断腸亭料理日記2006

合羽橋・太助寿司

5月23日(火)夜

ちょっと、ご無沙汰をしてしまった。
来なくてはいけない。
こうして、顔を出すタイミング、というのは、なかなか大切である。
一回1万円程度。むろん安くはない。
しかし、一月に一回もしくは二回は来たい。
いわゆる行き着け、馴染み、は、最低でも月に二回、
というところが、ラインであろう。
また、筆者の場合、気を使っていただいている、ということもあり、
その気持ちを裏切ってはいけない、というのも、ある。

4/24

合羽橋の太助寿司、で、ある。
20時前。
入ると、カウンターは3人の一組、二階に宴会。

親方が「お祭りで忙しかったよー」やっと一息付いた、という。
先週は三社祭り。太助では、三社に限らず筆者の町内の鳥越や、
隣の下谷などなど、近隣の祭りには、各町内会の神酒所にさしいれ、と、
いうのであろうか、鮨を届ける。(酒の場合もあるようである。)
むろん、いわゆる『営業』でもあるわけだが、すぐに売り上げに結びつく
というものでもないし、どこの鮨屋でもやっている、というものでもない。

さて、ビールをもらう。
お通しは、じゅんさい酢に、日高の馬糞うにが載ったホタテのムース。
馬糞うにといえば、太助では、利尻、で、あるが、これは来月あたりから。
今はまだ、日高であるという。しかし、それでも、じゅうぶんうまい。

つまみ。
このところ、出ている、活けのあおりいか、葉山。
富津のまこがれい、赤貝、中トロ壱岐、たこ。


あおりいか、まこがれいともに、申し分ない。
また、壱岐の中トロは比喩でなく、実にとろけるようである。

まて貝焼き。


こういう、乙なつまみは、うれしい。

さて、にぎり。

金目、銚子。

これもこのところ出ているが、皮付きで焼きジモ。
脂だけではなく、金目のうまみが一杯。

みる貝。「本ミルですか?」などと聞いてはいけない。
(聞いてしまったが、、。)もちろん、江戸前。


先が茄子紺(深い紫色)であるのが、江戸前の証拠であるという。
みずみずしく、ぷりぷり。

うに。津軽のむらさきうに。

鯵。今日は〆たもの。走水。


これはわさびで。肉厚に切ってあり、〆てもうまい。

前回もあったが、蒸し鮑。又貝というものである。
鶏皮とともに、蒸し煮にしたものである。
そして、それも、大きく切ってある。
幸せを感じる味である。

づけ。

太助の場合は、即席のづけ、で、ある。
柔らかく、甘く、わさびが利いている。
聞いてみると、わさびは、わざと利かせている、という。
このバランスがうまい。

穴子。

「だんだん、うまくなってきました」といって、
若い衆が出してくれた。
確かに、トロッとしてきた。うまいうまい。


最後。巻物。
お得意のヒモキュウ巻き、半分。

今日は、海苔が違う、という。
海苔の新芽を使ったもの。
これは、お祭りに出すもののために仕入れる、のだそうだ。
なるほど、こういう気まで使っているのである。

香りが違い、口に入れると、瞬く間にとける。

今日も、充実。
おいしかったです。


(帰りに、筆者が手拭を使っているのを知っていて、
女将さんから冒頭に書いた、各町内へのさしいれのお返し
にもらった、お祭りの手拭を何本もいただいた。
これは、各町内で毎年誂えるものである。手拭を常用している
筆者としては、またとないうれしいものであった。)

(親方、今回は遠慮をしましたが、次回(が、あれば)の落語会、
お願いします。)


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