断腸亭料理日記2022

鱈ちり

寒中お見舞い申し上げます。

4016号

1月19日(火)夜

寒い。
寒い、寒い。
まあ、寒中である。寒いのはあたり前、
なのであるが、やっぱり寒いものは、寒い。

温かいもの。やっぱり鍋。

鱈の鍋、鱈ちりなんかどうだろうか。

着込んで、買いに出る。

毎度お馴染み、御徒町の吉池。

切り身、と、思ってきた。
アメリカ産の甘塩の切り身、などもあるが、
小さなものだが、丸のまま一匹。
350円。真鱈、石巻産。
スケトウダラも並んでいるが、やっぱり真鱈、
で、あろう。
これが高いのか、安いのかわからぬが。
絶対値としては、安いだろう。

買ってみようか。

鱈ちり。水炊きでよいだろう。

入れるのは、豆腐。
ねぎはあるし、小松菜でも入れようか。
白菜を買ってしまうと、1/4でも使い切れない。
それから、えのきでも入れようか。

帰宅。

これ。

出してみると、こんな感じ。

真鱈を一匹買ったのは初めて。
従って、さばくのも、初めて。
北の魚なので、どうしても馴染は少ない。

ぬめりがあるので、よく洗う。

頭を落とす。

ん?、針。
左上。
釣り針が出てきた。
網ではなく、釣りのものということなのであろう。
品質としては、上なのか。

鰺や鯖、鯛などなど、知っている魚とは違って、
鱈というのは身体が柔らかい。
深海魚?、ではないか。

腹を出して、二枚から、中骨もはずし、三枚。

頭は出汁にもなるであろう、半分に開き、エラも取り、
きれいに洗っておく。

鍋に、骨と頭。

昆布。
そうだ、えのきを買ったが、冷凍庫にカットのエリンギが
凍っているので、これも入れてみようか。

煮立てて、あくをすくう。

きのこを凍らせると細胞が壊れて、うまくなる
と聞くので、やってみている。
余ったもの、買ったはいいが使わなかったものなど
なんでも冷凍庫に突っ込んでいた。

エリンギの香りなのか、よい匂いがしてくる。

お膳にカセットコンロを用意。

土鍋を用意し、つゆを鍋から移し、生の鱈の身、ねぎ、
豆腐、小松菜を入れ、エリンギも移す。

鱈というのは、すぐに火が通る。

小松菜も、えのきも。

ぽん酢しょうゆで。

ビールを開けて、食べる。

真鱈、というのはうまいものである。

フィレオフィッシュであったり、
慣れ親しんだ味ではあるが、
やはり、生のものは違っていよう。
皮もうまい。コラーゲン質であろう。
プリプリ。

そして、つゆ。
これが格別。
鱈の頭の出汁もあろうが、エリンギが効いている。
香りと、うまみ、で、ある。

だが、エリンギだけ食べると、ちと妙な味。
これは、食べない方がよいかもしれぬ。
出汁専用か。
エリンギというきのこ、そういえば、なんであろうか。
最近見るようになったが。
調べると、やはり原産はヨーロッパのよう。

生のエリンギにはほぼ香りはないのだが、
凍らせると、うまみと香りが出てくる。
日本でも干した椎茸を出汁にするが、きのこ類には
まだまだ、一般には知られていない使い道が
ありそうである。おもしろい。

もう一つ、今日の鱈“ちり”のこと。
鱈ちり、鯛ちり、ふぐちり、など、水炊きのことである。
この水炊き、ちり鍋。どんな来歴があるのか。

ちょっと調べると、紀文のページにこんなものが
あった。出典、論拠などは明示されていないが、
鍋として東京で流行したのは、やはり江戸末期
とのこと。

中国・四国地方ではそれ以前から一般的にあったもの
とも。

江戸、東京の鍋は、先日の鳥すき焼きのように、
基本濃い甘辛で、煮込みというよりは焼くもの。
あるいは、ねぎま鍋=ねぎとまぐろの鍋、のように、
しょうゆ味の煮込み、あたりであったように思う。
どうも、またまた藪の中、のような気もするが、
どんなものなのか。○○ちり、水炊きなど、湯豆腐に
白身の魚を入れてもできそうであるし、簡単なもの
なので、なんらかの理由で西日本から伝わり、
江戸末の江戸で流行ってもまあ不思議ではないだろう。
であれば、どんな風に流行っていたのか。
先日のおでんに加え、これも私の課題にしよう。

 

 

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