断腸亭料理日記2007

合羽橋・太助寿司

6月16日(土)夜

話は、朝にさかのぼる。
朝起きたら、合羽橋、太助寿司の親方から、メールがきていた。
携帯へのショートメール、で、ある。
(太助寿司の親方がショートメールを送れたのには、
まずは、驚いた、のではあるが、、。)

昨夜、送られていたもので、内容は、
「築地で一番の馬糞うにが入るので、
よかったらきて」というもの。

毎年、夏の太助寿司の目玉。いや、大目玉、で、あろう。
日本一のうに。
利尻の馬糞うに、で、ある。

今年の初物、なのであろう。
これは行かずばなるまい。

昼前、(昨日配信分の、田端の路麺、かしやまへ出る前)、
親方に、TELをし、7時には内儀(かみ)さんと行く旨、話す。

内儀さんの帰宅を待って、7時前、自転車で出る。
浅草通りを渡り、路地を北上すると、道に屋台なども出て、お祭り。
今週は、矢先様、のお祭りであった。

正確には、矢先稲荷神社。
今、氏子町の範囲としては、東の三社様と南の鳥越様、西の下谷様、
北の小野照様の四つに挟まれて、こぢんまりとしたものだが、
京都三十三間堂に縁のある、由緒正しい、神社である。
(今日は詳細は触れない。ご興味があれば上記ページをご参照のこと。)

合羽橋本通りの南側までが、氏子町内で、
太助寿司にも提灯が出ている。


店に入ると、待ってましたと、親方が、例の、利尻馬糞うにの箱、を
誇らしげに、出してきた。

「これが、築地に、3枚しかないんだよ!」

「正真正銘、利尻の馬糞うに。動かぬ証拠。
ちゃんと書いといてよ!」
妙に、力が入っている。
やはり、数が少なく、この箱以外のものは、「違う」、ということ
のようなのである。

それにしても、なんときれいなことか。
陳腐な表現であるが、黄色いダイヤ、と、いったところであろうか。

(それにしても、これ、口開け、で、ある。つまり、手を着けていない。
誰も食べていない、のである。)

ともあれ、ビールをもらって、
お通し。

まて貝、しょうゆのつけ焼き。
濃いしょうゆ味で、香ばしく、かなりうまい。

刺身を切る前に、今度は、鱸(すずき)の入っている箱。


太助で鱸は珍しい。
江戸前が普通であるが、常磐もの、という。


鱸以外に、佐島のたこ、ぼたん海老、あおりいか、赤貝。

常磐もの、という鱸は、外海のせいか、身がしまって、淡白。
これが鱸か、というほど、上品な白身。
あおりいかは透き通っており、プリッとした食感とあまみがある。
ぼたん海老も、うまい。

金目のかま、塩焼き。


パリッと焼けており、プリプリとして、うまい。

岩牡蠣。二人で一つ。


若狭湾、舞鶴という。
これは、かなり、うまい。
なんということであろうか。とても牡蠣とは思えない。
写真でも、白い部分が、多いのがわかるのではなかろうか。
この白い部分が、実に濃厚。
クリーミーで、海のミルク、などという譬えがあるがあるが、
まさに、特濃、で、ある。

料理二品で、握りに入る。

金目。


先は、かまを焼いて出してもらったが。
焼き霜(やきじも)で、握り。
味が濃く、うまい。

鳥貝。

みずみずしい。

白いか。


先のつまみは、あおりいかであったが、
今度は白いか。これも透き通っているが、より、濃厚。
うまい。

ここで、出た!

お待ちかねの、日本一、いや、生でうになんぞを食うのは
日本人くらいであろう、と、いうことは、世界一の利尻、馬糞うに。


「まだ、東京で、なん人も食べてないんだよ、これ」

と、親方はいう。
築地で、今日入荷。その三枚の内の一枚。

なるほど、そういうことになるのか。
まったくそれは、光栄なことである。

心して、口に入れる。

ん?。

贅沢をいっちゃぁ、いけない。バチが当たるぞ、と、
怒られるかもしれぬ。
うまいのだが、気持ち、やはり、早いのか。
ほんの少しだけ、苦味、の、ようなものが、あるように思われる。

いやいや、これから、真夏に向かって、もっともっと、
うまくなるのが、わかっているので、それが、楽しみ、ともいえよう。

みる貝。

鯵。


淡路、という。
プリッとした食感と、鯵らしいうまみ。

蝦蛄。


毎度であるが、三河湾。
いや、本当に、これはうまい。
身がしまって、うまみが濃く、あまい。

蒸鮑(むしあわび)。


鶏皮で蒸し煮に、してある。
今日は、肝がのってきた。
鶏皮のよい香りと、鮑の芳醇なうまみ、で、ある。

中トロ。


このところ、紀州、勝浦。
壱岐は入らないらしい。
しかし、十二分に、うまい。

〆は、看板の穴子。


熊笹ではさんで焼いた香りと、
ほんわり柔らか。たっぷりと、うまい。

以上、終了。

これから夏に向かって、利尻の馬糞うには、
どんどんうまくなることであろう。
日本一のうにを皆様もご賞味下されたい。

(太助寿司は事前予約を。)

今日の勘定は、二人でビール三本、料理二品が入ったので、
27000円程。(料理二品がなければ、一人10000円
ちょいで、収まると思われる。)

電話番号:03-3841-4811
住所: 東京都台東区松が谷2丁目26−6
水曜休み



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