断腸亭料理日記2021

NHK大河「青天を衝け」のこと

3937号

今日は、食い物から離れる。
皆様は、表題、NHK大河の「青天を衝け」をご覧になって
いるだろうか。

まあ、私は今回に限らずNHK大河は欠かさず視てはいる
のであるが。

だが、いつになく今回のものは不満、なのである。
かなり物足りない。

日本の現代まで続く名だたる名門企業を生み、
日本近代経済をゼロから立ち上げた、志のある経済人、
そんなイメージであろうか。
とても期待して視ていたのである。

まだ、明治に入ったばかりなので、これから、
なのかもしれぬが、しかし、半分近くはもう
すぎているのではなかろうか。

視聴率は初回20.0%、直近9/12で12.7%。
飛び抜けてはいないようだが、わるくもないよう。

大河の主人公として、経済人は初めてなのでは
なかろうか。

渋沢栄一は、お札になるので名前は知られており、
多くの企業を作った、あるいは残した言葉も
多く紹介されている。
金儲けはしなければいけないが、社会のために
使われなくてはいけない、という趣旨のことを
言っていたように思う。

大河では、これから、大蔵省へ入り、その後
民間に下り、各企業を創業していくので、これから
なのかもしれぬが。

幕末近い頃、深谷の農家兼、藍の生産販売の家に生まれ、
攘夷の志を持ち、高崎城乗っ取りまで考えるが、挫折。
その後一転、一橋慶喜の家来になり、幕臣、訪欧。
その間に、大政奉還、明治新政府成立、帰朝し、
駿府に押し込められた旧幕臣の静岡藩の勘定方へ。
今のところここまで。

こんな経歴があったのは、ほぼ知らなかった。
そういう意味では、ドラマとしては、おもしろい
とは思う。

ではなにが不満かというと、渋沢栄一の人となり
というのがちっとも描かれていないように思うのである。

人となり、というのは、文字通りどんな人だったか。

今までのところ、20代だが、もう人となり、
というのは、できているはずである。

この人、いや、この人に限らず、幕末から明治に掛けて
名や実績、功績を残した人は押しなべて、飛び抜けて
傑出して有能の人であったと考えている。

不幸にして明治を迎えられなかった坂本龍馬も然り。
勝海舟、大久保利通、伊藤博文。
西郷隆盛などは、カリスマ性が際立っていたというが、
これも才能の一つ。

混乱期には、身分、門閥に関わらず、有能の人が
台頭し、実績を残した。
戦国と幕末は日本でも珍しいこうした時代である。

まず、私はこうしたことを前提に考えている。

武州百姓あがりの20代の若者が、一橋家の勘定方で
働き、実績を残し、幕府訪欧団に加えられる。

これ、そうとうなことである。

どうしたって、この人、若くしてそうとう
切れたはずである。頭がよかった。
一を聞けば、十、いや、二十を理解するような。

訪欧していたのは、1年ちょっと。
この間に、おそろしい勢いで欧州の近代経済を
吸収しているのである。言葉の問題もあったはず。
それも、幕府使節の随行員として仕事をこなしながら
である。大学に留学していたわけでもない。
もちろん、本人の努力もあったはず。

幕末から明治初年にかけて、訪欧、訪米している人は、
なん人もいる。だが、その人々すべてがその後功績を
あげているかといえば、もちろんそんなことはない。
やはり、その中でも傑出した人だけなのである。

また、これは家業の藍の生産、製造、販売をしていた
10代の頃から発揮され、銭勘定、商売の駆け引きなども
一瞬で学び、時代や社会をとらえるセンスも優れ
ていたのであろう。
そして、混乱の時代、人を説得する力、人的魅力も
おそらくそうとうに秀でていたはずである。
どこにでもいる田舎の志のある若者のはずがない。
稀有な人のはず。

そうでなければ、いくら人材が求められる時代であって、
こんなトントン拍子といえる出世はありえなかろう。

だが、ご覧になっている方はお分かりであろうが、
ドラマの渋沢篤太夫は賢そうには描かれていない。
そういう演出にしていない、ということなのであろう。

企画、脚本から始まり、人物、キャラクター設定が、
間違っていまいか。実像とずれていまいか。
まあ、あえて、であろうが、ちと違いすぎるのでは?。

ともかくも、同時代の第三者からの評伝などあるであろう。
最近の大河は、原作を明示していない。
史料をあたってみようか。
渋沢栄一はいくつか、小説も書かれているものがある。
読んでみようかしら。

渋沢栄一って、ほんとはどんな人だったの?。
これが知りたいのである。

若者を勇気づけたいのか。そうかもしれぬ。
だが、この仕上がりでは国民をミスリード
してしまわないか。
NHK大河は日本人の歴史認識に多大な
影響力を持っている。

NHK大河「青天を衝け」、不満である。

 

 

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