断腸亭料理日記2005

おでん・お多幸・銀座八丁目店

9月28日(火)夜

涼しくなってきた。
と、いうよりは、夕方は肌寒くなってきたと、いった方がよかろう。

寒い空気を感じ、今日はどうしても、おでん、が食いたくなった。
おでんといえば、筆者にとっては、お多幸、以外にない。
先シーズンは、池之端の多古久浅草・大多福

などにも行ったが、やはり、お多幸、である。

11月日本橋

1月銀座

3月新宿

数えてみれば、5回もおでん屋に行っている。
そのうち3回は、お多幸、である。
やはり、秋冬は、おでん屋、それも、あの味でなければ、いけない。
昨日のそばつゆの話でなないが、薄味は、筆者にとっては、おでんではない。
別の食べ物である。
あの濃さがなければ、物足りないのである。

新橋駅から歩く。
先シーズンは、道を間違えてしまったが、
入り口が三井アーバンの通り(並木通り)と、憶えて、無事、到達。

8時前、クラブの多いこの界隈、ご出勤なのか、お送りなのか、
お姐さん方々。花売りのお母さん。
それから、最近は、ちょっと別の業態もあるようで、
お兄さんとともに、ドレスを着たお姐さんも、チラシ配りをしている。
銀座も上野御徒町とかわらなくなってきているのか、、。
人は多いが、お客よりも、店の人の数の方が勝っているかも知れない。

真冬のこの時間に来ると、待たなくてはならないが、
さすがにまだ9月である。カウンターもあいている。
真っ直ぐに座る。

お酒をお燗でもらって、
いつもの、つみれ、すじ、ちくわぶ。
ちなみに「すじは練り物の方ですか?」
の質問は、もう、気にしないことにした。
(先シーズンは、聞き返されない回数がかろうじて
上回っていた。)

見よ、このちくわぶの色を。

と、いうよりも、ちくわぶ、というものは、
どのくらいの地域にあるのであろうか。
関西の方は、食べたことはおろか、見たこともあるまい。
「ふ」、と、いうが、いわゆる「麩」ではない。
小麦粉で、竹輪、のような形のものを作った、もの、である。
早い話が、形はちくわであるが、うどん、の塊である。
家庭でも、食べるものである。
厚みがあるため、長時間、柔らかく煮て、
味を染み込ませないと、味がしない。
ここから、東京では、病人食などといわれてもいたのである。
(確か、落語・時そば、にも出てきたと思う。
2回目の、まずい方のそば屋は、竹輪の代わりに、
ちくわぶを使っている。)

そんなわけで、お多幸のつゆで煮込まれ、
こんな色になるのである。
写真上部に二つに切った切り口が見えるが、
見た通り、ちくわぶの中心まで、味は染みていない。
それでも、この色、ということである。

そして、その右が、問題の練り物の、すじ。
これも、東京独特のおでん種。
今は、随分柔らかいように思うが、子供の頃は、
もっと、筋っぽい、こりこりした感じであったように思う。
その食感が、子供の頃から好きであった。

さて、2回目。

豆腐、玉子と、先のつみれ、とは別に、鯵つみれ、と、いうのが
あったので、これを、もらってみる。


右に見えるのが、ちろり。これにお酒を入れ、お湯の張った
なべなどのふちに引っ掛けて、お燗をつけるのである。
その上が、グラスのぐい呑み。

色でもわかるが、豆腐はもう少し煮込んでほしいような気もする。
鯵つみれは、自家製なのであろう。
しょうがと、ねぎの風味がして、さっぱりとし、
ちょっと柔らかく、なかなか、うまい。

これだけ食って、酒は二合。
30分程度である。
一人であれば、これで、サクッと出るのがよい。
いや、おでん屋は、一人でちょいと、引っ掛けるのが
一番合っているように思う。

さて、今シーズンは、何回おでん屋に、お多幸に行くのであろうか。


HP

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