断腸亭料理日記2020

赤酢の酢飯で稲荷ずし

5月22日(金)第一食

今日は、稲荷ずしを作る。

なぜかというと、油揚げがあったから。
ここ数日寒く、昨日、煮込みのうどんを作ったのだが、
この時に入れた油揚げがたくさん余ったのである。

毎度お馴染み、赤酢の酢飯ということになるが、
昨年10月、赤酢を使い始めた初期の頃、赤酢で一度作っていた。

赤酢の酢飯もこの頃よりもうまくなっているか。

昨日の煮込みうどんには、甘辛く煮た椎茸も作った。

この煮汁をベースに油揚げを煮ればよいか。

レンコンの酢漬け、酢蓮は必要であろう。
それから白胡麻が切れている。
買いに出る。

と、レンコンは、二軒まわったが、ない。
秋冬の収穫で、端境期、か。
一軒に、水煮があったので、これで代用。

帰宅、作る。

油揚げ。

4枚。8つ分の稲荷ができる。

半分に切って、

油抜き。

湯がく。

野菜の脱水機で、水を切る。

椎茸の鍋の下に入れる。

水分が足らないので酒を入れる。
椎茸は甘くしていたので、しょうゆも少し加え、調整。

上下を入れ替えながら、味を含ませる。

煮えた。

レンコンの水煮を酢に漬ける。

レンジで2分加熱して、そのまま含ませておく。

これ、いつも赤酢のように見えると思うが、実は、バルサミコ酢
を穀物酢で割っている。

バルサミコは味も香りも赤酢にそっくりなのである。
そのままなめてもほぼ違いがわからないくらい。

おそらく、こんな使い方をしても問題なかろう。
バルサミコだけだとやはり赤酢同様濃いと思うのだが、
酢飯も穀物酢で割ればいけると思われる。
今度試してみようかしら。どれほど違うのか。

しばらく置いた、油揚げ。

すっかりつゆを吸っている。

ご飯を炊いて、いつも通り、一合分を赤酢の酢飯にする。
これはバルサミコではなく、赤酢。
今日も、動画はなし。

昨年の写真と見比べてみると、多少はムラが少なく
なっているように見えるが、まあ、大差ないか。

酢飯に白胡麻を振っておく。

椎茸は石づきも含めて、細かく切って一緒に入れよう。

煮汁をたっぷり含んだ油揚げは手でよく絞る。

ベチョベチョではいけない。味も濃すぎる。

絞った油揚げ一枚に、酢蓮、椎茸を先に入れる。

にぎり同様、手を湿らせ、一つ分を取り、油揚げに詰め込む。
折り返すので、油揚げの半分程度の量。

折って、一つ出来上がり。

どんどん詰める。

皿にのせる。
出来た。

味付けとベチャベチャに気を付ければ、
コツなどもほとんどなく、誰でもできよう。

だが、稲荷ずし、お稲荷さん。
うまいもんである。

稲荷もやっぱり、透明な普通の酢の酢飯よりも、
赤酢の方がうまい。

バルサミコを入れた酢蓮もほぼわからない。
うまい。

稲荷ずしはどこで生まれたのか。
諸説あって、わからない。
江戸・東京?。落語「ねずみ穴」にも場面描写として
出てくる。夜「オイナァ〜〜リ、サン」と言って、売りにきたり、
にぎり鮨同様、屋台で売っていたという。ちなみに「ねずみ穴」は
上方由来の噺のようだが、稲荷ずし売りは深川江戸資料館の展示でも
あったように記憶しており、江戸後期に江戸で一般的であったのは
確からしい。

一方、名古屋、ともいう。

江戸にしても名古屋にしても、生まれたのは、文化文政の江戸での
にぎり鮨誕生以降であろう。すると天保あたり。「守貞謾稿」
にも記述がある。
にぎり鮨の安上がりの代用品、という見方でよいのだろう。
形も同じ細長である。

東では、甘辛の油揚げを入れるきつねうどんは
今でも馴染みは薄く、私なども、赤いきつねが出るまで
食べたことはなかったと思う。甘辛の油揚げそのものも、
東に比べて西の方が身近なのものであったのではなかろうか。

また大坂・大阪は押し寿司・箱寿司文化であり、にぎり鮨は
江戸末では、まだ少なかろう。

と、いうことで、名古屋発祥の方が、多少確度が
高いかもしれぬ。

ともあれ、お稲荷さん、安く簡単で、うまい。
偉大な食い物である。

 

 

 

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