断腸亭料理日記2007

スパゲティー・カルボナーラ

12月22日(土)第一食

仕事の上に、忘年会やらなにやら、(その上、捻挫もあり)
疲れた一週間が、やっと終わり、土曜日がやってきた。

あと一週間。

暮れも押し詰まってきた。今年中にやっておかなければならないことは
まだ残っているが、もう、今年も、ほぼ終わり。

筆者の今年は、いい年であったのだろうか。

仕事上は、四月に異動があり、内容はそれ以前の延長でなのだが、
よりプレッシャーのかかるポジションになった。
半年と少し、右往左往しているだけの毎日であったように思う。
多少の慣れはあるが、来年になってもこのきつい毎日は、
たいして変わることはないだろう。

そして、断腸亭としての今年。
2月と、7月に東京FMへの出演などあったが、
仕事がそんな状況になったことで、しようと思っていた
第三回の落語会もできず、今ひとつの一年であったのか。
来年こそは、開きたい、そう思ってはいる。

皆様の2007年はどんな一年であっただろうか。

世相としては、なんとなく、落ち着きのない年であったと思われる。

国内では自民党の参議院戦惨敗、世界的にはサブプライム問題による
米国の金融危機、ここなん年か世界をリードしてきた米国の相対的
地位の低下、北京オリンピックを前にした中国を筆頭に、
インド、ブラジルなどBRICSがますます存在感を増してきた。
それと、裏返すように、環境問題が差し迫り、石油の高騰、
植物由来燃料へのスイッチ、そこから、世界的な小麦など穀物の
品不足、高騰、、、。

いろいろな価値観やパラダイムが変わろうとしているのだろうか。
国内外ともに、どこかに落ち着いてくれればよいのだが、、。

本来的には、こうした変革の時期はチャンス、でもあろうが、
日本も世界もまだ出口が見えない。
まだ、この落ち着かない状況はしばらく、あと一、二年は、
続くのだろう。

断腸亭として思うこと。
これは、今年に限らず、まあ、前から書いていることでもあるが、
日本人は、もう少し、足元を見るべきである、と、いうこと。
自分達がどこから来て、どこへ行くのか。
老若男女問わず、(殊に、団塊世代と団塊ジュニアであろうか)
日本人全体として、自分達は、なにものであるのか、を見つめ、
そこから、歩を進めることが、ますます必要になっていると
思うのである。

さてさて、そんなゴタクはともかく、
今朝は、スパゲティーカルボナーラ。

先日、大手町のリトルこいわいを書いたが、喫茶店のスパゲティー。

これは、昭和の40年代からのものだろう。

その後、筆者の世代では、中学から、高校の頃、今から、30年程度前。
東京などでは、スパゲティーの専門店が現れ始めた。
壁の穴や、あるでん亭、そのあたりであろうか。

喫茶店のスパゲティーではなく、様々なメニューがあることが
人々に知られるようになり、なかでも筆者には、高校時代であったか、
銀座のソニービルの、あるでん亭で、初めて食べたカルボナーラ、が、
なんとも、うまいものである、と印象付けられた。

カルボナーラは、店によって、微妙に違っているが、
筆者のカルボナーラのスタンダードは、この最初に食べた、
あるでん亭のもの、である。

手数も材料も、たいしたものではないのだが、ソースの仕上がり、
とろみ加減というのか、かたまり具合が、かなり難しい。

筆者も、なん度も作り、思ったようなものができず、
これは、というものができるようになるには、随分時間がかかっている。

ポイントは、あらかじめ、ソースの元を合わせておく。
これでかなりの確率で、うまく出来上がる。

材料は、卵。卵黄だけの人もあるが、筆者は全卵を使う。
それから、パルメザンチーズ。クラフトの緑の筒のもの。
生クリーム、黒胡椒、できれば、荒挽き。
それから、ベーコン。
これも、昔の、あるでん亭のものは、角切り、で、あったように思う。
(今でもそうかも知れぬが、最近は知らない。)
塊や、角切りのベーコンはなかなか、売っていないので、
通常は、スライス。

まずは、湯を沸かし、塩を入れておく。

そして、先のソースの材料を一つのお椀に作る。
全卵を割りほぐし、ここに、パルメザンチーズ、生クリーム、
荒挽き黒胡椒。(ミルの黒胡椒があるので、挽き立て。)塩。

次に、1cm程度に切ったベーコンスライスをフライパンで
こんがりと、油を抜く。

同時進行で、スパゲティーを茹でる。

ベーコンの油抜きは、あらかじめ、油(今日はラード)を敷いておき、
ベーコンを入れ弱火で、馴染ませる。
その内にベーコン自身から油が出てくる。
そして、フライパンを傾け、その油で揚げるようにしながら、
カリッと仕上げる。

OK。おいておく。

スパゲティーの茹で加減をみる。

これは一本取って、噛んでみる。
カルボナーラは、アレデンテ。中央にほんの少し、芯がある程度。

よい加減で、湯から上げ、ベーコンを炒めたフライパンに入れる。
同時に、合わせたソースも入れ、かき混ぜる。

この時の、フライパンの温度が問題、で、ある。
たいていは、温度が下がっているので、この状態では、
ソースは固まらない。
そこで、フライパンに点火をするわけだが、ほっておくと
フライパンの表面だけの温度が上がるので、接している部分の
ソースだけが固まってしまう。
これではいけない。ソース全体が均一にトロッとするのが大切。
かき混ぜながら、温度が上がりすぎぬように、フライパンを
火から離し、余熱で、トロッとするまで。

OK。

最後に、香りを立たせるため、もう一度、黒胡椒を挽き入れる。

カルボナーラのもう一つのポイントは、黒胡椒。
カルボナーラの語源の、イタリア語のcarboは、炭のこと。
黒胡椒の黒が、これにあたっている。
香りよく、たっぷりと入るのが、うまい。
パルメザンチーズも追加。
最後に味見。

OK。

盛り付け。


かなりいい具合に、できた。
とろみ加減もよい。

塩加減もちょうどよい。

塩は、最初のお椀と、スパゲティーを茹でる湯、
また、パルメザンチーズにも塩気はある。
加減が難しい。今日は、調整しなくともよかったが、
少なめにし、仕上げ時に足す、のが、よいだろう。

先にも書いたが、フライパンでスパゲティーにソースを合わせるときに
別々にするよりも、全部をあらかじめ合わせておけば少し簡単になる。
固まり具合は、なん度もやって感覚をつかむ、しかないだろう。



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