断腸亭料理日記2005

築地・うなぎ・丸静

12月3日(土)夜

うなぎ、の旬である。

うなぎ、を、夏の土用のもの、としたのは、日本の元祖コピーライター
平賀源内である。

うなぎの本当の旬は、本格的冬を前にして、脂がのっている
今、この季節、で、ある。

と、いうようなゴタクは、ともかくとして、
ようは、うなぎが食いたかった、のである。

コロッケで、ビールを半分ほど呑んで、一休みし、
出かけていた妻からの連絡を待ち、18:00、現地待ち合わせ、
と、いうことにする。

この店も、課題、であった。
築地の「丸静」。
まるせい、ではなく、まるしず、と、読む。

拙亭から、築地までは、日比谷線の仲御徒町駅まで自転車で出かけ、
一本、で、ある。30分もかからない。

築地のうなぎ屋、といえば、宮川本廛、が有名である。

もう一軒、丸静、も知る人ぞ知る、有名な店。
一度、覗いてみたかった。

日比谷線の築地、本願寺側の出口を出て、本願寺の脇の道を、
海側(隅田川側)へ入っていく。
T字路になっているが、右折。次を、左折。さらに路地を右折。
道路工事をしている、裏路地をさらに左に入ったところ。

勝鬨橋、からだと、晴海通りを2〜3本目の
路地を、右に入ったところ。

築地もだいぶ変わっているが、丸静のあるこのあたりは、
かろうじて、東京の昔の家並みが残っている。銭湯なんぞも、あり、
腰の曲がった、お婆ちゃんも歩いていたりする。
やはり、焼け残ったところもあるのであろうか。

道路工事をしていて、うるさいが、店は、ちゃんと、営業している。
店内は、テーブル2〜3とカウンターのみと、小さい。
ウイークデーの昼などは、列になるようであるが、
土曜日のこの時間、他に客はいない。

妻は、まだ来ていない。
肝の佃煮で、一杯やっていることにする。
菊正宗の一合、ガラス瓶、で、ある。

うなぎの肝の佃煮は、
前に、三ノ輪の丸善、と、いうところのものを食べたが

それよりは、味も、色も薄めだが、充分にうまい。
小皿に取った山椒を付けながら、食べる。

ほどなく妻も現れる。
もう一本呑んだところで、うな重にする。

ごま塩頭で、体格のよいご店主に聞いてみると、
ここのうな重は、完全に、大きさ別になっている、と、いう。
また、うなぎも、店奥にいけすがあり、生かして
置いてある、という。
もともと、うなぎの問屋をしていた関係で、
目方で、値段を決めている、ということなのである。
一番下が、1400円、一番上が、3700円。
(この日は、¥1400のはなく、¥1800から)
名前は、下から。造、直、連、臣、尊、王、という。
大和時代の官職である。

妻は、¥1800(直)。
筆者は、¥2600のもの(臣)にしてみる。

一番上は、うなぎ、一本分、であると、いう。


おお、なんと、二段重ね、で、出てきた。

しかし、このご店主、話し出すと、止まらない。
娘さんであろうか、銭湯へ行っていた若い女性が、帰ってくるまで、
うなぎのこと、店のこと、
好きな相撲のこと、あれやこれやと、話しをする。

ハフハフと、うなぎを頬張りながら、妻と共に、うんうん、と、相槌。

気のいい、おとっつあんの、豪快なうなぎ屋。

腹一杯にうなぎが食いたければ、ここへ来ればよい。


地図



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