断腸亭料理日記2022

浅草・今半別館 その2

4096号

引き続き[今半別館]。

今日は、すき焼きではなく、しゃぶしゃぶ。
ここでは、初めて、である。

昨日は前菜まで。

鍋がきた。

銅なのであろう。
ピカピカ。

たれ、薬味もきた。

形通り、ぽん酢しょうゆと胡麻だれ。

そして、真打、肉の登場。

安い方の7,500円のコース。
高くても同じだが、産地を限定しない和牛で、
こちらは肩ロース。

和牛といっているが、黒毛和牛でよいのか。

黒毛和牛の肩ロースを自分自身で買ってきて焼いたことも
あるが、ものによっては、霜降りも少なく、堅いのだが、
これは十分な霜降り、であろう。

野菜もきた。

鍋には昆布が一かけら。

野菜は長ねぎ、えのき、白菜、にんじん、
水菜、そして、ごぼうの笹がき、豆腐。

ごぼうの笹がきというのは、珍しいのではなかろうか。

すき焼き同様、最初はお姐さんが野菜から鍋に
入れてくれる。

ぽん酢しょうゆにねぎともみじおろしを入れて
スタンバイ。

そして、肉を一切れしゃぶしゃぶ。
取ってくれる。

むろん、堅いことはない。
すき焼きもよいが、黒毛和牛はやはり脂が強すぎる、
と感じる年になっている。
このくらいで、しゃぶしゃぶは、ちょうどよい。

とまらない。

自分で、しゃぶしゃぶ。

バクバクと食う。

胡麻だれもよいが、やはり私は、ぽん酢しょうゆの方が
さっぱりしてよい。

酒にかえる。冷(ひや)。銘柄は櫻正宗とのこと。
これも浅草にはおおいかもしれぬ。

しゃぶしゃぶ、というのはいつからあるのか。
ちょいと調べてみた。
wiki

によれば、二説を紹介している。
一つは、中国北方の羊肉の火鍋。
もう一つは西日本の肉の水炊き。

中国の火鍋は、今は中国全土、そして日本でも一般化している。
真ん中に円筒がある鍋で、私もまだ流行る前に北京で
食べたことがあるし、新宿の[随園別館」でも食べた。
特徴は羊肉でつゆに様々な味を付けてあることか。
これが引揚者によって戦後伝わったとの説。

西日本の水炊き説。昆布を入れた湯で魚、野菜、肉を
軽く湯がいて食べるという鍋は、以前から西日本には
一般にあった。北陸などでは、鰤のしゃぶしゃぶがあるが、
あれも昔からあるものかもしれぬ。
これを戦後、牛肉にし、大阪スエヒロで「しゃぶしゃぶ」
と、命名し、昭和30年(1955年)商標登録したという。

やはりネーミングの威力であろう。
料理メニューとして定着、広まった。

すき焼きよりもさっぱりと食べられ、目先も変わる。
牛肉の食べ方の選択肢が増えたわけである。
また、すき焼き同様皆で囲む鍋なので、ハレの食にも
なっている。

東京育ちの私などは、子供の頃はただでさえ牛肉を
食べる機会が少なかったのだが、しゃぶしゃぶを
初めて食べたのは、中学生頃か、随分、大きくなってから、
昭和50年代であったのでは、なかろうか。

しゃぶしゃぶを食べ終わる。
肉の量も、私にはこのくらいで十分。

そして、ご飯。

なぜか、きしめんも付く。
やはり西日本の習慣であろう。
湯を通して、胡麻だれで。

デザート。

ゼリーでよいのか。
入っているのは赤えんどう豆。
あんみつの豆であったか。
抹茶がかかっている。
そして、皮ごと食べられる、ぶどう。

うまかかった。

ご馳走様でした。

部屋で、会計。

階段を降りて、玄関。
我々の靴がきれいに揃えて出されている。

玄関を出る。
お姐さんが外まで、見送りにきてくれる。

あの手の込んだ、数寄屋造りの部屋で、
うまいものが食えるのは、浅草で希少である。

 


今半別館

03-3841-2690
台東区浅草2-2-5

 

 

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