断腸亭料理日記2006

蒲田でお通夜、

そして餃子・歓迎

7月12日(水)夜

今日は、夕方から、上司のお父様に不幸があり、蒲田でお通夜。
直属の上司のため、働かなくてはならない。

回りの者は、こうした場合、手伝う。
日本の正しい習慣であろう。
家族親類よりも、農村でも都市でも隣近所といった
地縁の者が手伝う。
渦中にいるご家族を助けるのは、回りの者の勤めである。
今は、地縁よりも、社縁、などということばも作られているが、
会社の縁が、助ける。

場所は、蒲田駅西、東急線脇の会館。
19:00に終わり、軽く、鮨やらでビールなどご馳走になり、
同僚と、三々五々、会館を出る。

お通夜というもの、今、東京では実際に終夜の通夜はしない。
筆者は驚いたのだが、地方ではいまだに、この習慣は残っている。
内儀さんの実家は北海道であるが、義父が亡くなった時、終夜の通夜に
参列することがあった。
やはりこうした会館で、通夜と告別式をしたのだが、
二十畳、三十畳の大部屋で、何十人もの親類は呑みながら、雑魚寝。
お線香を絶やさぬように、時折起きて、様子を見る。
なるほど、通夜とは、こうしたものであるのか、よくわかった。
自宅でやればまだしも、場所を借りて、外でやれば、
むろんのこと、お金も掛かる。
東京では簡便化と、いうことなのだろうが、
なくなっていった習慣なのであろう。
(実際のところ、東京で葬式をすれば、お香典と費用を差し引いて、
下世話な話だが、黒字になる方が多いのではなかろうか。
先の北海道の義父の場合は、そうはいかなかったようだ。)

ともあれ、会館を出て、同僚らと駅方向に向かう。
蒲田へ来たのだから、寄りたいところがあった。

蒲田といえば餃子。餃子を食いにいこう。
お通夜のあとの餃子、と、いうのもの、ちと妙であるが、
暑いし、疲れた、スカッといこう。

蒲田という街、なかなか面白いところである。
大田区蒲田。大田区の太田という名前は、大森と、蒲田の
「大」と「田」を取って作った名前である、と聞いたことがある。
大田区では、中心的な街。
京浜東北線と、京急が南北に走り、東急線が西から接続している。
古くは松竹蒲田撮影所などもあった。

大田区には田園調布のような山の手の高級住宅地もあるが、
海沿いの地域は、東京23区北部の墨田、葛飾、足立などと同様、
羽田を筆頭に、町工場の地域でもある。
蒲田はそんなところの中心ともいえよう。
この街の住人としては、
ラッツ&スターのクワマン(桑野信義氏)は、有名である。
北は北千住、東は錦糸町、南は蒲田、東京の新下町の代表タウンであろうか。
お世辞にもきれいとはいえないが、パワーのある街。
手芸用品の殿堂、ユザワヤ。様々な呑みや、食い物やに加え、猥雑な
店々には事欠かない。

ともあれ、餃子。
なぜ、蒲田で餃子なのかよくわからぬが、餃子の有名な店が多い。
最も有名なのは、ニーハオ、と、いうところのようであるが、
今日は、帰り道でもあり、歓迎(ホワンヨン)の西口店へ寄ってみる。
西口駅前に二つのアーケードが並んでいるが、その、駅から向かって
左側のアーケード、入り口から2〜3軒目左側。
間口2〜3間でさほど大きなところではない。

20時頃であったか、賑わっている。
二人できたため、当初二階のカウンター席に通されたが、
さすがに勘弁してもらい、一階のテーブル席に移る。

腹はそこそこ一杯だが、頼んだのは、
焼き餃子と、水餃子。
どちらも6個あり、¥300程度。
東京でこの値段は、今、格安、であろう。
(蒲田の物価は東京の物価ではないかもしれぬ。)

焼き餃子は、羽付き、などといわれているもので
うすい、パリパリした羽のような小麦粉の焦げたものが
餃子のまわりに付いている。
これは今は一般的になっているが、餃子を鍋に入れる前に、
小麦粉の水を薄く鍋に敷き、その上に餃子を置く。
こうすると、焼き上がった際に、剥がしやすい、と、
いうものである。

大きさは大きくもなく小さくもなく普通。
肉汁が、ジュワ、などと評している人もいるようだが、
焼き餃子の場合、そこまではいかなかろう。
が、なかなか、野菜と肉のうまみたっぷりで、噂どおり、うまい。
水餃子の方は、微妙に中味は違うようである。
こちらも、普通にうまい。

〆て、とてもまっとうな餃子であろう。
そして安い。
すばらしいではなないか。

ここはなにも餃子専門店、と、いうのでもない。
見ていると、サラリーマン一人で、冷やし中華など、
食べている人もいる。立派な普通の中華や、でもあるようだ。

腹一杯で、若干余らせたため、水餃子を持ち帰りにする。

うまかった、うまかった。
一度、また、あらためて、蒲田には探検に来たいものである。

歓迎/本店
TEL 03-3730-7666
〒144-0052 東京都大田区蒲田5丁目13−26−101 



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着物を着て、扇子を広げて、江戸文化研究家(?)として、登場しています。
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                          断腸亭




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