんな刺し方をしてあるものだが、
その関係であろうか。

再び、ゆっくり流れる「尾花の時間」。

お姐さんの先触れがあって、お待ちかねの、うな重。
ふたを取る。

アップ。

山椒を振る。毎度書いているが、この瞬間が堪らない。
まったく、幸せである。

しょうゆが勝った、下町好みの辛めのたれ。
浅草はしょうゆが勝っているがもう少し、さっぱり
であろう。こちらはちょいと、濃い。

うまいうな重。

食べ終わるのがまったく惜しい。

惜しいが、食べ終わる。

立って、コートを着て、下足札を持って玄関へ。
玄関脇の帳場で勘定。

靴が気持ち左右の間を開けて、置かれている。

靴を履いて、出る。

うまかった。
ご馳走様でした。


カフェ・バッハ
台東区日本堤1-23-9
03-3875-2669

尾花
03-3801-4670
荒川区南千住5丁目33−1

 

 

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