断腸亭料理日記2021

米なすの田楽

3896号

7月15日(木)第二食

今日は、米なすの田楽。

今、八百屋やスーパーの野菜売り場では
米なすを見かける。

なすなど、一年中あるが、こうした
特別なものは、なす本来の旬だけに出回るもの
なのかもしれない。

なす、ちょっと不思議な野菜ではなかろうか。

まず、種類がかなりある。
丸いもの、長いもの、小さいもの、大きいもの、
あるいは、堅いもの、柔らかいもの。
泉州水なす、なんという水分を大量に
含んだものもある。

前に、新潟県は20種類以上のなすを栽培している

というのを聞いた。

全国、いや、世界ではもっともっとあるのだろう。

なすの原産地はどこであろうか。

調べると、農水省のHPによれば、

インド東部、とのこと。
インドなので、カレーに入れてもよいのだが、
日本人はあまり入れない。

インドから西へヨーロッパ、あるいは東へ中国、そして
日本には奈良時代には入ってきているとのこと。

米なすの、米は、アメリカ、というのは
ご存知であろうか。

ヨーロッパからアメリカに渡ったなすが改良され
できたものだそうな。
米なすは日本へは戦後入ってきて、さらに改良され、
今は高知県でよく作られているよう。
今日のものもそのよう。
ちなみに、なす全部でも高知県がNO.1のよう。

米なすの特徴は肉が堅いこと。
日本のなすの多くが火を通すとぐにゃぐにゃに
なる。
焼きなすの味噌汁だったり、この柔らかさを
たのしむもの、であろう。

堅い米なすは日本では珍しい部類のように思う。

しっかりした食感はなにによいか。
焼いて肉味噌を塗って食べる、田楽。

これが好きで、この季節、米なすを見つけると
買ってしまう。

肉味噌は、ふろふき大根でも使う
鶏ひき肉であろう。
肉味噌は和食でも古いものであろう。
それで、江戸期にも食べられていた
鶏肉、ということなのか。

買ってきたのは、鰯の鮨の日で、ちょっと
後になってしまった。

作る。

フライパンに鶏ひき肉と西京味噌と
八丁味噌、半々。

この肉味噌のレシピは江戸料理[八百善]のもの。
ほんとうは、例の江戸甘味噌なのであろう。
八丁味噌と西京味噌半々で江戸甘味噌になる。

酒を少し入れ、味噌を溶きながら
挽肉に火を通す。

米なす。

ヘタ部分を切り、さらに横に半分。

食べやすいように、皮に沿って輪郭部分と
中に格子状に包丁の刃を入れる。

これを、ガス台のココットで焼けばよいか。
以前であれば、フライパンで焼いていた。

並べて、

7〜8分か。

しっかりしているので、予想よりも
火が通るのに時間がかかる。

ちょっと、レンジも掛け、火を通す。
新ガス台のココット機能は、高温になる代わりに、
中まで火が通るのは時間が掛かるということか。

ともあれ。
肉味噌を上にのせて、出来上がり。

ビールを開けて、食べる。

これは、スプーンである。
くり抜いて、食べる。

皮は、堅いので、まあ、残してもよい、
かもしれぬ。

なすの主な栄養成分はポリフェノールで
これは皮。
もったいないので、皮も食べてしまう。

やはりなす、不思議な野菜である。
なかなか正体がつかみにくい。
味があるような、ないような。

が、堅くても、柔らかくても、やっぱり
それぞれに合った調理法で、うまい。

漬物もある。
浅漬け、ぬか漬け、辛子漬け。
どれも、うまい。

これだけの種類が長く作られているというのも
やはりそれだけ愛されてきた、ということの
証しであることは、間違いなかろう。

おもしろい。

 

 

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