断腸亭料理日記2005

板橋・中華・蜃気楼・後編

さて、板橋の、花椒好きで、強面(こわもて)だが、
笑うと目がなくなる、ご主人の、小さな中華料理店、蜃気楼。
昨日は、ワンタン、まで。

今日は、完結編。

さて、メインイベント、である。
招待してくれた、友人は、最後の二品だけは、
リクエストをしていたのである。

一つは、汁なし坦々麺(担々麺)。


汁なし、といっても、いわゆるスープの坦々麺ではない、というだけで、
もちろん、つゆは、入っている。
上に、挽肉、ピーナッツ、松の実なども、入っている。
つゆは、ラー油、例によって、花椒。
甜面醤、しょうゆなども、入っているのかもしれない。
ごまペーストは、入っていないかもしれない。

なにか、夢中になって、掻っ込む。

見た目よりも、辛さくはない。
麺は若干柔らかめで、ツルツル、で、ある。

冷静に分析をする間もなく、
瞬く間に、食べ終わってしまった。

次!

酸辣湯麺、で、ある。

黒酢の香り、である。

しかし、これも、思ったより、辛さも、酸味もおとなしい。
麺はやはり、ツルツル。
細切りの鶏肉が入っているが、これが、うまい。

呑んだ後のさっぱりした麺として、充分に堪能。

お椀がなくなってしまった、とのことで、一度、皆のお椀は
下げられ、デザートである。

無造作にお椀に、盛られ、杏仁豆腐が出てきた。

杏仁豆腐、なのである。
なのであるが、とても、杏仁豆腐とは、思えない。
まるで、チーズ、の、ようである。

どうなっているのであろうか。
なにが入っているのか。
これは、杏仁豆腐ではないのではなかろうか。
そうまで、思ってしまう、杏仁豆腐である。

杏仁豆腐というと、どうでもよい、中華の最後に出てくる添え物、
食べても食べなくても、どっちでもよいもの、
今まで、そんな印象しかなかった。
言い換えれば、そんな杏仁豆腐しか、食べたことがなかった。

第一、杏仁豆腐といえば、普通は、ゼリーのような食感である。

この杏仁豆腐は柔らかく、ババロアかムース。
まさに、そんな感じである。

うーむ。
最後まで、唸らせてくれた。

20時頃から、23時半頃まで、いたのであろうか。
3時間以上、呑んで食べて、話をして。
楽しかった。うまかった。

(ご主人一人のため、料理の出てくるペースは、遅い。
皆で呑んでいると、それがまた、気が付くと、
ちょうどよいインターバルになっていた。)

全体を通すと、お店の見た目、ご主人の風貌、からすると
もっと、とんがったものが想像される。
しかし、花椒は目立つが、それ以外は、いたって優しい。

優しくて、うまい。

これは、いわゆる街の中華とも違った、
日本人に合った、新しい中華なのではないだろうか。

板橋一丁目。旧中仙道の一本裏
古道具が雑然と置かれた、カウンターと小さな小上がりだけの、
不思議だけれど、落ち着ける、小さなレストラン。

ごつい風貌と、圧倒的存在感のご主人は、端倪すべからざる、
腕とアイデアと、優しい心持ちを持った方かもしれない。



電話: 03-3964-6657
住所: 板橋区板橋1-33-1




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