断腸亭料理日記2020

稲荷町・中国意境菜・白燕 その2

引き続き稲荷町[白燕]。

リンゴアメから始まって、よだれ鶏などの
前菜三品、点心は水餃子、薬膳のスープ、
紹興酒に替えて、オプションの上海蟹あんかけ、
まで。

この順番、中華の本来のコースの順とは
微妙に違っているようである。

中華は、前菜、その後は、スープ、主菜、主食、
そして、点心は最後。

主菜は肉魚、主食はご飯類。

点心を先に出しているという点である。

もう一度、最初にテーブルに出されていた
メニューを出してみる。

点心である餃子はスープの前に出しているが
デザートの前に麺を出す。
麺も点心に入ると思うが、ここが本来の位置。

洋食のコースを考えてみると、前菜、スープ、
イタリア料理だとここにパスタ、主菜(魚)、
主菜(肉)、デザート。こんな感じであろう。

日本人の感覚だと、ご飯類、炭水化物は
後にしたい。
先に、パスタやパンで腹を一杯にすると調子が狂う。
そんな感覚を皆さんもお持ちではなかろうか。
お腹一杯でデザートが食べられなくなる。

逆に、中華本来のご飯(主食)の後の点心の順で、
麺、餃子、焼売、さらに甘い点心など複数の
点心を出されるとこれはこれで、ヘビー。

点心である水餃子を前菜とスープの間に持ってきて
ちょっと、イタリアンやフレンチに近づけている
ように見えるが、水餃子一つなので、
重くはない。

この順は[白燕]のシェフが考えられたのかどうか
わからないが、ちょうどよい感じである。
日本人に合うようによく考えられた順番。

さて、主菜、魚。

これなんであるか、お分かりになろうか。

甘鯛、関西でいうグチ、で、ある。

鱗をつつけたまま、揚げている。

うまい。

本来、中華ではよく魚を揚げる。
ただ、鱗はもちろん取る。

和食では、甘鯛は、鱗を取らずに焼く。
日本酒を塗ったりもする。
甘鯛の鱗はこんがり焼くとパリパリとして
うまいからである。

この手法を取り入れている、といえるのであろう。
まあ、中華のシェフでも日本人なら、甘鯛を
料理しようと思えば、当然こうなろう。

餡が掛かっているが、これが意外。

黄色というのも珍しいが、これ、
辛いのである。
ほんのりではなく、ちゃんと辛い。

こういう料理が中華にあるのか、わからない。
黄色はウコンであろうか。
辛みは唐辛子?、胡椒?。
赤くないので、胡椒かもしれぬ。

日本人の感覚だと白身の甘鯛に強い辛みは
考えにくいが、別段、これはこれで、あり。
おもしろい。

次は肉。

スペリブ、で、ある。
骨付き。

下にマッシュポテト。
ソースというのか、たれは甘辛だが、強くはない。
かなり柔らかく、骨以外はきれいに食べられる。

さあ、佳境。

ご飯類はなしで、麺。

具なし。鶏の白湯。

麺はちょっと太めのストレート。

これ、秀逸。

なにがといって、もちろん、スープ。

濃厚なのだが、雑味がまったくなく、
とても上品。

濃厚なラーメンのスープというのは、
うまいものである。
今の、東京の売れ筋のラーメン店の一つの
条件ではあろう。
ただ、石を投げれば当たるほど、ある。

どうすれば、こんなスープになるのか。
まったくわからぬが、うまい。

最後、デザート。

杏仁豆腐なのだが、細かく切ったリンゴが
のっている。

さわやか。

うまかった、うまかった。

そして、紹興酒でかなり酔っぱらった。

ご馳走様でした。

やっぱり、こんなご近所で
このレベルの料理が食べられるのは、
ありがたい。

 

白燕

台東区元浅草2−7−10 オルタンシアIV 2F

 

 

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