断腸亭料理日記2022

海外ドラマ「ザ・クラウン」と
きゅうりのサンドイッチ

4072号

4月16日(土)第一食

海外ドラマ「ザ・クラウン」というのをご存知であろうか。

今、視ているのだが、かなりおもしろい。

英国エリザベス女王と王室、さらに英国戦後史と
いってもよい内容を、王室の私生活、スキャンダルも
含めて、描いている。女王主人公の群像劇。

ソニーピクチャー制作でネットフリックスのオリジナル。
製作陣は米英。2016年から放映で、世界でもかなりの
話題になっていたようなのだが、私は知らなかった。

ドラマは戦後エリザベス女王の即位(1952年)前後から
今は4シーズンまで計40本の長大作品になっている。
最新はサッチャー首相の辞任までだが、6シーズンまでの
製作が発表されているようで、まだまだ続く。

製作費がネットフリックス最高額でこれまでで10億ドル。
本物かと見まごうばかり、バッキンガム宮殿などを
再現しているが、これも作品に厚みを与えているのであろう。

歴代首相が全員出てくる。ウインストン・チャーチルに
始まり、マーガレット・サッチャーまで。
時の英国の主要政治問題をフォローしている。

私がリアルタイムで知っているのは1970年代あたりからだが
それ以前の、英国戦後史というのは意外に知らない。
1952年〜英仏の権益であったスエズ運河をエジプトが国有化し
武力紛争にエスカレートしたスエズ動乱。あるいは、
英連邦、旧植民地のガーナなどが離れていく過程などなど。

また、これが最もおもしろいのかもしれぬが、王室の
スキャンダル。エリザベス女王の妹、マーガレット王女。
ほぼ知らなかったのだが、カメラマンとの結婚、二子を
もうけた後の離婚、その後、数々の男性との関係、、
かなりの破天荒を演じていたのを描いている。

あるいは、エリザベス女王の父ジョージ6世の前王で
兄のエドワード8世・ウインザー公。この人はある程度
知っていたが、女性のために王冠を捨てた男。
離婚歴のある者との結婚を認めなかった英国王室だが、
その経歴を持つアメリカ人女性との結婚を選び、退位した。
この人は、戦後も存命で、戦中ナチスと密接な関係が
あったことが戦後発覚、大スキャンダルになっていたよう。
これは知らなかった。

また、エリザベス女王の夫であるフィリップ・
エジンバラ公。この人も丹念に描かれており興味深い。
女王即位前、英国海軍の軍人であったフィリップと
恋に落ち二人は結婚したのはよく知られている。
この人は、元ギリシャ王国の王子でギリシャクーデター後、
フランス、ドイツなど点々とし、少年時代は亡命生活、
まあ、かなりの苦労をされた人であった。
また、後年、疎遠であったエジンバラ公の実母アリス王女。
晩年ギリシャでシスターとして慈善活動をされていたが、
バッキンガム宮殿に引き取られ登場する。この人が
なかなか心を動かされる。

サッチャー時代に描かれる、フォークランド紛争。
空母インビンシブルが英国の港を大歓声をもって
出港する姿は印象的。往年の世界最強を誇った
英国海軍の姿を国民に思い描かせたのであろう。
そして、やっぱりこの時代、チャールズ皇太子と
ダイアナ妃が私などの世代には大きなインパクトを
もって記憶に残っている。ダイアナ妃の結末を
知っているだけに重い話で、なかなか視るのに努力が
必要である。妃の華やかなスポットライトの当たる
表舞台と裏腹に、20歳の若さで結婚しすぐに精神的に
追い込まれた壮絶な姿が克明に描かれている。
皇太子は結婚以前からのカミラ夫人との不倫関係は
完全に同時進行しており、一方のダイアナ妃も
複数の男性関係があったことも。

視ていておもしろいのは英語での呼び名、敬称である。
普通は日本語吹き替えで視ているのだが、気になると
英語を聞いてみたりしている。
女王、王には Your Majesty。Majestyは君主だけ。
皇太子、王女は Your Highness。呼びかける時には、
いちいちこれを付けなければいけない。
侯爵、公爵など爵位のある貴族には Lord。
例えば、チャーチル。下の者からチャーチルは、
Sir。チャーチルは貴族の家の生まれだが、爵位は
なかったのである。女王から首相はチャーチルに
限らず名前ではなく Prime Ministerとフルの
役職名のみで呼ぶ。親しくなり公式会話でない時、
稀にファーストネームでも呼ぶことも描かれている。

また「女王陛下“万歳”〜」である。これはhurray
フレー、で、ある。皆で「hurray!hurray!」と叫ぶ。
運動会の応援になっているあれ。へ〜〜。

今、エリザベス女王は95歳。チャールズ皇太子も既に73歳。
皇太子とカミラ氏との結婚は今は正式に認められ、
今年、皇太子即位後のカミラ氏の肩書は王妃と発表されたよう。
王としての名前はなんになるのであろうか。
チャールズではなくなにか別の名になるのだと思うが。

さて。
スキャンダルなどどうしても日本の皇室と引き比べて
視てしまうのもあるがこれは触れるのはやめよう。
ただ、時代との接点としたら、昭和天皇であろう。
いや接点どころのさわぎではない。時代そのもの。
即位以前、少年時代でもよいし、大正天皇の摂政時代
あたりからの私生活も含め生涯すべてをリアルに
ドラマ化すれば、日本の戦前、戦後史以上、きっと
すごいことになろう。日記類など史資料もたくさん
公開され、もうそろそろよさそうであるが。まあ、
戦後は当然現上皇、上皇后にも触れねばならず、
まだ存命で難しいか。

と、いうことでイギリスといえば、サンドイッチ!。

特に、英国らしいといえばきゅうりだろう。
作ろう。今はあまり見なくなったが、私は、きらい
ではない。
そもそもサンドイッチは英国生まれという。だがなぜ、
きゅうりなのか。よくわからぬが。

ちょっとひねった作り方を見つけたのでやってみた。

まず、スライスしたきゅうりを白ワインビネガーに
漬ける。

これ、30分。

パンは薄い方がイギリスっぽいかと、8枚切り。
バターを塗ったパンに水気を取って、

はさんで、耳を切る。
マスタードもなにもなし。

これだけでは、やっぱりさびしいのでロースハムも
買ってきてはさんだ。

出来上がり。

やっぱり紅茶。最近リーフティーをスーパーで見なくなった。
売れないのであろう。皆、ティーバッグ。ネットで
手に入れている。味が違うと思うのだが。

白ワインビネガー漬けのキューカンバー、なかなかよろしい。
マヨネーズもあり、かと思うが、やっぱり、
きゅうりには酸味を加えた方がうまい。

 

 

 

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