断腸亭料理日記2020

赤酢の酢飯で鉄火丼

3月1日(日)第二食

日曜日。

赤酢の酢飯で、、シリーズ。

にぎりの鮨も、ある程度、自分の好きな種は一巡した。

〆鯖、白魚、煮いか、ヅケまぐろ、いくら、鰺、鰯、鯛、煮穴子、
サーモン、、、、。
貝類がないが、なん度か書いているが、好物ではないから。
もちろん、食べられないことはないし、小柱、平貝あたりは
好きな部類ではあるが。

さらに赤酢の酢飯で、巻きずし・細巻、稲荷もやった。

赤酢というのは、酢飯として、透明な酢よりも確実にうまい。
これはずっと作ってきてわかったことであるし、
だからいろいろな種でやってみたくなったのではある。

ここで少し復習をしよう。
赤酢というのは、酒粕を原料にして作られた食用酢。
以前は、透明な酢よりも廃品利用で安いものであった。
そして、江戸時代後期、江戸でにぎりずしが生まれたわけだが、
この頃、この安い赤酢から酢飯を作っていた。
今でも、江戸前を看板にしている鮨やでは、この赤酢の
酢飯を使っているところは少なくない。

純粋な透明な酢よりも、おそらくアミノ酸などの旨味成分が
多いのであろう、酢飯としてうまく、また、特に、江戸前
仕事と呼ばれるような、煮たり、〆たりした種によく合う。
こんなところが、わかってきたことである。

ちなみに、今使っているのは、これ。

岐阜の内堀醸造というところの美濃三年酢というもの。
赤酢は今はレアな製品なのだが、それでも全国でいくつか
作られてはいる。
ここのものは、中でもかなり安い。
だが、比べてみても品質、味はなんら問題なく、使っている。

と、いうことで、いささかひねり出した感じ、
ではあるが、今日は、鉄火丼。

ご存知、酢飯の上にまぐろをのせた丼。
東京でいうところの“ちらしずし”をまぐろだけにしたもの。

やはり赤酢の酢飯に合うのではという仮説である。

私自身、鉄火丼は好物である。
いろいろな種をのせた、ちらしよりもよい。

最近は海鮮丼が大流行りである。
海鮮丼は、酢飯を使わないという違いがあるというが、
やはり、私は酢飯を使う、ちらしの方に一票を入れたい。

ともあれ、鉄火丼。
まぐろではあるが、赤身を使うのが、値段の問題もあって
一般的であろう。
だが、これは中トロにしたい。

これは、古今亭志ん生師、で、ある。
娘の美濃部美津子氏が書かれた「志ん生の食卓」
https://amzn.to/3adPxJG

にあったと記憶している。志ん生師は、好物の煮穴子と
中トロを半々のせた丼がお好みであったと。

これは実際にやってみているのだが、

片や甘辛、片やわさびじょうゆで、混ざると、いけない。
どちらも江戸っ子好みで意図はよくわかるが、
やはり別々に食べたい。

ともあれ、鉄火丼をするのなら、断然、中トロである。

吉池で、まぐろ中トロ、、だけでは値が張るので
中トロ数切れ入り2パック(各400円)と、
赤身切り落とし1パックを購入。嵩増し、で、ある。

もう一つ、細切り海苔。
海苔は、酢飯の上に敷く。

最近、和食やなどでは、ただちぎっただけのもみ海苔
ではなく、細く切った海苔の方が見栄えがよいからか、多く見る。
もみ海苔はある。必要であれば、切ればよいか。

OK。

いつものように、電気炊飯器、酢飯モードで炊く。

もみ海苔の準備。
缶入りのものだが、レンジで20秒ほど加熱しパリッとさせる。
細く切ろうと考えたが、大差ないであろう、
そのまま使うことにする。

切れたら、7〜8分蒸らし。

鮨酢もいつも通り、一合に40cc程度、透明な穀物酢と赤酢半々。

まわし掛け、

混ぜ込む。

ムラのあるところにはちょっと、インチキをして、
赤酢をたらして、混ぜる。
だが、それでも完全にムラなく混ぜ込むのは至難。

7〜8分、落ち着かせる。

OK。

丼に、酢飯を盛り、もみ海苔、まぐろを並べる。

出来上がり。

どうであろうか、なかなかよい色の中トロではないか。
まぐろは、アイルランド産としてあった。

しょうゆにわさびを溶き、かけ回す。
わさびは金印の生おろし、チューブのもの。

ビールを開けて、食べる。

むろん、うまい。
これがまずかろうはずがない。

やはり、赤酢は合う。

仕事をしていない生の魚、特に白身などは、赤酢よりも
透明な酢の方が合う、というのが、今までの私の知見であるが、
まぐろはこの限りではない。つまり、生でも赤酢に合う。
いや赤酢の方がうまい、といってよい。
なぜであろうか。

ともかくも、うまい中トロ鉄火丼が、赤酢の酢飯でもっとうまくなる。

 

 

断腸亭料理日記トップ | 2004リスト1 | 2004リスト2 | 2004リスト3 | 2004リスト4 |2004 リスト5|

2004 リスト6 |2004 リスト7 | 2004 リスト8 | 2004 リスト9 |2004 リスト10 |

2004 リスト11 | 2004 リスト12 |2005 リスト13 |2005 リスト14 | 2005 リスト15

2005 リスト16 | 2005 リスト17 |2005 リスト18 | 2005 リスト19 | 2005 リスト20 |

2005 リスト21 | 2006 1月 | 2006 2月| 2006 3月 | 2006 4月| 2006 5月| 2006 6月

2006 7月 | 2006 8月 | 2006 9月 | 2006 10月 | 2006 11月 | 2006 12月

2007 1月 | 2007 2月 | 2007 3月 | 2007 4月 | 2007 5月 | 2007 6月 | 2007 7月 |

2007 8月 | 2007 9月 | 2007 10月 | 2007 11月 | 2007 12月 | 2008 1月 | 2008 2月

2008 3月 | 2008 4月 | 2008 5月 | 2008 6月 | 2008 7月 | 2008 8月 | 2008 9月

2008 10月 | 2008 11月 | 2008 12月 | 2009 1月 | 2009 2月 | 2009 3月 | 2009 4月 |

2009 5月 | 2009 6月 | 2009 7月 | 2009 8月 | 2009 9月 | 2009 10月 | 2009 11月 | 2009 12月 |

2010 1月 | 2010 2月 | 2010 3月 | 2010 4月 | 2010 5月 | 2010 6月 | 2010 7月 |

2010 8月 | 2010 9月 | 2010 10月 | 2010 11月 | 2011 12月 | 2011 1月 | 2011 2月 |

2011 3月 | 2011 4月 | 2011 5月 | 2011 6月 | 2011 7月 | 2011 8月 | 2011 9月 |

2011 10月 | 2011 11月 | 2011 12月 | 2012 1月 | 2012 2月 | 2012 3月 | 2012 4月 |

2012 5月 | 2012 6月 | 2012 7月 | 2012 8月 | 2012 9月 | 2012 10月 | 2012 11月 |

2012 12月 | 2013 1月 | 2013 2月 | 2013 3月 | 2013 4月 | 2013 5月 | 2013 6月 |

2013 7月 | 2013 8月 | 2013 9月 | 2013 10月 | 2013 11月 | 2013 12月 | 2014 1月

2014 2月 | 2014 3月| 2014 4月| 2014 5月| 2014 6月| 2014 7月 | 2014 8月 | 2014 9月 |

2014 10月 | 2014 11月 | 2014 12月 | 2015 1月 |2015 2月 | 2015 3月 | 2015 4月 |

2015 5月 | 2015 6月 | 2015 7月 | 2015 8月 | 2015 9月 | 2015 10月 | 2015 11月 |

2015 12月 | 2016 1月 | 2016 2月 | 2016 3月 | 2016 4月 | 2016 5月 | 2016 6月 |

2016 7月 | 2016 8月 | 2016 9月 | 2016 10月 | 2016 11月 | 2016 12月 | 2017 1月 |

2017 2月 | 2017 3月 | 2017 4月 | 2017 5月 | 2017 6月 | 2017 7月 | 2017 8月 | 2017 9月 |

2017 10月 | 2017 11月 | 2017 12月 | 2018 1月|2018 2月| 2018 3月|2018 4月 |

2018 5月 | 2018 6月| 2018 7月| 2018 8月| 2018 9月| 2018 10月| 2018 11月| 2018 12月|

2019 1月| 2019 2月| 2019 3月 | 2019 4月| 2019 5月 | 2019 6月 | 2019 7月| 2019 8月

2019 9月 | 2019 10月 | 2019 11月 | 2019 12月 | 2020 1月 | 2020 2月 | 2020 3月

BACK | NEXT

(C)DANCHOUTEI 2020