断腸亭料理日記2020

赤酢の酢飯で春子にぎり その1

5月17日(日)第二食

今日は、よい天気。

いや、暑い。

午後、自転車で出たついでに、吉池に魚を見に寄る。

日曜日、ではあるが、心なしか人が多いような
気もする。

実は、今日は小柱を探しにきた。

小柱というのは、青柳=バカガイの貝柱。
鮨でも天ぷらでも江戸前のねた。

伝統のものといってよいだろうし、木更津あたりであろうか
今の東京湾でも獲れる。
だが、今、東京の鮨やでも天ぷらやでもそこそこ以上の
ところではこの江戸前の小柱は使われない。
出るのは比べ物にならないほど大きな北海道のもの。
やっぱり、大きい方がうまいのは間違いない。

鮨やかき揚げもよいが、そのままもみ海苔をかけて、
わさびじょうゆでつまむ。
柱わさび、という名前で、今はなき池之端の[藪蕎麦]にあった。
これが食べたかったのである。

が、きてみると、ない。

嫌な予感はしていたのである。
貝の売り場にあったのは、韓国産の赤貝ぐらい。
貝というのは、この初夏は産卵期。
浅利でも蛤でもあってもこの季節はあまりよいものではない。
バカガイが実際どうなのかはわからないが。
だが、やっぱり。

さて、困った。なんにしようか。
いわしが安くてうまそうだが、この前食べた。
いい加減、ねた切れである。

お!、小鯛。
安い。

いわゆる、春子(かすご)。
〆て、にぎりの鮨になる。
江戸前ねたで、鯛は白身だが、春子は光物になる。

が、今まで春子は、避けてきた。

魚をおろすような料理を始めた頃、まだ20代の頃
であったと思う。
安かったので大量に箱でちっちゃな小鯛を買ったのだが、
とてもちゃんとさばける技術もなく、使い物に
ならなかった。

小鯛に限らず、小肌、きす、めごち、、などなど
ちっちゃな魚は皆無ではないが、ほぼ避けてきた。
もっぱら鰺、いわし、鯖。
細かな作業であるし、とても面倒。

避けてはきたが、ねたもないし、挑戦してみるか。

これと、いつものめかぶを買って帰宅。

これが、小鯛。

むろん、江戸前ではない。鹿児島産。
鯛は、日本全国で獲れるのであろう。

三匹で200円。まあ、安い。
パックには書いていないが、〆れば食べられるであろう。

まずは、鱗落とし。
鯛はこんな小さくても鱗があり落とさないといけない。

動画。

まあ、これは難しくはない。
技術はいらないだろう。
ただ、鱗が飛ぶので、シンクで水を流しながら。

ここから、三枚おろし。
これも動画。

ちょっと段取りを間違ったような気もするが、
最終的に、三枚になっていれば、よいか。

小鯛といっても、鰺程度の大きさはある。
恐れるほど、難しくはなかったかもしれぬ。
20年の間に、さすがに私もある程度、上手くは
なっていたのかもしれぬ。

もちろん、完璧に美しく切れたかといえばそうではない。
どこかというと、おろした時の身の縁の部分。
ここが魚の形に添ってきれいに切れていないのである。

ただ、大名おろしといって、骨にたくさん身を付けたまま
おろしてしまう、というようなことはなかった。
まあ、今日のところはよしとしよう。

塩をする。

これはいつも通り、2時間。

さて。
あらが出たので、これは潮汁にしなくては。

鯛というのは、潮汁にして最もうまい魚ではなかろうか。
やはり、魚の王者である。

鯛の頭部分に、はらわたが残っている。
これはよく取った方がよいのだろう。
薬缶で湯を沸かし、湯引き、というのか、熱湯をかける。
きれいに水で洗って、スタンバイ。

これは、水から。
鍋に水を張り、洗ったあらを入れる。
煮立ったら、すぐに弱火にし、出てくるあくを
丁寧に取る。

塩を入れ、味見。
OK。
置いておく。

さて、塩をした鯛、2時間後。

かなり水が出ている。
もうよいであろう。

酢洗いをし、いつもの酢〆同様、水と半割の酢に漬ける。

これも2時間。

 

 

 

つづく

 

 

 

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