断腸亭料理日記

「がんこラーメン」青戸

5月15日(土)

昨夜、名古屋より帰京。

夕方、是非とも、食べたくなり、本当に久しぶりに、妻と共に青戸へ。

名古屋へ転勤以来、行く機会がなかった。
残念ながら、今の東京のラーメンシーンに、さほど詳しくはないが、
数年前には、近所ということもあり、妻と共に何度か足を運んだ。

この通称「がんこラーメン」は知る人ぞ知る、店。

看板もなく、電話もない。扉や外壁は黒く塗られている。
豚の大きな骨に、裸電球をあてたものが、看板代わりである。

そもそも、高田馬場で「初代」が始め、文字通り一子相伝の
弟子が店を開いていった、という。

筆者が東京ローカルであった1年半前には、早稲田の「元祖」がやっている店へ
通ったものである。(今でもやっているのであろうか。)

店には初代よりの、ラーメン哲学が掲げられている。
スープは熱く、濃く(塩辛く)、麺は固く、、であったか。

6時開店。しばし、くだんの意匠の戸口前で待つ。
折りからの雨のためか、他に人はいない。一番乗り。

待つうち、あっという間に後ろには列ができる。

6時を15分ほど過ぎ、やっと店主(6代目という)が
看板代わりの骨を軒下に飾り、開店である。

初代もそうだが、この店主も、常に、にこやかな笑みをたたえている。
いかにも、ラーメンを愛する笑み、といった趣である。
 
メニューはラーメンのみ。(\700)
味は、好みで、こってり、ちょいこて、あっさりが選べる。

こってりを頼む。

数分、「おまちどうさま」。

しょうゆベースの塩分の高いスープに、背脂が浮き、大きなチャーシューが2枚、
ねぎ、メンマ、のり。

とんこつがベースであろうが、煮干しなど、魚系の風味もある。
麺はかんすいの多い、黄色の強い固め。

この味は確かに、好き嫌いは分かれる。
なにしろ、塩気がきつい。
体調にもよるが、水をがぶがぶ飲みながら、食べることもある。

しかし、うまい

「がんこ」のもう一つのうまさは、先のばら肉のチャーシューである。
とろとろに柔らかく、食べ進むうちに、スープに溶けてくるのである。
これがまた、うまい

本当にうまいラーメンは無言で食べる。
このため、この店は本当に静かである。

スープまで、すっかり、飲み干す。

変わらない、うまさであった。

早稲田の「初代」の店はどうして、いようか。
 
 

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