断腸亭料理日記2004

ラーメン・湯島・天神下・大喜

7月21日(水)夜
毎度、書き飽きて、読み飽きて、おられるかと思うが
酷暑が続く、東京。

暑いときには、暑いもの、そして、辛いもの。

ラーメンにしよう。

まだ、ここには書いていなかった、湯島天神下・大喜。

開店してどのくらいになるのであろうか?
さほどに、長くはないと思われる。
長くても4〜5年であろう。

一時、東京のラーメン屋がTVや雑誌で取り上げられると
そのランキングには必ず、上位に入っていたと思う。
整理券を出して長い行列をさばく、そんな状態であったと思う。
近所ではあるが、行くようになったのは、そんな行列も落着いた
昨年あたりからであった。

前にも書いているが、筆者、魚介系だしのラーメンは
いまひとつ、なのである。完全に好みの世界である。
とくに、しょうゆの場合、どうしても、生臭さが、
ラーメンの麺に合わないと、思っている。

しかし、この店の楽しませてくれるところは
行くたびに微妙にメニューが変わり、それぞれに、よく考えられており
毎回、期待感を持って食べられるのである。

魚介系のだしは店主が和食の板前出身であるから、という。
また、ほとんどのメニューに小松菜が入っているのも
そのせいであろうか。

しょうゆは魚介系のだし(もちろん、それだけではなかろうが、、。)に、
油も浮き、小松菜がのり、ゆずの風味もしたかと記憶している。

前回は、味噌を食べたのであるが、やはり、
魚介系のだしが立ち、辛味があった。これを食べようと思っていったのだが
今日は、なくなっており、代わりに、たんたんめん。
(夜限定、15食であったか、、。)
これをを頼む。また、小ライス(チャーシュー佃煮付き)も。

ここにしては、珍しく、ノーマルな感じがするたんたんめんである。
表面には、細かいラー油の幕。
練りごまは、ごまの粒はまったくない、なめらかなもの。
味付け卵、しらがねぎ、チャーシュー、お得意の小松菜。

味としては、辛味は強すぎない。また、さすがに、
たんたんめんには合わないのか、お得意の魚介系だしも立っていない。
たんたんめん特有の挽肉(豚?)も入っている。
よくまとまっており、満足して食べられた。

とにかく、よく考えている。
今日のたんたんめんもそうであるが、味のつくりが、かなりデリケート
なのである。

しかし、考えすぎ。

店主の考えた跡をたどるような、喫食になってしまうのである。
それはそれで、毎回、違ったものを見せてもらえて、
楽しい、という側面もある。

しかし、本来、ラーメンとは、そういうものではないと思う。

今日のものは、結果として、何かを感じさせず、ただ、
おいしい、と思って食べ終われた。こういう結果になるのが、
最もよい形なのではないだろうか?

私の自論であるが、なんでもそうであると思うが
かつ丼ならかつ丼の歴史がある。
今の味になって定着するには、何年もかかって
何人もの料理人が工夫を重ねてきたものと思われる。
そして、そこには、味の相性やら、大衆に支持される
必然性があったはずである。

先人たちが何年も試行錯誤して作って、
定着したいわゆる定番メニューは、
一人の料理人の数年の試行錯誤で変えられるほど
やわなものではないはずである。

試みとしては面白いし、楽しみではある。

しかし、それは、完成された「うまさ」とは別のものである。
珍しさと、うまさ、とは別なのである。

ラーメン評論家(?)諸氏は、ほんとはわかっておられる方もあろうが、
若い(?)一般大衆に「これがうまい」と言ってしまうと
「うまい」ものになってしまい、ありがたがってしまう。

筆者など自分でうまくないと思えば、二度と行かないだけだが、
こうした、ラーメンジャーナリズム、あまりよいこととも、思えない。

今時、話題にもならないが、
元祖恵比寿は、浅草千束で、相変わらず、うまいしょうゆラーメンを
作っている。

一応、地図は載せます。列がなければ行ってみてもよいかと、、。

この号で2004を書き始めて、100回になりました。
(数え間違いをしていなければ、、。)
ご愛読ありがとうございます。今後ともよろしくお願い申し上げます。

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