断腸亭料理日記2006

豆腐の田楽

3月20日(月)夜

連休の谷間である。
とはいっても、今週末、大切な発表があり、その準備などで
なかなか、気を抜けない。

さて、今夜は、なににしようか。

さっぱりしたもの、、と、考えていると、「豆腐」が思い浮かんだ。

筆者、豆腐と、いうもの、さほどに好きなものでもない。
なぜであろうか。
子供のころから好きでも嫌いでもない。
(豆腐の好きな子供、というのも、ヘンかもしれないが。)

成人してからも、うまい豆腐を食べたことがないせいかも知れぬが、
積極的に食べることは少なかった。

また、先日の“そば”あるいは“趣味そば”の話しではないが、
豆腐も、最近はそんな、“趣味”の世界に入ってきているものも
あるようである。

国産大豆、どこどこの水、天然にがり、などなど、
様々な、“こだわり”モノ、一丁数百円もするものも出ている。

こうなってくると、筆者、とたんに“趣味そば”同様に
胡散臭くなり、近付きたくなくなるのである。

やはり、これも、たかが豆腐ではないか、
と、いうことなのである。

池波先生は豆腐が好きであった。
蛤の湯豆腐、をはじめ、さまざまな湯豆腐。

夏は、胡麻油をたらした冷奴、などがお好きであったようである。
豆腐は、酒にも飯にもよい、と、いう。

筆者は、前記のような理由で基本的には、冷奴もまた、あまり食べない。

しかしまあ、そんなことばかり言っていてはいけないと思い、
池波作品にもよく登場する、豆腐の田楽を再現してみたことがあった。

それらしいものは、できたのであるが、
この時、やはり、豆腐自体のうまい、まずいが、すべてであることが
改めてわかったのである。

それ以来、少し、高目の豆腐も買ってみるようにしてみた。
その中で、値段の割に、首をひねるようなものもあったのだが、
一つだけ、気に入った豆腐が見つかった。

これは、筆者のオフィスの近所のスーパーにいつもある、
富士忍野八海の豆腐、というもの。
http://www.hakkaidofu.co.jp/

デザインが違うようなので、この店のものかどうかは、
定かではないが、味が濃く、なかなかに、うまい。
値段も、定価は¥150だが、たいていは、安くなっており
¥100を切っていることも多い。

筆者が豆腐を買う場合は、いつもこれに決めている。

さて、前置きが長くなってしまった。

オフィスからの帰り道、そのスーパーに寄り、木綿豆腐を買う。
で、なににしようか?
蛤の湯豆腐、というのも、また、芸がない。
冷奴は、まだ、寒かろう。

と、いうことで、味噌田楽。
赤味噌を塗って、焼いてみよう。

帰宅。

豆腐は水を切っておく。

味噌を作る。

赤味噌に酒、砂糖を加え、レンジで加熱。
鍋でもよいのだが、少量であれば、レンジの方が便利である。
酒を飛ばせば、OK。

豆腐を切って、味噌を塗り、串を打つ。
焼くのは、オーブントースターにしてみよう。

7〜8分。
微かに、焦げ目が付いてくるまで。

できた。

簡単である。


酒の燗もつけて、食べる。

ふむふむ、やはり、田楽も、豆腐次第である。

しかし、びっくりするほどのものではない。
やはり、どちらかといえば、素朴な料理であろう。

豆腐さえ、うまければ、田楽もたまにはよいかもしれない。



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